一般冒険者ワイ、宇宙から飛来した殺戮兵器を起動させてしまう〜底辺冒険者だった俺がみんなが羨むSランクの冒険者になるまで〜

コーラ

第1話 一般冒険者

「ふっ、はぁ!!」


「ギィ……ィ」


 緑色の小人、ゴブリンの石斧を左手の盾で弾いてゴブリンがのけぞった瞬間に右手のショートソードで首を刺す。


 ゴブリンは悲鳴を漏らして、ゲームのようにポリゴンとなって消えてしまった。

 

 そしてその場には青色の小石が落ちた。


「ふぅ……」


 今日はこれで10体目。

 体も疲れてきたし、そろそろ切り上げるか?


 突如、現実世界に現れたダンジョン。そしてそれを攻略するのが冒険者。

 小説で言ったら2番煎じ、いや1000番煎じくらいの世界。それが今の日本だ。


 そして俺はそんな日本でしがない底辺冒険者をしている。


「……はぁ」


 最初はこんなはずじゃなかった。


 冒険者になる前は、最高ランクのSランクだってなれるかもなんて、夢物語みたいなことを考えていたが、現実は3年間もDランク。

 初心者ランクと言われるEランクを除けば1番下のランクだ。


「……まあでもこれはこれで楽しいんだけど」


 だからと言って冒険者を辞めようとも考えていない。


 Bランク以上の攻略組と呼ばれる存在のように、未知のダンジョンや未踏破のエリアを探索することは無理だけど、趣味の一環としてはかなり楽しいのだ。


「うーん。突き当たりとはついてない。やっぱり帰るか。ん? この壁……」


 帰るか進むか悩みながらも前進していると突き当たりにたどり着いた。

 専用のアプリでマッピングをして、帰ろうと思ったその時、壁に小さな亀裂が生じていることに気がついた。


「これは……珍しいな……」


 ダンジョンの壁に亀裂が入ることなんてまずあり得ない。それくらいダンジョンの壁は頑丈なのだ。

 

 と、なれば考えられる可能性は2つ。

 

 ボーナスルームかモンスターハウスの2択だ。


 ダンジョン内で偶にあると言われている2つの部屋は、基本的に攻略組が攻略している最中に見つけている為、俺達のようなエンジョイ勢や中間層が滅多に見かけることはない。

 

 俺だって3年も冒険しているが見るのは初めてだ。


「ん〜……」


 基本的にこのような亀裂をソロで破壊することは、推奨されていない。

 モンスターハウスだった場合、中のモンスターが溢れ出してきて処理できずに、この世とおさらばしてしまうことが多いからだ。


 でも俺だって冒険者の端くれだ。この奥にはボーナスルーム……つまり宝が眠っている可能性だってあるのだ。


「こんなの生殺しだ〜!」

 

 男の夢、いや、全冒険者のロマンの塊が目の前にあるのに!


 後ろを振り返るが誰もいない。


「くそぅ……」


 とはいえ、一度出直して、冒険者専用の掲示板でパーティの募集なんてかけていたら、誰かに部屋を開けられるかもしれない。


 友達の冒険者はいないのかって? 冒険者の友達なんていないんだよ! 言わせんな恥ずかしい!

 

「うぎぎ、中、見えねぇかなぁ!」


 スマホのライトで亀裂を照らして必死に中を覗き込もうとするが真っ暗だ。


「……うぅ、やっぱり壊すか? そ、そうだよ。最悪モンスターハウスだったら走って逃げればいいもんな」


 凄く危険な考えだけど、一度考え出したらその考えしか頭に浮かばなくなる。


「よし……やるぞ。やってやるぞ」


 ショートソードをしまって盾を右手に持ち替える。鉄に魔石をコーティングした特殊な盾だ。これで殴れば亀裂を破壊することもできるだろう。


「シールドストラーイク!」


 今考えた技名を叫びながら亀裂へ向けて右ストレートを放つ。


 右手に衝撃が伝わると共に亀裂は広がっていく。


 我ながらいいパンチだ。


「っ! ……剣?」


 いつでも逃げれるように構えていると、部屋の中心にSFチックな機械仕掛けの剣が一本だけ刺さっていた。


 どうやらモンスターハウスではなかったようだが、剣が一本だけという現実に肩透かしを喰らってしまう。


 動画で見たボーナスルームはもっと煌びやかで部屋のあちこちに伝説級の武器や防具があったり、財宝が眠っていたはずだ。


 なのに剣一本……


 しかも聖剣よろしく抜いてください。と言わんばかりに刺さっている癖に機械なのだ。


「ま、まぁ?……この剣も買い換えようかなって思ってたし? 別にショックじゃないし?」


 誰もいないのに言い訳までしてしまった。でもそれだけ精神的ダメージはでかいのだ。


「はぁ……とりあえず持って帰るか」

 

 意気消沈とはこの事だろうと思いながらも剣に手を伸ばし、引き抜く。


「……意外に綺麗だな」


 引き抜いた剣を見てみると、刀身は日本刀のようになっていて刃の部分は白銀のように淡く輝いている。背面は機械だがそれがまたいいアクセントになっている。


『○・$¥€☆○☆……』


 それは突然だった。

 剣が何語かわからない言語を話し始めた。


「うわっ!? なんだこれ!?」


 突然のことに驚いて剣を捨てそうになるが、それをなんとか抑えて剣を見る。


「○・**☆・○……げ、ンゴ機能の同期を完了」


「剣が喋ったぁ!?」


 しばらく意味のわからない言葉を紡ぐ剣を見ていると日本語を話し始めた。


「並びにエネルギーの残量を確認、残量5%……モード:ブレイドが最適解と演算」


「は? え?」


「データベースからメモリーを再生……目標を人類の殲滅に設定。生体反応を確認、接触反応により生物の特定を開始……対象を95%人類と断定、類似生物の可能性なし」


「な、なにが……」


「これよりオペレーション黙示録を始動……人類を殲滅します」


 そこまで言い切ると剣は赤く光りながら動き始めた。そしてとてつもない力で俺の手から離れると、ぐるりと付近を浮遊すると、スピードを上げて俺めがけて飛んできた。


「うぉっ!?」


 右手の盾をなんとか構えて助かったが、盾は大きく弾かれてしまう。


「対象の戦闘能力をE−と推定。戦術を演算します」


 ふわふわと浮かびながらこちらを敵と見定める剣。


「はぁはぁ……」


 たった一撃それでも力の差は明確だ。圧倒的に相手の方が格上。


 ……なにがどうなってるんだよ!?


 だが、俺の心からの叫びを答えてくれる人はここにはいない。


 俺は今、冒険者人生で最大級の危機を迎えている。


 こんな所で死んでたまるか。


 その想いだけで俺は盾を構え剣を抜くのだった。



 


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