37階のホカンス

LEEBINU

37階のホカンス(短編)

ある男が朝、目を覚ます。いつもと違って、どういうわけか爽やかで澄んだ気分で起き上がる。起き上がった姿勢のまま、ぼんやりと外を眺める。日差しは、いつにも増して暖かく眩しい。

「天気、本当にいいな…」

そう思いながら、シャワーを浴びるため浴室へ向かう。浴室へ向かう途中、適当に投げ出された洗濯物がカゴから溢れている。

『まあ…もう関係ないか?』

浴室でシャワーの水を出し、指をひらひらさせながら水温をチェックする。ちょうど気持ちいい温度の水が出るやいなや、頭から濡らしながら、

「うおおおお~」

と、心地よい声を上げる。いつもより隅々まで丁寧に体を洗う。鏡に映った自分の姿を見て、苦笑いを浮かべる。

『本当に、こうやって自分の顔をじっくり見るのも久しぶりだな…』

思ったよりずっと歳をとった自分の顔を見て、ため息をつく。服をきちんと着替えて外へ出る。長い冬が終わり、暖かい春が満ちている天気。すべてが美しく、祝福の中で揺らめいているようだ。

「日本の春はこれだよ…これなんだ…ピンク色に満ちるってやつ~」

鼻歌まで歌いながら、軽い足取りでどこかへ向かう。しばらく繁華街を歩いて、あるコンビニに到着する。コンビニに入り、バスケットを持ってあちこち見て回る。まず酒コーナーへ行き、ビールやワインなど様々な酒をバスケットに入れる。

『お…これは新しく出たビールか?天然水で作った生ビールだって…?味はどうだろう?』

新しく出たビール缶をバスケットに入れて、今度はスナックコーナーへ移る。

『ふふ…今まで体のこと考えて太るのが嫌で食べられなかったもの…今日は思う存分食べて飲むぞ!』

取り憑かれたように菓子や高カロリーチョコレート製品をどんどんバスケットに入れる。表情には幸福感さえ浮かび始める。店員はいつものように働きたくなさそうな様子で、淡々と言う。

「8,900円になります…」

なんてことだ、コンビニで一度の買い物で8,900円だなんて。いつもなら考えられないことだ。

『まあ…今日はこれくらい贅沢してもいいか…』

値段に少し驚きながらも、悠々と金を払ってコンビニを出る。再び目的地へ向かう。

『えっと…チェックインは午後3時からだったかな?…今12時半だから…まあ、頼めば少し早く入れてくれるんじゃないか?』

いつの間にか数日前に予約したビジネスホテルの正面に立ち、チェックイン時間を確認しながら迷う。しばらくためらうが、やがて決心したようにホテルの扉の中へ堂々と歩いて入る。

「いらっしゃいませ。ご予約されていますか?」

優しい顔でホテル職員が元気よく声をかけてくる。

「あ、はい…カン・ヒョンモと申します…今日、客室を一泊で予約したのですが…」

「カン・ヒョンモ様ですね?少々お待ちください。」

ホテル職員はフロントでパソコンのキーボードを叩きながら男の名前を探す。待ちながらホテルの外の風景を眺める。都会の人々は忙しく通り過ぎ、それぞれの目的に向かって走るように歩いている。その姿がなぜか憂鬱に感じられる。

『これってもしかして…今この世界で一番余裕を感じているのが俺じゃないか?ははは…こんなことになるなんて…俺が…』

外を眺めながら妄想に浸っていると、ホテル職員が嬉しそうに声をかける。

「お客様、お待たせいたしました!チェックインのお時間は本来午後3時なのですが、幸い既にお部屋の清掃が終わっておりますので、今すぐチェックイン可能でございます。こちらの記入事項をご記入いただけますでしょうか?」

今日はなぜか運がついている日のようだ。男はにっこり笑いながら、ホテル側から差し出された書類に自分の個人情報を書き記していく。住所、名前、職業、年齢…自分がこの世に生まれてから今まで築いてきたすべての「事項」が、ホテル受付の用紙に記録されていく。

