悪徳な仕立屋に「バカには見えない服」を売りつけられ、家臣たちの「見えます」の空気に逆らえないまま、半年以上も裸で過ごしてきた王様。そして、ついに冬がやってきました。このままでは凍死してしまう。王様は、大臣に「本当は見えていない」と認めさせるため、ある計略を巡らせます。
誰もが知る童話を、凍える王様の側から描くという発想だけで笑ってしまいますが、本作の真骨頂はそこから先にあります。街で見聞きした何気ない出来事が、いつの間にか一本道の離宮で起きた消失事件の推理へとつながっていく構成は、まさに本格ミステリ。ふざけているのに、論理はどこまでも真剣です。
笑えるミステリーと、童話のひねったパロディが好きな方に、ぜひおすすめしたい一作です。
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読み始めてしばらくは、「これ、本格ミステリになるの?」と懐疑的になりながらも、その一方で繰り広げられる童話のような世界での物語が愉快で、引き込まれていきました。笑えますし、(後編も含めて)オールスターキャスト的なところも面白い。
そして前編の終盤、今まで隠れていた本格ミステリの姿が一気に露わになり、「おおっ」と感心することしきり。よく練られた快作にして怪作。
日本の昔話を題材にしたミステリは既存の商業作品がいくつかありますが、外国にも目を向けるとまだまだ開拓の余地があると気付かせてくれる。そんな逸品をぜひご堪能あれ。
あるところに王様がいました。
ある日、仕立て屋さんはその“服”を持って来て言いました。「この服は、『バカには見えない服』なんですよ」と。以下略───
それから半年、王様は未だに“服”を脱げません。季節は冬、このままでは凍死してしまいます。
王様は策を講じます。密室を利用したアリバイ、“バカには見えない”という制約を逆手に取ったレトリック、完璧な作戦です。
しかし真相を前にして、王様には見落としていたことがありました。このままでは大臣さんに論破され、王様は“服”を脱げずに凍死です。すわ、クーデター成立でしょうか。このままでは亡国待ったなしです。
果たして王様は“裸の王様”という汚名を返上し、後世にまで語られるような誇らしい王になれるでしょうか……?
是非その目で、その答えを確かめてみてください。
PS.11周年おめでとうございます!
名作童話『裸の王様』が、極上のミステリーに生まれ変わりました!
本作の王様は、家来や町人たちの同調圧力にやられ、寒い冬にも関わらず裸で過ごさねばならないことに嘆いておりました。
どうにか「バカには見えない服」という呪いのような設定を覆さねばならない……!
こうして王様は町へと飛び出し、人々に「裸」であることを証明してもらおうとするのですが――。
可哀想な王様の姿に、読み進めて笑わずにはいられませんでした!
しかし、騎士として戦場にも出陣するほどの男。
彼は「裸」であることを大臣たち気づかさせるため、町で見かけたある流行りの服装を使って、トリックを思いつくのです。
ここからの大臣とのやり取り、ミステリ好きにはたまらない展開だと思われます!
そして最後の最後、王様は本当の意味で『裸の王様』というものを理解するのですが……そこから先にも驚きの展開が続きます!
軽快なテンポの中に置かれた、一つ一つの言葉が丁寧に拾われていく巧みな構成……これこそ至高のミステリー!
笑えるだけでなく、推理の楽しさを存分に味わえる傑作!
是非ともご一読下さい!!!
ある王が仕立て屋から受け取った衣服は「バカには見えない服」だった。そんなもの存在していないのに、バカだと思われたくない家臣たちは「いい服だ」と、あたかも存在しているかのように言い張る。王も引くに引けなくなり、ありもしない服を着て(=腰布一枚で)過ごすことに…
そして迎えた冬。服を着ていない王は、あまりの寒さに凍死ししそうになる。なんとかこの「バカには見えない服」を脱いだことにできないかと画策するが…あれもダメ、これもダメ。不幸中の幸いだったのは、王がマッチョで、その肉体美を披露して回れたことくらい。でも、筋肉の衣で寒さは防げない…はたして王は、温もりを手に入れることができるのか!?
『馬鹿には見えない服』を着ているはずの裸の王様が、雪の中で凍死しそうになっています。
温かい服を着たい! このままでは死んでしまう!
誰か裸だと言ってくれ。そうすれば大臣が嘘を言っていると証明できる。
なのに、誰も裸だよって言ってくれません。
そこで王様は街に出て、本当の事を言ってくれる人を探します。
王様は街の中で、色々な人に会って話を聞きます。
あ、こうすればいいんじゃないか!
思いついた王様ですが、大臣もさるもの、推理合戦が始まります。
たくさん置かれたお話の種が、ああやってこうやって絡み合ってなるほどこうなるのね!
王様、頑張ったね。でもちょっと可哀想かな?
物語の全部の伏線が回収されるさまは爽快かつ素晴らしい!
最後のオチまで練られています。
お題フェスの最終課題。
いっぱいいっぱい笑いが詰め込まれています。
ぜひ楽しんで、そして感動してくださいませ!
今回のテーマはアンデルセンの寓話『裸の王様』。「バカには見えない服」などというありもしない服を着せられた王様は、「バカじゃないから服が見えます」という同調圧力に負け、半年もの間裸で生活していた。
しかしまもなく冬がやってきて、さすがにやっていけなくなってしまった。なんとか大臣たちを納得させて本物の服を着なければ凍え死ぬ……。
ここで繰り出す王様の発想がまず面白いです。「バカには見えない服」を逆転の発想で巧みに利用。大臣を欺こうとします。
でも大臣も負けてはおらず。多重解決の推理合戦のような様相を呈していきます。
『裸の王様』以外にも色んな童話ネタが登場し、読者を楽しませてくれます。
最後の最後まで遊び心満載。いつも通り設定やガジェットはぶっ飛んでるんだけど、でもどこかストーリーに説得力を感じるこの感触がたまりません。