思えば、感情の一部が欠落していたのが、彼女。
その為、どれだけ周囲が彼女を蔑もうと、彼女の心は乱れなかった。
けど、今は違う。
彼女は、本物の幸福を知ってしまった。
幸せが日常になった時、彼女は己の過去が如何に悲惨だったかを知る事になる。
その過去が今に重なった時、彼女の足はすくむ。
あの城には、もう行きたくない。
だってあそこは、もう私の帰るべき場所ではないから。
それでもあの城に戻らなければいけなくなった時、彼女の傍らには彼がいた。
彼こそ、彼女の幸福の象徴。
彼と出逢わなければ、彼女の心は今も灰色だったに違いない。
彼女は彼を勝ち取る事で、漸く過去の己と決別出来た。
その彼が今、彼女の為に動き出す。
果たして彼、アランは、彼女、レニーの願いを果たす事ができるか?
今レニーは本当の意味で――祖国に別れを告げる?