元夫に死なれた過去を持つ友近ゆみは、その時の後悔を胸に支援センターで働いている。
半年の研修を経て、初めて一人で受け持つことになったクライアントは同級生の本折という男性。
なんでも、通勤中に見た人の死がトラウマとなり、外に出ることが出来なくなってしまったらしい。
友近は慎重に距離を取りながら、本折の心に寄り添い、温めようと努める……。
社会の中で生きていく内に、どうしても心が追いつかない事態に直面してしまい、引きこもってしまうこと。
そして、引きこもる自分自身を社会不適合者だとして、自分を責めて、余計に苦しくなって家から出られなくなること……。
そんな方々を支援することになった時、自分ならばどうするか?と考えてみました。
やはり主人公のように、慎重に慎重に心の距離をはかりつつ、「どんな自分でも認めてあげればいい」と言うような言葉をかけることと思います。
しかし、本作において、それが意味するものは……!
衝撃のオチ、堪能させていただきました。
是非ともご一読を!!!
トラウマで自室から出られなくなった青年。
それを救おうと勘違いな努力を押し付ける両親と、真に寄り添い「温かさ」を伝えようとする幼馴染。
後者が正しいのだとうっかり結論を出してしまいがちなありふれた物語として終わりを迎え――
温かさを伝えたいという思いが伝わるかは、ただその距離の違いだけ……両親も幼馴染も結局は同じだということが、全く別の視点から、ザクリと切り込まれます。
彼が「温かさ」を感じる距離は、もうそこにしか残っていなかった。
その距離に一番近かった幼馴染が選ばれただけで、それはきっと、両親でも隣人でも赤の他人でも良かったのだろう。
心の皮膚の厚みをここまで鮮烈に描ける作品は稀有です。ぜひ読んでみて下さい!
主人公友近は支援センターで働いている。
彼女は夫が辛い時に寄り添えず亡くした過去があった。
支援するのは何の因果か幼馴染だった。彼は電車の人身事故を目の前で見てから部屋から出られなくなっていた――。
主人公と幼馴染の、小さな頃のエピソードが語られ、主人公友近は幼馴染の繋いでくれる手に助けられ、学校へ行けるようになったそうだ。
いつもと違い、今回はハートフルなお話なのかなぁと思いながら読んでいました。
ともかく読んで!!
なんかもう、それしか言えない…!!
ジェットコースター並みに感情が変化していきました。
あわわわ…そのつらら溶かして良かったのか。
人は人のこと、わかったようでも、わかっていない。そんな気持ちが湧いてくる。
衝撃作。読んでください!ぜひ!!
引きこもりや支援について、いろいろ考えさせられる作品でした。
主人公は友近ゆみという女性。
最愛の夫が精神的に病んでしまい、ゆみはうまく対応できず、彼は死んでしまった。
その時の経験を活かして、彼女は地域支援センターで今は働いている。
そんなゆみは、本折清という三十五歳の引きこもりを支援することになる。
彼は通勤中に人身事故を目撃したショックが原因で外に出られなくなったらしい。
本折と知り合いだったゆみは、親身になって彼に接し、少しずつ外の世界に慣れさせていく。
このまま順調にいくかと思っていたのですが……結末がまさかああなるとは……。
最後まで読んでください。きっと衝撃を受けますよ。
人が引きこもってしまう原因はさまざま。
主人公の友近は、そんな方々に手を差し伸べる仕事をしています。
夫の件もあったので、信念を持っているのです。
彼女が担当することになった人は、なんの因果か幼馴染でした。
在宅ワーカーの彼は、家事も掃除もこなします。
十分立派に思えるものの、どこか自信がなさそうです。
原因は、目の前で起こったショッキングな事故でした。
凍てついた心を溶かせるのは、やはり体温。
小学生の時ぶりに繋いだ手は、かつて勇気をもらった恩返し。
そうして再び、外に出られるように。
彼女が受け入れてくれたから――――
本当に?
結局……他人は他人、私は私なのかもしれません。
トラウマになるような出来事って、想像だけではフォローしきれないのでしょう。
真意を知るころ、もう手遅れなことも。
支援をするにも、覚悟が必要。
そんなことを考えさせられる作品です。
地域支援センターの女性職員・友近が担当するのは、偶然にも幼馴染の男性・本折。
本折の目の前で起きた人身事故がトラウマとなり、彼は一歩も外に出られなくなった。
昔から体が大きくて、気が弱くて、優しい人だった本折。
幼い頃、学校嫌いだった友近の手を繋いでくれたのは本折だった。
友近は親身になって本折に寄り添う。
その甲斐あって、本折はやがて少しずつ変わり始めた。
友近と一緒に、近所まで数歩の距離を彼が歩けたときは、読者である私も心の中で快哉を叫んだ。
社会問題に切り込みつつ、人の温もりの大切さが綴られたヒューマンドラマ……の、はずだった。
言葉だけを見れば美しく重なる二人の想いが、決定的に、そして致命的にズレていた。
その溝が一気に露わになる瞬間の絶望的なカタルシスが凄まじい。
温かかったはずの「体温」がこれほどまでに冷たく響くとは。
これ以上何も書けません。
とにかく、読んで!!
地域支援センター職員と、外に出られなくなった幼なじみの再会から始まる、穏やかな再生の物語です。
主人公・友近は、過去の経験から「焦らない支援」を心がけ、少しずつ、少しずつ相手の世界に寄り添っていきます。
呼吸、ヨガ、体温、ほんの数歩の外出。
その一歩一歩がとても大切に描かれていて、読者も人の心に寄り添うことの大切さを学ばせて頂きました。
でも、この作品はの本当の学びは後半に訪れます。
物語をさかのぼってあの言葉も、この場面も、すべて違う色を帯びて見えてくる。
その感覚がとても強烈です。
人の数だけ、感じ方があります。
人の数だけ、求める救いも違います。
人の心は、そんなふうに単純にはできていません。
最高の支援を学ばせて頂きましょう。
ハートウォーミング。きっとそんな言葉が似合う作品として書いたのかな、なんてことを最初は思ってしまいました。
引きこもりの人間が自立できるよう支援する仕事についている友近。三十五歳になっている本折と会い、「つらら」のようだと自分のことを語る彼を「温めて」上げようとする。
次第に前向きになれる本折。心と心の交流が生まれ、明るい未来へと繋がって……いきそうな雰囲気が醸し出されます。
なんか、ストレートに良い話的なことが書かれているのかな、なんて思わされます。でも、この作者が素直なものを書くかな、という疑問がやはり拭えず。
どこかできっとオチがあるはず。「体温」がテーマだったりするから、本折か友近のどっちかがサイボーグとかそういう結末が待ってるかな、とか色々と想像を膨らませ……。
そしてラストまで読み、「そういう方向か」と何度も頷かされることに。
果たして、「救い」とは誰にとって必要なものなのか。温めること。交流すること。立ち直らせること。それは社会にとって絶対的にプラスとなるものなのか。
これって結構現実的にも出てきそうな問題かもしれないとも思いました。無理に「あたためて」しまうことで、世の中としては思わぬ何かを解き放ってしまうこともある。
そんなテーマ性にも繋がる感じがあり、色々と考えさせられる作品でした。