『えっと…東京都新宿区…名前…カン・ヒョンモ…職業…会社員…年齢…』

漏れなく用紙を記入した後、ホテル職員にそれを渡す。

「こちらになります。」

「ありがとうございます。鍵はこちらでございます。ご要望通り、当ホテルで最も高い階にお部屋をご用意させていただきました。楽しいご滞在になりますように。」

「おお、そうですか?無理だと思って一応お願いしたんですが、本当にありがとうございます。」

「では、エレベーターはあちらでございます。」

ホテル職員は最後まで優しさを保ったまま、エレベーターへと案内する。

『今日、本当に全てうまくいってるな。最後までこうであってほしい。』

コンビニで買ったやや重い荷物を両手に持ったままエレベーターに乗る。カードキーをセンサーにかざすと、エレベーターが作動して最上階の37階へ向かう。

『腹いっぱい食べて飲んで、好きな映画を観ながらごろごろして過ごそう。いったいどれだけぶりの安息だ~』

両手いっぱいに持ったコンビニ袋を交互に見つめながら微笑む。実に久しぶりに何にも縛られない、本当の平和を今感じていた。部屋はありがたいことに非常口の横の隅に位置する最上階の部屋だった。カードキーで部屋の扉を開けると、ちょうど清掃を終えたばかりなのか、香ばしい洗剤の匂いと新しいシーツの匂いが漂ってきた。

「結構いい部屋じゃないか?新婚旅行以来、こんな部屋は初めてかも?」

部屋にあるテーブルと椅子をテレビの前に移動させてから、コンビニ袋をその上に置く。しばらくの間、窓の外の風景をぼんやりと眺めている。今この瞬間だけは、誰よりも高い視点から下を見下ろし、その様子を楽しんでいる。

『高いは高いな…やっぱり金はいいもんだ…くくく…』

テレビのリモコンを探して映画ストリーミングサービスのチャンネルに入り、いつも好きだった映画を視聴リストに入れておく。タイトルだけでもワクワクする映画がリストに次々と積み重なっていく。コンビニで買ってきたつまみと酒をテーブルの上にずらっと並べながら、何気なくタバコに火をつけて口にくわえる。ホテルが禁煙室であることはよく知っている。しかし行動には全く躊躇がない。

『今日に限ってタバコはまた何でこんなに美味いんだ…』

深くタバコを吸いながら、濃い煙を部屋中に吐き出す。

『プシュッ』

「天然生ビール」と書かれたビール缶を開けて、一気にごくごくと飲み干す。

「くあああああ。」

これまでビールが好きであれこれ飲んできたが、この味は本当に格別だ。自分でも気づかずに微笑みながら缶を見つめる。

「最高だ、最高。」

既にテレビの中では好きだった(既に何十回も見た)映画が流れており、ちょうど一番好きだった場面の一つが流れている。油っぽくて砂糖まみれのつまみを口いっぱいに入れて、もぐもぐと噛む。冷たくて爽快なビール、油っぽくて甘いつまみは、本当に限りない幸福感をもたらしてくれる。

「世の中…これが幸せだよ…わあ、本当に幸せって何があるんだ?」

いつもやせこけた外見のように、自分を抑制して生きてきた。言いたいこと、やりたいこと、食べたい食べ物、飲みたい酒、そのすべてを抑制して生きてきたのだ。その抑制という牢獄から解放された今、限りない自由の中で、まさにエンドルフィンがどんどん湧き出る気分を感じる。映画はまた何でこんなに面白くて胸に響くのか。いったい今この瞬間、この空間に足りないものは何だというのか? あまりにも大きな幸福感を感じる。

ビール缶は積み重なり、映画は既に3本目が流れている。映画を面白く見ているのか、ただ音だけ聞いているのか、彼は欲望的につまみを口に押し込み、酒を流し込みながらこの瞬間を満喫している。タバコの吸い殻は空のワイン瓶に既に3分の1ほど溜まっており、部屋の中は鼻につくタバコの煙で満ちている。幸い火災警報器が作動したり、他の部屋からクレームが入ったりはしていないようだ。まあ、平日のこの時間帯に誰がそんな最上階のホテルに泊まっているだろうか。

