退魔師であり薬師でもあるリイン。
蛇の邪神シャンタナと戦い、契約して従えることに成功する。
しかしシャンタナはとてつもない飢餓に苦しんでおり、その飢えを和らげるには――契約者と肌を合わせるか契約者を喰らうしかない!
――とんでもない危機を背負い込んだリインが巡らせる策は、薬師として磨いたスパイスの知識で作る魅惑の料理でした。胃袋をつかんで生き延びる千夜一夜物語が始まります。
中東付近をベースにした美味しそうな食事がシャンタナだけでなく読者の心もとりこにします。読みながらカルダモンやクミンの香りに取り巻かれるようでした。
しかしもちろん、シャンタナの飢えは何によるのかという謎解きも進行します。
料理を食べながら語られるシャンタナの過去とリインの生い立ち。少しずつ導かれる先に見えてくるものは――。
最後には鮮やかにすべてがつながり、明らかになるリインの宿命に鳥肌が立ちました。
夜話につむがれる過去の契約者たちは皆キャラクターが立っていて、愛嬌(とツッコミどころ)たっぷり。立ち寄る土地それぞれの豊かな描写も果てしない旅情をかき立てます。
でも語りが終わると、彼らとその街はシャンタナが生きてきた遠い過去のことであると思い知らされ悲しみにおそわれます。
そしてその過去を邪神シャンタナが愛していたのだろうことも、ヒシヒシと感じさせられるのです。
長い時を経てきたシャンタナは幼い子どものように純粋で、実は寄る辺なく庇護を求めているのかもしれません。
彼を恐れ、理解しようとし、最後には救おうと奔走するリインとの関係性の変化が胸をえぐります。
退魔師と邪神による、深い深い魂のブロマンス。
美味なひと皿を、ぜひ味わってみてください。
【レビューコンテスト応募】
美味しそうな料理と軽妙な掛け合いに惹かれて読み始めたはずが、気づけば、食べること、語ること、救うことが幾重にも絡み合う壮大な物語にすっかり引き込まれていました。
退魔師で薬師のリインが、飢えに苦しむ魔物シャンタナに喰われないよう、料理と夜話で千夜をつないでいく——。
この導入だけでも最高に魅力的なのですが、夜話のひとつひとつが珠玉の短編のように見事で、それぞれに読み応えがあります。
そして物語が進むほどに、料理も、語られる過去も、シャンタナの飢えも、すべてが大きな謎の一部だったのだとわかっていく構成が本当に素晴らしいです。
毎話登場する料理の描写は、香辛料の香りや食感まで伝わってくるようで、読んでいるだけでお腹が空きます。
それでいて、ただ珍しい料理が並ぶのではなく、文化や土地の空気まで物語に溶け込んでいて、実際に食べ、調べ、愛して書かれたのだろうと感じるリアリティがありました。
軽やかな会話の奥にある激重の感情。
美味しい料理の奥にある祈りと呪い。
そして、千夜を越えてたどり着く答え。
終盤、すべての謎が一つにつながっていく展開には何度も鳥肌が立ちました。
グルメファンタジー、千夜一夜、ブロマンスがお好きな方に、ぜひおすすめしたい作品です!
まずメインビジュアルが良い質感、期待を裏切りません
物語の舞台がエキゾチック!中東のような世界観がよく作り込まれていて没入できます。出てくる料理もどれも美味しそう!モデルになった実際の料理がありそうなんで食べてみたいです。
コミカルでテンポ良く読み進められる童話のようにカラフルで楽しい文章ですが、読み進めるにつけ切ない一途な物語です。
ベットシーンはあっさり目、だからこそ妄想させていただく余地があって素晴らしいです♪
ラストただ一点に向かって回収集束されてゆく伏線やエピソードがとても気持ちいい
大好きな物語りになりました
映像で見たい……♡