私が推しを救うまで

絵空セカイ

第1夜 私が推しに出会うまで

あぁ、どうしてこんな目に!!

私の目の前に広がる光景はまさしく地獄。

彼女はまた﹅﹅死んでしまったのだ。

溢れ出る血が、美しく死体を染める。


そして私は、巻き戻した。




——数時間前——


「はぁぁぁぁ〜可愛いぃぃ〜〜」

私、天津莉亜はオタクだ。

それもただのオタクではなく、根っからのものだった。

私も幼い頃は

好きなもの:プリキュア

欲しいもの:変身ステッキ

なりたい職業:プリキュア

の、可愛い女の子だった。

でも、今は違う。


今好きなものは、漫画やアニメ。

恋愛物やら百合やらなんやらが大好きな、

根っからの、オタク女子なのである。


「この衣装、この髪、この顔、相変わらず可愛すぎるよ〜。」

そんな私の今の最推しは、

今日発売の鬱ADVに登場するキャラ、

槙島桜ちゃんだ。


槙島桜ちゃん、通称桜ちゃんは「少女人狼」のキャラクターだ。

「少女人狼」は今、界隈で話題の鬱ゲーである。


11人のJCが閉じ込められ、恨み合い、殺し合う。そのゲームの主人公こそが、この槙島桜ちゃんなのである。

私のオタク友達は柚樹ちゃんが可愛いとか、佳穂ちゃんがいいとか言っているけれど、私は断然桜ちゃん派だ。


少しだけ赤みがかった綺麗な茶髪。

頭にあるリボン付きの白カチューシャ。

明るく、優しい性格。

その全てが、大好きだ。


ふと、時計を見る。

配信開始の16時までは後7分。

暇なので、LINEをする事にした。


オタクの集い(3)

             「後7分だね。」

「柚樹ちゃん、生き残れるかな。」

「アンタ柚樹の話しかしないよね。」

「でも、柚樹ちゃん可愛いし分かるよ。」

「後4分になったわね」

            「いよいよか...」

「佳穂、生き残るって信じてるわよ」

「私も柚樹ちゃんを信じてる!」

     「私も、桜ちゃんを信じるよ!」


そして、始まった!


スマホを置き、「少女人狼」を開く。

素晴らしいグラフィックとイラストで表示される世界は、思っていた数倍は魅力的だった。

(桜ちゃん、やっぱり可愛いな。)

画面では、11人全員が村長の家に集合する。

11人が集合し、デスゲームについてが語られていく。

『どうも、私はここの管理人、センヌキだ。』

『管理人って、、、ただの気持ち悪いカラスじゃん。』

わたくしに、喧嘩を売ってるの?』

『可愛いと思いますけどね〜。どこか華がなぁ〜。』


うん、やっぱり全員可愛いなぁ。

有名になるのも納得だ。

そう思っていながら、画面に目を向ける。


『センヌキ、さん?私達を早く帰してくれない?』

『そうは言っても、ここの決まりは破れないよ。』

『お願いします...。私はいいのでこの方々は家に帰らせてあげてください...。』

『はぁ...またこうなってしまったか。頼むから早く納得してくれたまえ。』

『嫌だよ。』

次の瞬間だった。

画面の中の桜ちゃんがカラスに向かってタックルする。

それをセンヌキが躱し、攻撃を仕掛ける。


そして、桜はあっという間に死んでしまった


「...は?」

推しが.....死んだ...!

しかも、こんなに早く!

私は思わず、パソコンを閉じてしまった。


まさか推しが真っ先に死ぬだなんて...

主人公、と言うのは製作陣の罠だったのだろう。


私はベッドに倒れ込み、そのまま眠りにつく。

推しの事は一旦忘れよう。


それにしても、可哀想だ。


主人公だと祭り上げられ、急に理不尽な死を遂げる。

それもまだ、中学生だと言うのに...

私とたった、2歳差なのに.....


私には元から、物語の人物に同情する癖があった。

作者の都合で可哀想な目に遭う登場人物の事を、人一倍可哀想だと思う子だった。

「ごんぎつね」や「ちいちゃんのかげおくり」なんかでは、それが原因で大泣きして、よく周りからバカにされたものだった。


あぁ、もしもあの世界に入って、

桜ちゃんを、救う事が出来たらなぁ。




「きて、起きてよ!」

誰かの声が聞こえる。

お母さん?まだちょっと寝かせてぇ。

推しが死ぬって、私にとっては特に辛いショックなんだよ。

私がそう思いながら起きると、推しがいた。


少しだけ赤みがかった綺麗な茶髪。

頭にあるリボン付きの白カチューシャ。


見間違うはずがない。推しだ。

それに、ここはさっき見たような...

「良かった。起きないかと思ったぁ。」

「えっと、桜ちゃん?」

「?なんで?名前分かるの?」

やっぱり、桜ちゃんだ...

それにこの景色。

見覚えがあると思ったら、「少女人狼」の

舞台、

クロネコ町だ。


「あの...。ここは?」

「.....成程な。」

「ん〜、ここどこぉ〜?」

周りの少女達が各々声を上げる。


『マイクテスト、マイクテスト、聞こえているかい?

皆、1番大きな家に入ってくれ。

そこが、村長の家だからね。』

突然の声に、全員が驚く。


けれど、私はこの展開を知っている。


私の頭の中に、一つの案が浮かぶ。

(桜ちゃんが死ぬポイントは分かってる)

(そこさえ阻止すれば、私は彼女を救える。)

(絶対に救ってみせる)

私は決意を固めながら、他の11人と共に、


村長の家に入っていった。

















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私が推しを救うまで 絵空セカイ @chai16384

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