進化の手

狼二世

進化

 進化しなければならない。■■はそう確信した。

 宇宙は広大で、容赦がなく、そして弱者に厳しい。

 この世界で生きていくには、強く、たくましく進化する必要がある。無残にも消えていった命を見て、■■はそう確信したのだ。


 だが、一言に進化と言っても、どうすればいい。

 悩んだ末、■■はいくつかのモデルケースを試してみることにした。


 生まれたての生命は弱い。海と言う揺り篭を用意して成長を待った。

 やがて、細胞としか言いようの無い生物たちは多様に進化して、海全体へと広がっていった。


◆◆◆


 最初の失敗は、近似環境での一斉絶滅だった。

 いくら数が増えても、似たような環境で生活をしていれば、一つの変化で一斉に影響が出る。

 ■■は海だけでなく陸でも生きて行けるように調整をした。


 陸に出た生物は大型、複雑に進化した。

 より強く、より大きく進化し、世界を支配する。

 だが、それが仇となった。


◆◆◆


 巨大に進化した生物はその姿を維持するのに多大なエネルギーを要した。

 それだけではない、外部からの変化にも弱く、彗星によって巻き上げられた土砂が空を覆い、寒さで死滅した。


 それでも、生物は完全に死滅しない。

 それこそ、■■が求めるものだ。だからこそ、観察を続けた。


◆◆◆


 その後も、生物は様々に進化をし、そして死滅していった。

 だが、ある一点で変化が訪れる。


 手を使い、道具を生み出し、環境を変化させる生物――ニンゲンが生まれた。

 ニンゲンは■■の予想を超えて増え続けると、やがて■■そのものすら改造するようになる。

 時折、試練を与えるが■■はしぶとく増え続け――


 そして、地球の外へと飛び出した。

 そこで地球は確信した。


 人類こそ、進化の先として相応しい、と。

 そして、人類の力の源とは何か。


 それは、『手』であると確信した。

 手で道具を生み出し、操り、環境を変化させる。

 最終的にはロケットを生み出して自分の元すら離れる。

 そう、それこそが地球が望む進化だ。


◆◆◆


 観察を続けてきた地球は、進化として『手』を選んだ。

 手を使い、道具を造り、そして利用する。自分もそうしようとした。


 大地から手が生えた。

 ――邪魔だ――

 不必要に巨大化した都市を破壊する。

 ニンゲンが喚いているが、関係ない。

 これが、進化の形なのだと。

 そうやって、淘汰してきたのだと。


 ――教えてくれたのは、ニンゲンだろう――


≪了≫

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