沖縄の結婚式

今田今日史郎

第1話 結婚式

数学教師の田中誠二、33歳。


「今から授業始めます」


桜が咲く季節だった。


僕はふと幼なじみだった吉田玲子のことを思い出した。


家が近所で親同士が仲が良く、玲子と僕は何となく仲良くなった。


小学校と中学校と高校が同じだった。


「これで、授業を終わります」


今年初めの最初の授業が終わった。


女子生徒の話てる声が耳に入った。


「田中先生て、初めは怖そうだけどちょっとカッコいいかも?」


「本当に?」


「趣味悪くない?」


僕は女子生徒に話かけた。


「からかうなよ」


女子生徒が


「先生、冗談ですよ」


女子生徒3人が笑った。


僕の出身地は静岡県で、今神奈川の高校で数学の教師をしている。


玲子は高校卒業後、美容師の専門学校を卒業して東京で美容師をしている。


ある休みの日に封筒が届いた。


田中誠二様へ。


封筒を開けてみた。


吉田玲子からの手紙だった。


吉田玲子は映像作家の山下拓哉さんと結婚する事になりました。


結婚式は山下拓哉さんの出身地の沖縄県那覇市で式を挙げます。


ご来場の方は○をつけてこの住所にお送り下さい。


僕は玲子との思い出を思い出した。


高校の時たまたま玲子の友達と僕の友達と4人で水族館に行ったとき、玲子の友達と僕の友達が行けなくなり、2人で水族館に行った。


玲子が


「色んな魚いるね」


「うん」


「綺麗な魚もいるね」


「うん」


「私も綺麗な海で泳いでみたい」


「どこがいいの?」


「どこでもいいけど、沖縄」


「行けるといいね」


玲子の顔が薄暗い水族館の中で少しにやけて見えた。


「誠二」


「何?」


「私たち付き合ってるみたいだね」


「うん」


僕は切なくなった。


僕が、


「付き合う?」


玲子は笑った。


「バカ」


2人は笑った。


僕は来場に○をつけ住所に手紙を送った。


2025年5月2日玲子の結婚式の日時。


ふと僕は玲子にとって、僕はどんな存在なんだろう?という疑問が浮かんだ。


ただの幼なじみなのかな?


玲子は僕のこと好きになったことあるのかな?


もやもやした感情が湧いた。


僕は1日前に学校の休みを取り沖縄行きの飛行機に乗った。


iPodで中学時代、玲子に貸したCDのアルバムを聞いた。


中学時代の玲子を思い出した。


「誠二、モンバチのCD持てる?」


「うん」


「貸して」


「いいよ」


「これ」


「MESSAGE?」


「一曲目いいよ」


「聴いてみる」


「MDに焼こうか?」


「ありがとう」


結局、CDも貸してMDも渡した。


「玲子、CDどうだった?」


「いいアルバムだった」


「何曲目が好きだった?」


「3曲目」


飛行機が飛び上がる瞬間に「あなたに」が流れた。


僕は飛行機の中でモンパチのアルバムを聴いていた。


飛行機は沖縄に着いた。


僕は美ら海水族館に向かった。


サメやマンタやイルカのショーを見て回った。


もし僕が玲子と付き合い、沖縄旅行をしていたらそんな妄想をしている自分に気がついた。


僕は玲子のことが本当に好きがったのだろうか?


高校生の時、玲子と2人で水族館に行き、告白していたら玲子と僕の未来は変わっていたのだろうか?


そんなことを考えながら、イルカのショーを見ていた。


僕は親戚に配るお土産を買った。


昼食を済まし、予約してあるホテルに向かった。


ホテルの近くにビーチがあり僕は、チェックインを済ませ海を見にビーチに向かった。


沖縄の砂はさらさらしていて気持ちが良かった。


ビーチの近くで観光の親子が遊んでいた。


海の方で泳いでいる女性がいた。


女性はビーチに向かい泳いできた。


「誠二?」


女性は僕を見てそう叫んだ。


僕は女性を見た。


水着を着た吉田玲子が海の浅瀬に立っていた。


「玲子?」


玲子は不思議そうにこちらを見ていた。


玲子が近寄ってきて、


「久しぶりだね」


「おう」


「横に座っていい?」


「うん」


玲子が僕の横に座った。


「久しぶり」


「うん」


僕の心臓は高鳴った。


僕も玲子の隣に座った。


僕は一瞬、沖縄の海の遠くの方を見た。


僕は玲子を見た。


水着を着た玲子はとても綺麗に見えた。


「誠二もここのホテルなの?」


「うん」


「私たちもこのホテルに泊まってるの」


「そうなんだ〜」


「旦那さんと私のお父さんとお母さんでホテルに泊まってる」


僕は玲子の口から旦那さんと言う言葉を聞いて戸惑った。


「誠二、彼女はいるの?」


「いるよ」


僕はとっさに嘘をついた。


「写真見せて」


僕はあわてて昔の彼女の写真を見せた。


玲子が


「かわいい人、職業は?」


「僕と同じ高校の先生、国語を教えてる」


「年齢は?」


「2コ下」


「31歳?」


「そのぐらい」


僕は冷や汗が出た。


去年別れたばかりだった。


「名前は?」


「山田里奈」


「かわいい名前」


「結婚は?」


「まだ考えてない」


「そっか〜」


玲子も海の遠くを眺めていた。


「玲子、旦那さんといつ知り合ったの?」


「5年前友達の紹介で」


「そうなんだ」


「職業は?」


「映像作家さん、テレビドラマの編集やってるの」


「そうなんだ、どんなドラマの編集してるの?」


「踊らない大捜査線とか」


僕は驚いた。


僕の好きなドラマだった。


「旦那さん、映画監督になりたいらしい」


「へ〜、玲子は美容師続けてるの?」


「うん」


「子供は?」


「まだ、いないよ」


「誠二、毎日楽しい?」


「何だよいきなり、そこそこ」


「玲子は?」


「楽しいよ」


玲子の顔が明るくなり、輝いて見えた。


辺りが少し暗くなってきた。


玲子が、


「もうホテルに帰るね、バイバイ明日ね」


「おう」


僕は薄暗くなる海の波を見ていた。


僕はホテルで夕食を食べすぐに部屋に戻った。


玲子の明るい笑顔を思い出した。


僕は眠りについた。


結婚式はホテルの1階のホールで行われた。


テーブルが5つほど別れていて、玲子の友人の席と旦那の拓哉さんの友人の席に別れていた。


僕はテーブルの料理を食べながら、玲子と拓哉さんが出てくるのを待った。


そして父親に手を引かれながら玲子がウェデングドレス姿で出てきた。


拓哉さんは席についていた。


玲子のウェデングドレス姿はとても輝き綺麗だった。


友人のスピーチが始まり僕の番が回ってきた。


「吉田玲子さんの幼なじみを代表してスピーチをしたいと思います」


「吉田玲子さんとは幼なじみで、小学校と中学校と高校の12年間一緒に過ごしました。元気で明るい女の子でした」


「吉田玲子さんは美容師の専門学校を卒業され、立派な美容師になりました」


「そんな幼なじみが33才になり、沢山の人に祝福されて結婚します」


「吉田玲子さん、山下拓哉さん末長く幸せになられますように」


「ご結婚おめでとうございます」


僕の心の中に切なさと喜びが湧いて出てきた。


僕は泣いていた。


「もう一回言わせて下さい。ご結婚おめでとうございます」

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