執着

@0_0ai

第1話

私の名前は、華薫(はなか)

私には、数ヶ月前に付き合った彼氏がいる。

名前は、翔真(しょうま)


彼は、自分から告白をしたいタイプだと言っていたのに

いざ告白しようとすると私にバレバレで

顔を真っ赤にしながら、お酒の力を借りて

ほとんど寝言なような声で告白をしてくれた。


そんな翔真は今日も可愛い。


「ねえ華薫さん、俺のこと好きですか?」


彼は行きつけの喫茶店のトマトパスタを食べながら、何気ない表情で私にそう聞く。

そういう問は生まれて初めてだった。

私の頬は赤くなる。

彼の食べるパスタに混ざりながら、私はフォークにクルクルと巻かれて

彼の口の中に入りたい、そんな気持ちになった。

彼の言葉を聞いて何も言えなかった。

私たちは喫茶店を出て、

数歩歩いた。

お腹が苦しいです!と笑顔で報告をしてくる君に、私は笑うことしか出来ない。

「あの、翔真くん。」

私は苦しいような悲しいような表情で名前を呼んだ。


「どうしたんですか?あ、デザート食べ忘れましたね!コンビニでも行きますか?」

私が今にも泣きそうな顔をするものだから

気を使ってくれたのだろう。

彼の瞳はまるで、初日の出のように暖かく

そして、綺麗であった。


彼と付き合ってから私は、彼に本当に好かれているのか不安で心に鎧を纏ったように重くて冷たくて、そして苦しかった。


だけど彼も同じように、私に愛されているのか分からなかったのだろう。

私は、自分が彼を愛していればそれでいいと思っているから愛などほとんど伝えたことがなかった。

愛を伝えても、彼の中で薄くなって消えゆくだけだから。


私と翔真くんはコンビニに走った。

近い距離なのに彼が手を引いて離してくれない。

何処にも行くなと伝えるように、

強く強く、私の手が白くなってしまうくらい

握りしめている。

5分ほど走って、

コンビニに入る前、

彼はまた聞いた。


「ねえ、華薫さん。俺の事好きですか?」


私はこう答えた。


「ええ、もちろん。愛しているよ、」


彼は目を丸くしながら、

自分は愛されているんだと自覚して、

足早でコンビニに入る。

なんて可愛いのだろう。

君の私を写す瞳も、喋る声も、

私の声を聞く耳も、


私のために存在しているかのように

自分の体を使って、愛をくれる。

君は、私に愛されたいし愛していたいのだろうな。


私は急に可笑しくなり、笑いだした。

すると君は

嬉しそうな顔をしながら泣き始めた。


君の瞳は冬の朝の海のように太陽に照らされて、宝石のようにキラキラとしている。

その目玉を私の心の臓に入れてしまいたいくらい

美しい。

私は君が好きだ。

とっても、

とっても。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

執着 @0_0ai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画