さぁ、これよりとびきりの転生者狩りを!

ATNIA040

第1話 転生者湧きすぎにつき、狩猟解禁!

何故こうなったんだ

どうしてこうなったんだ?

自分の頭でよく考えてみよう

放置し過ぎた、というのが一番の理由だろう

ていうかそうだ

転生者が現れてからが全ての始まりだった

奴等が現れてから狂い始めたんだ


最初の「転生者」が現れた時、

それはもう衝撃的だった。

彼らは異界の知恵を持ち、異次元ともいえる力を持ち、魔物を倒し、厄災を止め、何度も世界を救った

あの頃の転生者は、まさに「SSR(スーパースペシャルレア)」だったのだ。

世界の均衡を守る管理者としての立場の私からすれば、勝手に現れた見ず知らずの奴が自分の仕事を次から次へとやってくれる

当時の自分も頭のおかしい事をした

普通別世界から来たやつ後いたならバランスを保つ為に殺すだの追い返すだのまだ何とかできる時ではあったはずだ

だが次々と現れる魔物

次々と起こる厄災

倒せしても現れ、止めても起こり

しかし転生者がそれを勝手に解決してくれた

ストレスも疲労も限界だった私からすれば、こんなに幸せなことはないだろう


だがしかし、

幸せなんてものは長続きはしないし

幸せの後は不幸がくるもの

ここ数十年で、事態は急変した。


​来るわ来るわ、夏の台所に湧くハエのように湧いて出る転生者たち。

どいつもこいつもチート持ち。

向こうの世界の人間が全員死んだのかとも言えるほど異世界転生してくるせいで、今や「伝説の勇者」は「そこらの村人」よりも数が多い。


上から下へ耳を傾けてみよう

きっと聞こえるはずだ

私は聞き飽きた


​「くらえッ! 俺の最強チートスキル、絶対焦土(インフェルノ・バースト)ォォォッ!!」


「なんて素晴らしい力を持っているんでしょう!、勇者様すごい! 抱いて〜!」


「フッ……またステータスが上がってしまったか。レベル9999の自分が怖いぜ……」


「「​うるっっっっせぇぇぇええ!!!!!!!」」

叫んでしまった

だが私よりも批難すべきは転生者だ

頭おかしいのか

深夜だぞ!?

近所迷惑という概念はこの世界に転生してこなかったのか!?


​そこら中で極大魔法の爆発音が響き、ステータス画面の青白い光がネオン街のようにチカチカと輝いている。

自分の方が強いとイキった転生者同士の戦い

そこらの女性といちゃつく転生者

そこら辺の平地で魔法をぶっ放す転生者

​世界を救う英雄も、増えすぎればただの騒音公害だ。

転生者による大きな力のバランスのズレにより現れる魔物の凶暴化

転生者同士のぶつかり合いでちょくちょく更地になる森

転生者によるバランス崩壊で住む場所を無くし転生者の奴隷と成り始めたこの世界の住人

などなど……、もう崩壊寸前だこの世界は

いとも容易く行われるえげつない行為により


「あ゙ぁ゙〜〜、どうしてこうなるんだぁぁ~!!」


頭を掻きむしり暴れた

家の中で手足頭全体を使い暴れた

事情を知らないやつが見たら頭がおかしいやつだと思われるだろう

見ろ!

転生者の方が頭おかしいからな!?

この怒りを何処にぶつければいいんだ…


「あ、……そうだ!!」


暴れたおかげか

頭に血が上り正常な判断ができなくなったおかげか

私はこれまでになくとても良い案を思いついた


「そうだ、転生者を殺っちまおう」


名案だ!!

正直言って転生者がいる現在、前よりも問題が山積みになっている。

外来種がいるのなら駆除するのが真っ当な判断だ!

吸血鬼としての本能が暴れ出す

今まではそこらの動物の血を飲んで過ごすしかなかったが、強者、そして知性を持った美味いものを食ってる人間の血だ!!

転生者は不幸と幸運を運んでくれるようだ


​決めたら即実行だ。善は急げというだろう?

これまで我慢して飲んできた猪や鹿の血とは違う。異世界の栄養をたっぷり含んだ、チートで濃厚な人間の血。


​「あぁ……美味そうだ」


​ジュルリ、と舌なめずりをする音が、静寂に響いた。

もはや彼らが英雄には見えない。

ただの歩く血液だ。

​私はニヤリと笑うと、獲物がひしめく地上へ向かって重力のままに落下した。


「待ってろよ、転生者ァ!!!」

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