第18話 呪いの人形

 剛力事務所に依頼が舞い込んだ。差出人は匿名。内容は単純で、「呪いの人形を処理して欲しい」という一文だけが書かれている。


 箱を開けると、小さな和風の人形が鎮座していた。硝子玉のような目が、妙に生々しく光っている。


「呪いの人形?」

 

 珠音が眉をひそめる。


「また、ありがちですね」

 

 三人組の一人が気の抜けた声で言った。事務所には、どこか慣れた空気が流れる。


「着替えさせたら呪い解けないかな?」

 

 部長は真顔でそう言うと、カバンから小さな服を取り出した。いつ用意したのか分からないほど手慣れた動作だった。


「もう少し調整が必要か」


「何してるんです」


「いや、お着替えだよ」

 

 部長は当然のように人形を韓流ファッションに着替えさせる。派手すぎない色合いで、妙に完成度が高い。


「髪も巻いてみよう」

 

 指先で整えると、オカッパ頭だった髪が緩く巻いた髪型へと変わった。鏡でも見せれば歩き出しそうな仕上がりだ。

 

 刹那、人形の首がぎこりと動いた。硝子の目が一同を見据える。


「やっぱり無理じゃないですか!」


「いや普通!お洒落したら喜ぶだろ!」


「そもそも何で、そんな品物を持って居るのさ!」

 

 騒ぎの中、人形は机の上を跳ねるように動き回る。空気が一気に冷え、事務所の照明がちらついた。

 

 ため息一つ。珠音が前に出ると、人形を焼き払った。重苦しかった気配も、嘘のように消えた。

 

 こうして依頼は無事解決したが、残ったのは静寂ではない。部長の異様な準備の良さに、全員の視線が集まる。

 

 そして、部長の性癖が暴露された。

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