第2話
***
ダブルデート当日、私たちはピクニックに来ていた。
リリアンナ特性のお弁当を食べれば、アルフレッド様もリリアンナの魅力に気が付くはず。
私も料理人に指導してもらってお弁当を作ってきたけど、正直、上手じゃない。
味は大丈夫なはずだけど、見た目は……。うん、まぁ胃に入れば同じだろう。
「カタリナ様、見てください。綺麗なお花が咲いていますよ」
「そうね。……ねぇ、リリアンナ。どうしてあなたは、私の腕にくっついているの?」
「久々のカタリナ様を堪能するためです」
「…………先月も会ったじゃない」
「月一回なんて、少なすぎですよ。学園に通ってた時は、毎日お会いできてたのに……。私、もっとカタリナ様にお会いしたいです」
はい! 美少女の上目遣い、いただきましたー! ごちそうさまです!
さすが、ヒロイン。めっちゃくちゃ可愛いわ。
性格よし、顔よし、愛嬌もあり、努力家。完璧だね。
アルフレッド様の隣に並ぶと絵になるんだよなぁ。
うん、その姿をもっと見たいな……。
私とリリアンナが合う時、アルフレッド様もいれば、二人の距離を縮めるチャンスだよね?
よし! 学園の時は失敗したけど、今度こそ成功させてみせる!!
「そうね。もう少し──」
「リリアンナ嬢、残念だがカタリナは貴女と違って忙しい。諦めてくれ」
えっ?
アルフレッド様が答えちゃうの? 私、そんなに忙しくないよ?
「あの──」
「アルフレッド様には聞いてません」
今度はリリアンナに
お願いだから、私の話も聞いてー!
「月に一度だって多いくらいだ。
「それは、アルフレッド様が私の手紙を──」
「とにかく、迷惑だと言っている」
「なっ……。私もあなたには迷惑してるんですけど」
二人の言い合いは止まらない。
こうなると、しばらく続くんだよね。
それだけ、アルフレッド様とリリアンナが対等に話せるってことなんだよなぁ。
これはこれで、仲が良い……のかもしれない。
ケンカするほど仲が良い的な? ケンカップルって言葉も世の中には存在するくらいだし。
このまま二人きりにするのは……、ありだな。
よし、
「ね、ロバート。ボート行かない?」
「また
「何のこと? そうだ! 競争しようよ」
「競争? ぼくのメリットは?」
「私が負けたら、次のパーティーでの装飾品はロバートの実家から買うわ」
「その勝負のった!」
ふふふ……。これで、アルフレッド様とリリアンナは二人きり。
ロバートには悪いけど、これで二人の仲も深まるってものよ。
「
「そんなことないわよ。完璧な二人でどう見てもお似合いじゃない!!」
「それ、リリの婚約者のぼくに言う?」
「あ……。ごめんなさい。ロバートもすごく素敵だよ。私は好みじゃないけど」
「一言、余計なんだよなぁ。あの二人は同族嫌悪みたいなものだから、仲良くはならないよ」
「そんなことないわ」
だって、ゲームの中ではラブラブになれてたもの。
何かきっかけがあれば、変わるはず。
「アルフレッド様ー。カタリナ様がボートで競争したいんですって」
「ちょっ……、ロバート!」
なんでアルフレッド様に声かけるのよ。
二人きりにできないじゃない。
「アルフレッド様に恨まれたくないからね。勝負の条件に、リリとアルフレッド様に声をかけちゃいけないなんてなかったでしょ?」
「たしかに……」
って、ちがーう! また、ロバートに邪魔された!
そりゃ、ロバートはリリアンナの婚約者だし、邪魔するのもわかるけど……。
「私、ロバートと…………」
「うん?」
「しょ……、勝負するの久々です」
い、言えなかった……。ロバートと乗るって言いたかったのに……。
今、何かよくわかんないけど、身の危険を感じたんだけど。
「そうだな。半年ぶりくらいか? 卒業してから、そういう機会もなかったからな。カタリナは、俺と乗るだろ?」
「え!? 私と乗りましょうよ。アルフレッド様とは、いつでもお会いできるじゃないですか」
「えっと……」
どうすればいいの? アルフレッド様とリリアンナを二人きりにするという目的は、もう叶わない。
推しとボートとか、絶対に楽しい。でも、その姿をリリアンナに見せてしまうのは、どうなのだろう。夫婦でボートって、仲が良いアピールにならない?
となると、リリアンナと? それも楽しそうだよね。私が漕ぐのでいいのかな? せっかくだし、漕いでみたい。
「せっかく婚約者と来てるのに、男同士でボートは嫌なんだけど……。リリもカタリナ様に会えて嬉しいのはわかるけど、ほどほどにしておきなよ。あと、ぼくのことも少しはかまってほしいな」
「ロバート、ごめんね! 一緒にボート乗ろう?」
あ、あれ? リリアンナは、ロバートとボートに乗るの!?
なんか、ロバートの思い通りにことが進んでる気がするんだけど、気のせい?
リリアンナとロバートは、仲良く手を繋いでるし……。これじゃ、アルフレッド様とリリアンナをくっつけられないよ……。
こうなったら、勝負に徹することにする。絶対に勝つ!
リリアンナとロバートの後姿を恨めしく思いながら、アルフレッド様にエスコートしてもらう。
アルフレッド様は、どんな時でも私の歩くペースに合わせてくれる。
それを当たり前のようにしてくれて、そんなところも好きだ。
「どのボートがいいとかあるか?」
「うーん。速そうなのはどれですか?」
「速さだけなら、あれだな」
そう言ってアルフレッド様が指したのは、足漕ぎのアヒルボート。
うん。たしかに、速そう。手で漕ぐよりも、ぐんぐん進みそう。
でも、アルフレッド様をアヒルボートに乗せる?
いや、アヒルボートは楽しいだろうし、アヒルボートに乗ったからとアルフレッド様のかっこよさが損なわれることはない。
わかってる。わかってるんだけど、それでも、私は見たくない。
見るなら、オールでボートを漕ぐアルフレッド様が良い。
「普通ので、お願いします」
「わかった」
私たちの横では、リリアンナとロバートがアヒルボートに乗り込んでいた。
ロバート、勝ちにきてるね?
たとえ、相手がアヒルボートでも、負けないんだから。
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