ちょっと手を貸して!

花沫雪月🌸❄🌒

第1話 ハンドリース

 こんな慣用句があるのはきっとご存知だろう。

 曰く、猫の手も借りたい程に忙しいと。

 

 昨今の人不足にはこの慣用句がピタリと当て嵌まる。

 AIの普及により、頭脳労働の価値は格段に下がったものの、皮肉なことに実作業や手作業を伴う業務はむしろ重要度が増している。

 ロボットが人間の代わりに――そんな未来はまだ先らしい。

 

 肉体労働やいわゆる3K業務の不人気さは相変わらずだ。

 頭を使う仕事を追われたものの、手を使う仕事には就きたくない求職者ばかりが溢れた。


 治安悪化を懸念し外国人材の受け入れも規制され、雇用者はにっちもさっちもいかず。


 いざ雇ったはいいが、即戦力など夢のまた夢。

 技術不足で使い物にならず、覚えるころには辞めていく。


 そんな時代にとある革新的かつ夢のような技術が開発された。


 実体化幽体テレイグジスタンスと名付けられたその技術は、切り離した幽体を、遠隔で実体化させ、操作することが出来る――そうだ。



 それにより、政府肝いりの、爆発的なニーズを誇ることになるサービスが誕生することになる。


 猫の手よりも、人の手。

 人手が足りないなら、借りてくればいい。

 サービスの名を『ハンド・リース』という。




 

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