第16話 否定する者

 剛力事務所に案件が舞い込んだ。ビル全体に怪異が発生するから何とかして欲しいと言う依頼だ。


 珠音は資料を見るとアリスに調査を依頼した。結果は、珠音の考えて居た通りだった。


 事務所総出でビルに向かうとビルは怪異の巣窟だった。


「ここまでのモノは珍しいです」 


「魔物だな!今回は任せておけ!」


 怪異を祓いながら地下室に進むと別の祓い屋が居た。


 名を灰原はいばらと言うらしい。


「同業者ですか」  


「どうやら、そうらしい」


「原因も解ってますね?」


 珠音は確認する様に灰原に聞く。


「この下には古墳がある……本来なら調査し地鎮祭でも行う所を上が握り潰した……で合ってるかな?」  


「そうです……現場を見てから決め様と思ってましたが、私はこの案件を拒絶します」


「えっ珠音ちゃん、何もしないの?」


「原因は解ってます」


 そう珠音が言うと、灰原は封印の準備を始めた。


「やる気ですか?」


「解決は無理でも、時間的猶予には成る」


 灰原は静かに「それでも俺はやる」と呟くと珠音が見守る中、符が展開され封印が為された。


 珠音は、灰原に言う。


「放置するのですね」


「さっきも言ったがには成る。君は人が成長する機会を奪って居る」


 互いに人の成長を信じては居るが立ち位置が違う。


灰原は去り際、封印符を一度だけ振り返って見た。


その表情に、安堵は無かった。

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