第48話 ソル・メダイユ

 ソル・メダイユはメダイユ国の第一王子だ。

 ソルは茶色の髪に青い瞳をしている。顔は弟のシリウスに比べたら普通だ。


 ソルは、シリウスを愛している。


 自分に比べて淡い茶色の髪に青い瞳、どこか儚げで、優しい面立ち。

 甘やかで心地よい声。

 弟でなければ、結婚を申し込んでいたと思う。大切に見守ってきた。

 過去に、守りきれずシリウスには、怖い思いをさせてしまったが、許したのはその一度きりだ。


 シリウスが婚約したとき、私のシリウスが他の人のものになるのかと、寂しく感じたが、ヴィオレ・フラウアはほかの女性とは違った。

 なんというか、ヴィオレ嬢は騎士のような女性だった。

 彼女と婚約して、シリウスの身の回りはかなり安全になった。

 でも、婚約は解消された。

 自分が一番、危ないと気づいてしまったらしい。それでも、自分よりは安全だろうにと、ソルは感じた。

 二人の妻はこの気持ちを知っている。

 

 カティは、シリウスを見て、まぁわかります。とだけ言って、ナタリーは思うだけなら自由、と頷く。

 でも、気持ちの押し付けはしないようにと念を押された。

 実行にも移さないようにと。


 そのシリウスから手紙がきた。

 シシリーにいる、クリスの兄スフェーン殿を助けられないかと、言っている。


「どうされました?」

 カティとナタリーがこちらを見ている。

「シリウスが、スフェーン殿を助けたいのだと」

「それは、シシリーをどうにかしたいと言っているのですか?」

 ナタリーが首を傾げる。

「いや。クリスの兄だから助けたいと」

「なら、可能ではないかしら」

 カティは、アクアマリンの瞳でこちらを見た。

「一人くらいなんとかなるのでは?」

 黒い髪をひとつにまとめ、ニッと笑う。

「いっそ、買えばよろしいのでは?スフェーン様は、幸いなことに悪い噂を聞きませんから、クリス様がどうしてもと言えば、目溢しいただけるのではないかしら」

 ナタリーは、にこりと笑う。

「まぁ、とりあえず話はしてみるよ」


 シリウスは、他人に頼み事をしない。

 そのシリウスが、こうして頼ってくれたのだから、出来る事はするつもりだ。

 

「…私の方でも、掛け合いましょうか?」

 カティは、母国のソルティから、セーブルに話そうかと尋ねた。

 それなりにセーブルと付き合いがあり、少しくらいなら、力になれるかもと考えての申し出である。

「それは、まだ早いわ。セーブルが断ってからでも遅くないと思う」

 ナタリーが離すと、カティは頷いた。

「そうね。先に言うと変に疑われるかもしれないわね」

 仲の良い妻たちは、シリウスのことも大切にしてくれている。

「クリス様も、お腹に子がいるから、早く解決したいわね」

「え…、それは、誰の…」

 ソルは、妻たちを見た。

「レオ二ード様よ」

 呆れた口調である。

「あぁ、そうなんだ…」

 露骨に安心している。

「あなた…クレストとセレストに何かしたら、わかってますね?」

 ナタリーとカティがにこりと笑う。

 可愛らしい二人が黒い笑みを浮かべている。

「わかっているよ……。私が愛してるのは君たちと、シリウスだけだ。もちろん、息子のランディも愛してるけど」

 父と母に話をしたほうがよさそうではある。話さないと後で何か言われそうだ。

 

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