頭のいい二人とそこそこな二人とその他
「ダンジョンにはいくつか種別があります。
「一番メジャーなのは
「緑の迷宮もこれに分類されるダンジョンですね。」
ふむふむと頷くモカとポムニット。
サノンも頷いているが、その瞳のグルグルと渦巻く様を見るとちゃんと理解できているかは怪しかった。流石は自称スカポン頭と言ったところか。
「続いて
特徴としては、このダンジョンは同一種族の魔物が集まる傾向が強いです。」
「蟻とか蜂なんかの虫系統の場合が多いわね。」
「付け加えると、遺跡などの建物とまではいかないものの、蜂の巣などの構造物になっていることも多いです。」
お目目のグルグルの速度が速まっていき、頭から煙が立ち上り始めるサノン。
そんな彼女の状態をスルーして説明は続く。
「
同系統の魔物が集まっていることが多いのは巣と同じですが。複数の種族が共生している場合もあります。」
「最大の特徴はなんと言っても、ダンジョンが移動することね。」
「えっ!?ダンジョンが動くんですか!?」
「ええ。餌場を変えたり、産卵場所を探したりと、あっちこっち動き回るのよ。
正直、一番厄介なダンジョンと言えるわね。」
「もう一つ厄介な所を挙げると、稀にボスがいない場合があるんですよね。
巣は大体ボスがいて、それを斃せば統率のきかなくなった魔物は弱体化します。
しかし、ボスのいない群はこれを斃せばOKという区切りがなく、群が形成されなくなるまで魔物を間引かないとダンジョンが消滅しません。」
「絶対消耗戦になるし、当たりたくないダンジョンのトップなのだけど……ねぇ。」
憂鬱そうに溜息を吐き出したマリエルは、とあるものを見た瞬間その蟀谷に青スジを浮かばせた。理解することを放棄したらしいサノンが、うつらうつらと舟を漕いでいるのが見えたのだ。
もう間もなく夢の国へと旅立たんとする彼女に、スーっとにじり寄ると――――。
ゴッ!
「んにゃぁ!?」
「さて、お次は
「おおぉぉぉぉ…………!?」
低い呻き声を上げながらゴロゴロと自らの身体をもって床掃除を行うバカを尻目に、説明を続けるマリエル。
モカとポムニットも、ビシッと姿勢を正して拝聴している。
その顔が引き攣って見えるのは、おそらく目の錯覚だろう。
「
「えっ!?この村ってダンジョンなの!?」
モカ達のものではない驚愕の声に視線を向けると、いつの間にかテーブルの傍にリルルーラの姿があった。その手に持つトレイの上には、ほかほかと湯気を立ち上らせる、見るからに美味しそうな料理があった。
「ええそうよ。まあ驚くのも無理ないわよね。あまり知られていないことだもの。」
「
「村や町を作る時に、特殊なルーンを用いてダンジョンに仕立て上げるの。これは法で定められた義務でもあるのよ。
だから逆に言えば、ダンジョン化されていない集落は、どれだけ人や建物があっても、公的には村や町とは認められないわ。」
「へーそうなんだ。でもなんでダンジョンにするの?魔物があつまってきちゃってあぶなくないの?」
純粋な疑問符を浮かべるリルルーラに微笑ましさを感じる。加えて質問も良い。
いまだに涙目で頭を擦っているポンコツよりも優秀かもしれない。
「いい質問ね。その答えはダンジョンの特性にあるわ。」
「ダンジョンは、決まった出入口以外からは侵入や脱出が難しくなるっていう性質があるんですよ。」
「そうなの!?」
「そうなのです。
リルちゃん、この村はぐるーっと塀で囲まれてますが、その塀ってあんまり大きくないですよね。」
「うん。わたしでものりこえられちゃいそうだよ。」
「魔物が体当たりでもしたら、簡単に壊されちゃいそうじゃないですか?」
「そうだね。」
「実はこれって、魔物の侵入を防ぐ壁ではなく、ここから村ですよーってことをはっきりさせるための区切りなんですよ。
細かい原理までは知りませんが、人魔物問わず、ダンジョンに入ろうとする時に入り口以外からだと、ここから先に入ってはいけないという気持ちになるらしいです。心理的な抑止効果ですね。」
「出入口を設置するとその効果が高まるから、大抵の村には出入口が作られているのよ。
まあ、ダンジョンには特定の入り口のない、どこからでも出入り自由なものも多いけどね。」
へーっと感心の声を上げるリルルーラに、説明役の二人も笑顔を浮かべている。
聞き上手な彼女は、都度都度良い反応を示してくれるので説明していて楽しかった。
説明中におやすみするヤツとは雲泥の差だ。
「ちなみに、街道で討伐した魔物を近くの林などに放り込むっていうマナーは、ダンジョンを形成する程ではないけれど、この効果が林や草原に働いているからですね。」
「あれってそういうことだったんだ。」
不思議に思っていた内容の答えを知り、モカは深く感心した。
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