完璧な未完成!~未完成を愛した男

pumota

第1話 未完成な俺と完璧な彼

未完成は完璧!

俺の部屋には大きな字で書いた紙が壁に飾っていた。

俺はそれを視線の端でとらえて深く深呼吸する。


「よし!」


頬を叩き気合を入れる。


いつものように一人で登校していつもように自分の席に座る。


「ふふ、今日も完璧だな」


窓から光が差し俺に差し込む。

まるで祝福のようだ!

そんな時間に水を差すように教室のドアから俺の天敵が入ってくる。


「おはよう。みんな」

「おはよう!最上君!」


西条最上さいじょうもがみクラスに一人はいるイケメン完璧超人だ。

中性的な顔立ち。すらりと長い手足。容姿は完璧。運動も勉強も上位者。

俺が嫌うだった。


彼はみんなに挨拶しながらこちらに向かってくる。

そして俺の隣の席に座る。

すると少し目を落として話しかけてくる。


「君は相変わらず一人だね?」

「ほっとけ」


俺は手をひらひら振る。


「僕が友達になってあげようか?」

「結構だ」


西条の顔に影が落ちる。


「僕の誘いを断るなんてほんとおかしな人だね君は」

「あのな、俺はお前みたいな未完成は嫌いなんだよ」

「またそれかい?完璧な僕を捕まえて何を言うのやら。さては僻みだね?」

「そんなわけあるか!」


はあ、今日は一段としつこいな。

そう感じつつも何となく言いようのない胸の引っかかりを感じて無視できない。


「まあ、いいさ。いずれは僕の友達になりたいという日も来るさ」


そういって前を向く。


そうして厄介な時間を終わらせて担任の先生が入ってきてホームルームが始まる。


「あーお前らに報告がある。今日は身体測定が一時間目からあるからよろしくな」

「はあー!?ちゅうさんいきなり過ぎない!?」

「そうだな。お前らの訴えも分かる。だがしかし悪いのは俺ではないドラゴンモンスターズだ。こんな忙しい時期リメイク版を出すなんてなんて奴らだちきしょう!」


このとんでも発言をしている担任教師は田中たなか 中吉ちゅうきち36歳独身。


「いや、ただ徹夜しただけじゃねーか!」

「てへ」


舌を出しててへって古いな。だがこの完成されていない感じがまさしく完璧だ。

まあ、完璧すぎる気もするが。


「ほら見ろ西条。あの人を少しはお前も見習え」


そう言って西条に最高のお手本を提示するが、横の西条は顔は真っ青であった。


「おい?どうした体調でも悪いのか?」


いつもならちゅうさんに文句を言ってるはずなのだが、おかしい。

西条は顔を引きつらせながらこちらを向いて言う。


「も…問題ないよ?…」


顔を真っ青にしてこの感じは急患だな。


「先生見ての通り西条くんの調子が悪いみたいなので保健室に連れていきます」

「おお。たのむぞ。ぼっ……日高」


このおっさん俺のことぼっちって言いかけたな!?

ぼっちなのは同志が見つからないからであって好きでやっているわけでは…ってそんな場合じゃない!

俺は西条を無理やり担ぐ。


(うん?こいつ以外に軽いな?)


身長はあるのに変な奴だ。--とそんな場合じゃなかった!


急いで俺は保健室に連れて行ったのであった。

保健室にはまさに保健室の先生といったお色気ぷんぷんの先生ではなくおばあちゃん先生がいた。


「あら、そのどうしたの?」

「急患?です」

「ふふ、疑問にするとはセンスがある生徒ね?」

「恐縮です!」


おばあちゃんは未完成界隈でも上位に存在する存在だ。

従うのが吉だ!


「ここに寝かしてくれる?」


俺は先生の指示通りベッドに寝かせる。


「私は用事で外すからちょっとの間様子を見ていてくれるかしら?」

「はい、了解です!」


そうして先生は出ていく。


そうすると一気に保健室は静かになった。

残ったのは鳥の鳴き声、ほのかに差す光、保健室特有の匂いだけだった。


「はあ、いい感じの未完成だな」

「そうかもね……」


俺の独り言に西条が反応していた。


「珍しいな。未完成をいいなんて言うのは」

「そうも言いたい気分なんだ」


沈黙が二人に間に満ちる。


「なあ、今のお前嫌いじゃないぞ?」


西条は手を口に持っていく。


「ふふ、急だね?」

「ああ、今のお前は俗にいうところの弱っているところだろ?完璧なお前がそんな感じなのは俺にとって…親しみやすいんだよ」


俺は癪に触って何となくそっぽ向く。


「親しみやすい?」

「棘がないバラなんてバラじゃないからな」

「なんとなく言いたいことは分かるよ」


俺は視線を宙にやる。


完璧はいい事だと思わない。良くないとも思わない。ただ不完全とのバランスが一番綺麗に見えるんだ


「君にはそういう風に世界が見えているんだね?」


そういって西条は布団を握りながら深呼吸する。


「君に聞いてほしいことがある」

「俺でいいのか?」

「君だから話せるのかもね?」


そういって笑う。その笑顔には確かな重みを感じられた。


「わかった」


俺は一言だけ言って頷く。


「じゃあ言うね」

「おう!どんとこい!」


俺は両手を広げて準備が出来ていると構える。


「実は私…」

「私?」


この時に俺は気軽に聞くんじゃなかったと後悔することになるとは知らなかった。


「私女の子なの!」

「……へ?」


こうして完璧を追い求める彼女の秘密…を知ることになったのであった。






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