離れた貴方と離れなかった。

いながわ みさ

あの時の約束。

 「ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーばす」

「「ゆびきった!」」


 あの時の約束。

 あの時の記憶。

 あの時の約束、守れたかな。

「ありがとね」

 涙混じりの声で私は呟いた。


 私には中学校から付き合ってる彼氏がいる。

 今は高校2年生。付き合っている彼氏とは別の学校になってしまってて、絶賛遠距離恋愛中。高1のときはメールやり取りとか、たまに遊んだりしてたんだけど、高2になってから連絡を取らなくなってしまった。



 そんな時、転校生が来た。「後藤」って言うらしい。

 メガネをかけてて、ふわっとパーマがかかっていて、ほわわんってしてるけど、なんか、勉強できる人って感じだった。

 何故か誰も後藤さんに話しかけない。でも、私は何故か懐かしさを感じて、いつの間にか話しかけてた。

 後藤さんは口調が穏やかで、親しみやすかった。

 それのおかげか、後藤さんとはよく話す仲になっていった。

 たわいのない雑談や、彼氏の話、将来の夢とかの話をした。私だって、後藤さんの話を沢山聞いた。

 そんな2人の中で、唯一一緒の共通点があった。

 それは2人とも中学校の時からの交際相手がいるということ。

 「実は僕も彼女……いるんだ。」

 「え!?そうなの!?」

 驚き事件。

 ってほど事件じゃないけど、びっくりした。

 こんなに他の人が近づかないのによく彼女できるよね。

「どんな感じで出会ったの?」

「運命みたいな感じ……かな。」

 そのシチュエーション良すぎる!!

 って、後藤さんになに話させてるの!?

 元親友みたいに他人の恋愛いが好きになってどーうする!

 って、私のほぼ同じシチュエーション!

「え、私も同じ感じ。」

「そうなんですか。ラッキーですね」

 私達は苦笑する。後藤さんはいつの間にか「クラスメイト」じゃなくて、「友達」になっていった。

 男子、女子関係なく仲良くなれる。後藤さんと一緒にいると楽しいって心の底から思えた。

 

 でも、彼氏からの連絡は何も来ない。

 ずっとそこが気がかりだ。

 私が受け身になってずっと待っているからなのか。

 自分から聞いてみるのもアリかも。

 私は家に帰るなり、スマホを開いて彼にこうメールをした。

『今月の何処かで会えない?』

 シンプルなメール。

 そう打って私はメールを送信した。

 でも、数分、数十分待っても返事は来ない。

「はあ……」

 私のため息は静かな家の闇に飲まれていった。

 そしていつの間にか私は眠っていた。


 

 アラームの音で目が覚める。朝だ。

 アラームを止めようとスマホを見る。そこには1件の通知が来ていた。彼からだ。

 私は飛び起き、恐る恐るメッセージを開いた。

『ごめん、無理。』

 そんな短文の冷たい言葉が記されていた。

 期待をして損した。

 私が誘っても意味なかった。

 

 そんな調子で高校にいかなければならないと思うと憂鬱で仕方がなかった。

 でも私は重い足取りで高校に行き、後藤さんに彼の愚痴をこぼした。

 普通すぎる日々だけど、いや、普通すぎる日々、それが一番良かった。

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