黒魔法の旋律は鳥籠に囚われて
@pinknootukisama
第1話 始まりの日
その日は、良い天気だった。
良い天気だった、と言っても一日の大半を塔の中で過ごすリヒトにすれば、あまり関係のないことだったのだが。
「はぁ…」カーテンの外から差し込む太陽の光と、これから始まる1日を想像しリヒトは深いため息を着いた。
最も、ただでさえ明るい性格とは言えない彼がさらに暗い顔をしているのには理由があった。
今日、彼の勤務先である北塔の最上階に新たな入居者が来るからである。
『鳥籠の塔』___それが、彼リヒトが門番を務める塔の名前だった。
元々、この世界に生まれてきた人々は各々違う魔法を持っている。例えばリヒトの場合は時を止める魔法。リヒトはこの世にも珍しい魔法と、持ち前の剣術と、そして努力家な性格を買われ最年少で塔の門番に上り詰めた。
しかし、その魔法の中にはいささか魔法使い同士でも厄介と言わざるを得ない魔法があったのだ。例えば、触れたものを燃やすだとか、毒ガスを噴射するだとか。
少し間違えば他人を殺しかねない、そんな魔法達を政府はいつからか黒魔法と名付け、そして、そんな魔法を持つ黒魔法使いと呼ばれる人々のことを、魔力が強くなるとされる16歳の誕生日を迎えると共にこの鳥籠の塔に集めて、よく言えば保護、悪く言うならば監禁するようになった。それが今から約数百年前の話である。
けれど、今現在の塔の中は思ったよりも快適で東西南北分かれた塔の52はあるフロアの中には家や娯楽施設、飲食店などがあり、さながら街のような作りになっていた。リヒトも、ここで一生暮らしたいとまではいかなくとも、少し住んでみたいという気持ちを持つことはあったほどに。
そして東西南北の4つの塔とフロアには黒魔法の強さに応じてそれぞれ別の黒魔法使いが住んでいる。中でも1番凶悪な魔法使いが住むされる北塔の、その中でもさらに強い魔法であるとされる最上階、つまり今この世で最凶の黒魔法使いとされる人物が、今日この塔に入ってくるのだった。
「どんな奴なんだろうな」日課である珈琲を飲みながらリヒトは考える。
事前貰った資料に一通り目は通したが、学校にも通っておらず、あまり外界との関わりを持たなかった人物だったようで大した情報は入って来なかった。
まぁいい。リヒトは立ち上がり支度を始める。例え相手がどんな魔法使いであれ、自分は仕事をこなすだけだ。大丈夫、きっと俺ならできる。そう自信を鼓舞する。
深呼吸し、瞼を開けたリヒトの瞳にもう迷いはなかった。どこまでも深い深いアメジスト色の瞳が、これから起こるであろう未来をじっと見つめていた。
次の更新予定
黒魔法の旋律は鳥籠に囚われて @pinknootukisama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。黒魔法の旋律は鳥籠に囚われての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます