隻腕の鬼は誰が為に

@Haty1994

隻腕の鬼は誰が為に

茨木童子:俺を従えたお前さんが、もう死にそうなんてな。鬼の力にでも当てられたか?…まぁ、お前さんに使われるのも悪くなかったな。呼び方は気に食わなかったが…。…あぁ?あの泣き虫をだと…?クソ面倒なこと言うじゃねぇか…。わかったよやってやる。…逝きやがった…。

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0:間(場面展開)

0:数日後

義仁:ぐす…お父様…。

茨木童子:まだ泣いてんのかよ。いいかげん泣くのやめろ。鬱陶しい。

義仁:でも…

茨木童子:ほんとくそうっせぇな。喰うぞ。

義仁:ひっ…

茨木童子:チッ…こんなんでいちいちビビってんじゃねぇよ。

義仁:君は僕のこと守ってくれるんじゃないの…?

茨木童子:守るだぁ?ならそうやって言ってみろよ。俺ぁお前になんも言われてねぇからな。

義仁:じゃぁ…守ってよ。

茨木童子:気も籠ってねぇ言葉なんかに従えるかよ。

義仁:そんな…。

茨木童子:あーぁ。お前の親父さんはもっとこう、覇気があったのによぉ。お前は泣いてばっかりでなんも面白味がねぇ。あいつの息子じゃなきゃ、さっさと腹の足しにしてたわ。

義仁:…。

茨木童子:だんまりだよ。そこからまた泣くのか?あぁ?

義仁:ぐす…。

茨木童子:ほら泣いた。ケッ。つまんねぇ。せいぜい独りでメソメソしてろ。俺ぁ散歩でも行かせてもらう。じゃぁな。

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0:間(場面転換)

0:ある日のこと、玄関に義仁と1人の御人

義仁:悪鬼の討伐って…!僕つい最近術を練習し始めたばかりで…それに式だってろくに扱えないのに…!…はい…わかりました…。

茨木童子:(M)討伐だと?まためんどくせぇことになりそうだな。完全にお守り(おもり)しなきゃなんねぇじゃねぇかよ。クソ!

義仁:…茨城童子…

茨木童子:…なんだよ。

義仁:…こんど、討伐隊に参加することになったんだ…。その…、君にも来てほしくて…。

茨木童子:聞こえてたよ。お前が死んだら俺が消えちまうんだ。仕方ねぇから着いてってやるよ。

義仁:あ…ありがとう…。

茨木童子:ふん。

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0:間(場面展開)

0:討伐戦にて

茨木童子:お前何もできねぇんだから下がってろ!

義仁:ご、ごめんなさい!

茨木童子:くそ!小賢しい奴らだ!おいお前!気を俺に送れ!

義仁:気を送るって!?

茨木童子:はぁ!?お前それもできねぇのかよ!まじで足手まといでしかねぇじゃねぇか!クソがよ!

義仁:き、気を…!

茨木童子:(被せるように)いいからもう前に出てくんな!

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0:間(場面展開)

0:討伐が終わり…

義仁:はぁはぁはぁ…

茨木童子:あの戦いのどこで疲れたんだよ。お前後ろでぶるってただけじゃねぇか。

義仁:茨木童子…。

茨木童子:あ?

義仁:守ってくれて、ありがとうね…。

茨木童子:…お前に死なれちゃ俺が困るからだよ。勘違いすんな。

義仁:うん…でもやっぱ君はすごいや。

茨木童子:なんだよいきなり。

義仁:僕が気をわけなくても、どんどん敵を倒してたし。お父様がいれば…もっと…。

茨木童子:またウジウジと…少しはシャキッとしたところ見せてみろよ

義仁:えへへ。僕、これから頑張るよ。

茨木童子:…勝手にしやがれ。

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0:間(場面展開)

0:庭園にて

義仁:「名・茨木童子…ぬしに力を与ふ…る…。力を…以て…

茨木童子:あーやめやめ!全ッ然響いてこねぇ。

義仁:ごめんなさい…

茨木童子:練習に付き合えってんだから、なんかすげーことでもできるのかと思ったのによ。ただぺちゃくちゃお喋りするだけかよ。

義仁:君に気をわけて力を引き出したくて、僕なりに…!

茨木童子:そんな肝っ玉が小さけりゃ、分ける気もないだろうよ。

義仁:じゃぁどうすればいいのさ…。

茨木童子:俺が知ったこっちゃねぇな。まず身体でも鍛えたらどうだ?

義仁:からだ…わかった。

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0:間(場面展開)

0:庭園にて義仁1人

義仁:はぁ、はぁ、…よし…!えい!えい!えい!

茨木童子:…あいつ、まじでやってるよ。…あ、転けた。…あいつ、まじでお前さんの息子か?

