私が望んだ世界

 

第1話

男1「急にお呼び出ししてすみません」


男2「話って何ですか?」


男1「あなた、本当に自分の精子提供してますか?」


男2「してますよ」


男1「本当に?」


男2「本当に。それに、そういう偽装がないようにって部屋には全裸で入らされて射精する時も職員が確認しているじゃないですか」


男1「そうですよね。……でも、あなたが精子を提供した人達から障害児が生まれたって報告が多発しているんです」


男2「障害児が生まれることになんの問題があるんですか?」


男1「その……5000件ぐらい報告が上がっているんですよ」


男2「私は精子の偽装なんてしていません。嘘偽りなく自分自身の精子を提供しました」


男1「ですが、念のためにこれからはお客様の精子提供をお断りさせていただいてもよろしいですか?」


男2「それは旧優生保護法を擁護しているのと同じなのではないですか?」 


男1「……へ?」


男2「国が運営している精子バンクがこんなことして許されるんですか?」


男1「……」


男2「そんな顔しないで下さいよ。私は別にあなたは責めているわけではありません。そもそも私は普通の健常者ですが、両親がどちらも障害者なんです」


男1「つまり、こうなると最初からわかっていたということですか?」


男2「ええ。子どもなのに毎日毎日親の世話ばかりで辛かったですよ」


男1「なのに、なぜこんなことを? 増やしたら意味がないじゃないですか?」


男2「障害者施設を襲撃したところで世間的には可哀想とかにしかなりませんよ。だから、この方法は思いついたんです。だって、障害者を極限まで増やせば安楽死とかの法案が作られると思いません?」


男1「それは……」


男2「旧優生保護法をまた作ったところで障害者は生まれてきます。そもそも健常者同士でも生まれてくるから防ぎようがないんです。だから、殺してもいい法律を作ってもらうためにこんなことしてるんですよ。これ以上苦しむ人間が生まれないために」


男1「あなたみたいに親が障害者の場合はどうするんですか? その子は救われないじゃないですか」


男2「大丈夫。その世界では障害者はそもそも大人になる前に殺されてますから。だから、子どもが生まれる心配はありません。どうです? 素敵な世界でしょ?」

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私が望んだ世界   @hanashiro_himeka

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