ディグ

そぼろはるまき

プロローグ:始動

​​(ズドンッッッ!!!! パァァァーン!!)

​黄色と青の模様が、床に半分めり込むほどの衝撃。直後、ボールは高々と跳ね上がり、天井の照明ガードで花火のような炸裂音を立てて弾け、観客席へと飛び込んだ。

​「…………ゥワアアアアアーーー!!!」

​一瞬、何が起きたか分からず静まり返っていた体育館が、次の瞬間、幾重にも重なった歓声を重奏サラウンドさせて窓ガラスを震わせた。


​『ピッピピーー!!!! セットポイント、城南!!』

​「っ……、ィェーィヤァアアーー!!」

碧斗あおとは、5人の仲間たちと喜びを爆発させた。

かつてプロの舞台で、あるいは前世の記憶の中で、これほどまでに熱い1点があっただろうか。ここまでの道のりが苦しかった分、互いを称えるハイタッチがいつもの十倍、いや百倍の士気を跳ね上げる。

​「俺たちは、戻ってきた……!」

​突き上げた拳に、仲間たちが次々と拳を重ねる。その拳の熱さが、碧斗に「今」が現実であることを実感させた。

​高校生バレーボーラー、碧斗と仲間たちは、「あの日」コートに残してきた心に、今ようやく追いついた。

碧斗にとって、どんな「代償」をはらったとしても、この絆だけは失いたくなかった。


​リベンジを誓った六人の高校生は、9メートル四方のコートの中央で吠えた。

「俺たちは勝ーつ!! イィヤアアアアー!!」

​全日本バレーボール高等学校選手権大会、神奈川県大会予選。

通称「春高バレー」への出場をかけた決勝戦。

​バレーボールに明け暮れる高校生たちの憧れ、その聖地への切符を賭けた戦いは、あまりにも対照的な二校によって繰り広げられていた。

3年連続10度出場の絶対王者私立・北総ほくそう高等学校。

対するは、去年まで万年2回戦敗退の無名校・県立城南じょうなん高等学校。

​下馬評を覆し、試合は最終第5セット、運命のファイナルセットへと突入した。


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