茨木童子:…ん?女人どうした?…あぁ、ガキならあそこで遊んでるよ。

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0:間(場面展開)

0:討伐戦砦にて来襲前

義仁:茨城童子…

茨木童子:なんだよ

義仁:今回の鬼…とても強いんだって…大丈夫かな…

茨木童子:ふん。お前はいつもみたいに俺の後ろにひっこんでればいいんだよ。どうせ何もできないんだしよ。

義仁:す、少しは僕も鍛えたんだ!

茨木童子:あぁ?あの遊んでるか何してるかわかんなねぇやつを言ってんのか?冗談はよせよ。…ほら、来たぞ。

義仁:…!?なにあの数の鬼!?

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0:間(場面展開)

0:激戦の最中

茨木童子:クソ!雑魚がちょこまかと!

義仁:大丈夫!?

茨木童子:うっせぇ!てめぇはてめぇの心配してろ!…おいおい人間どもも押されてんじゃねぇかよ!しっかりしろよ!

義仁:「五行・火の神よ!邪気を焼き払え!」…!?く、来るな…!

茨木童子:チッ!俺を無視してんじゃねぇよ!

義仁:茨木童子!

茨木童子:何もできねぇなら下がってろ!

義仁:茨木童子…みんな…みんなが…!!

茨木童子:人の心配してる場合かよ!

義仁:みんなを助けないと!!「五行・水の神よ!悪鬼を押し返せ!」え!?この数じゃ押し返せない!?

茨木童子:おい!腐っても俺の使役者なんだ!落ち着け!

義仁:でも…!みんなどんどん死んじゃってる…僕が何もできないせいで…僕も死んじゃう…お父様…お父様ぁ!

茨木童子:…チッ…よく聞けよ。大丈夫だ。お前が死ななきゃ俺は消えねぇんだ。てめぇには手ぇ出させねぇから。

義仁:茨木童子…僕どうしよう…術も鬼に効かない…

茨木童子:俺がいるじゃねぇか!俺を使えよ!

義仁:え…?

茨木童子:いいか、俺たち式神ってのは本来使役してるやつの気をもらって全力を出すもんだ!

義仁:でも僕、練習しても君に一回も気を分けることできなかったのに!

茨木童子:送り方はなんだっていい!念じても、言葉でも!…言いたかないが…お前の言葉で討伐にも一緒に来てやっただろ!まがりなりでもお前の言葉が俺を動かしてんだよ!

義仁:お父様ならもっと…

茨木童子:あいつも最初から俺を上手く使えてたとでも?!とてもじゃねぇよ!鬼の使い方も知らねぇで俺のこと式にしやがって、あの困り面は最高だった!

義仁:お父様が…?

茨木童子:(お父様が…?に間髪入れずに)そうだよ!あぁ今はそんなこたぁいい!でもな、あいつぁ片腕一本無くした俺を頼ってくれた!お前も言ってくれただろ?!すげぇってよ!親父さんと一緒なんだよ!ならお前のために戦ってやる!俺を使ってみろ!

義仁:…僕は…僕のせいでみんなが死ぬのが嫌だ…。お父様みたいにみんなを護りたい。

茨木童子:…よし、良い顔だ。親父さんに似てる。言ってみろ。俺にやってほしいことはなんだ?

義仁:みんなを…もうみんなを死なせないで!みんなを守って!

茨木童子:…あぁ?くそ面倒なこと言うじゃねぇか。鬼の俺に人を守れだと!?いいぜやってやる!しっかり見てろよ!

義仁:「名・茨城童子!ぬしに力を与ふる!力を以て悪鬼を打ち祓え!」

茨木童子:?!腕が?お前何をやった!?

義仁:何って、茨木童子が戦いやすいように腕を…!

茨木童子:…ははは!やればできんじゃねぇか!いくぜ!うぉぉぉぁぁぁ!!!

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0:間(場面展開)

0:庭園にて

茨木童子:…空が青ぇなぁ。…こりゃぁ散歩日和だわ。

義仁:おーい童子!

茨木童子:チッ、なんだよ?

義仁:鬼だ!行こう!

茨木童子:わーったよ。…てかその「童子」って呼び方やめろ。

義仁:でも…「茨木童子」っていつも呼ぶには長くないかな?

茨木童子:…お前、俺に腕生やせたくらいで調子に乗りやがって。しかも式もまだ俺1人だぞ?

義仁:これからだよもう!いいから行こ!

茨木童子:…はぁ。いらんとこまで親父さんに似やがって。喰ってやるからな。

義仁:それ怖いからやめて!

茨木童子:うっせぇ。ほら行くんだろ。しっかり俺に力使わせろよ。

義仁:わかってるって!

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