3本目の映画は既にエンディングクレジットが流れており、切ない音楽が流れている。最後のヒロインの台詞が頭の中を巡る。

「愛してます…おじさん…」

おじさんが俺をおじさんと呼ぶほどの若い女に愛してると言われるのは、決して簡単なことではないだろうに…。

「愛してます、おじさん…」

静かにその台詞を呟いてみる。

『愛してるよ…パパ…』

その台詞は頭の中で、いや胸の中で「愛してるよ、パパ」という台詞に変わって、耳元で繰り返し響く。ホテルの天井を見上げながら、再びタバコの煙をふうううと濃く吐き出す。既に酔いは体全体を包んでおり、アルコールは囁くように言う。

『お前がしようとしている重要な決断に、俺が勇気となってお前の体を導いてやる。さあ、もう一杯いこう!』

まるでアルコールの奴隷になったかのように、再びごくごくと酒を飲み干す。既にすべては、もはや「俺」ではない感じだ。この部屋と俺は一つになったようで、このホテルの床と俺は一体化している。俺の口にくわえているタバコは既にタバコではなく俺自身であり、燃えていく吸い殻もまた俺自身だ。俺の口から吐き出しているタバコの煙はそれ自体が俺の魂であり、天井で空気に混ざって消えて、ひどいタバコの臭いだけを残しているこの状況は俺の霊だ。

いつの間にか瞳に虚しさが漂い始める。ゆっくりと体を起こす。食べて飲んだ後に残ったゴミや空き缶、ワイン瓶などを再びコンビニ袋に入れ始める。

『いくらなんでも禁煙の建物でやりすぎたかな…本当に申し訳ございません、ホテルの方々…』

窓を開けて部屋の中を換気しようとする。冷たい空気とともに、いつの間にか時間が経って夕焼けに染まった空が再び語りかける。

『さあ、もういいんだろ?じゃあ始めよう。』

ゆっくりと頷きながら、タバコ一本とライターだけを両手に持つ。

『頭が痛いな…ちょっと外の空気を吸わないと。』

ホテルの部屋のドアを開けて、自分の部屋のすぐ隣にある非常口のドアを見つめる。こっちから出られるかな?取っ手を掴んで回してみる。ドアは何の抵抗もなくきいいと音を立てて開く。重いドアを開けると、外の空気がばっと顔を打つ。

『本当に今日は駄目なことが何もないな。』

非常口の外へ出る。建物の外壁についている非常階段と繋がっていて、風が非常に強く吹いている。

『うわ、やっぱり高い所は風が強いな。』

しばらく体がよろめいて、階段の手すりを掴んで下を見下ろす。既に人々は人の形をしておらず、小さな点となって蟻の群れのように列を作って移動している。遠くの道路では、マッチ箱のような車がずらっと並んで、互いに先に行こうとクラクションを鳴らしながら止まっている。

静かに地平線の向こうの夕焼けを見つめる。口元には軽い微笑みが、目には夕焼けの光がいっぱいに満ちている。持ってきたタバコ一本を再び口にくわえる。火をつけようとするが、なぜかライターが作動しない。風が強すぎるせいだろうか?風を背にして何度もライターを押してみるが、相変わらず作動しない。

『おいおい、最後の最後でこれかよ?』

タバコをぺっと吐き出し、ライターも階段の床に投げ捨てる。そしてまた夕焼けを見つめる。もういいんだ。これでいいんだ。俺はここまでだ。これ以上は怖くて辛くて寂しくて疲れて無理だ。この道を歩くのをやめることにした。もう歩かないことに決めた。

静かに手すりに腰掛ける。既に足は宙に浮いている。ずっと夕焼けに向かっている。まるでこの瞬間が終わったら、あの夕焼けの中の世界へ飛んでいけるような気分だ。手すりに腰掛けたまま後ろを振り向き、落ちているタバコの吸い殻とライターを見つめる。

『あれ一本だけは…ちょっと寂しいな…』

瞬間、躊躇なく手すりから自分の体を離す。風は非常に強い。顔がもげそうだ。服は絶え間なくはためいて、まるで飛べない生き物が無駄な羽ばたきをしているような感じだ。

考える。

『最後まで世話になりっぱなしでした。ホテルの方々、申し訳ございません。』

夕焼けは赤い光を燦然と輝かせながら、静かに消えていく。

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