第11話: 戦場の右眼 笑う
グラナディアの小国部隊は休戦中――いや、正確には「休戦しながら暇つぶし中」
ザコは部下たちと盾を磨きながら呟く。
「一ヶ月も戦わねーんじゃ暇だからよ」
ミカエルは冷たい声で一言。
「呆れる」
戦場でザコがスキルを多用し、面倒をかけることを予想していたのだ。
その時、ヴェルサニアの別働隊が高地から小競り合いを仕掛けてきた。
敵兵は「右だ!左だ!」と連携するが、ザコの体は言うことをきかないように勝手に避ける。
剣を振るどころか、戦意を削ぐために動くだけで、敵は空振りを重ねる。
「あれ?なんだこの兵士……」
ガロンが横から挑発する。
「オラー腰抜け!当ててみろーw」
敵兵は怒りと焦りで顔を真っ赤にして振りかぶるが、ザコの動きに翻弄されるばかり。
左右どちらを攻めても無駄。戦意だけが削がれていく。
その様子を敵兵も味方兵も笑いながら見ている。
「あいつ……一兵卒のクセに……」
「どうなってるんだ……」
影から密偵が戦況を観察していた。
右眼のことは知らない。ただ、目の前で起きる奇妙な戦局に戦慄する。
「あの一兵卒……一体何者だ……」
戦闘は奇妙な静寂と混乱の中で終わりを迎える。
ヴェルサニア軍は参った参ったと退却し、
後方で戦況を見守る将兵たちの間にも驚きが広がる。
一兵卒のザコは、相変わらず盾を磨き、呟く。
「いやぁ、暇だからよ」
ミカエルは小さくため息。
「……面倒をかけるな」
こうして、ザコの異様な回避能力は戦場に知れ渡り、敵すら勝利を前に参ってしまう。
しかし誰もまだ、右眼の真の意味を理解してはいなかった。
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