森のソロキャンプと運命のもふもふ 10
コロを連れて、テントに戻る。
道中、コロは私の周りをぴょんぴょん跳ね回っている。
『コトリの家、どこ? 遠い?』
「もうすぐだよ」
『楽しみ! コトリの家、見たい!』
そんなに期待されると、ちょっとプレッシャー。
テント一つしかないんだけど。
テントサイトに到着。
『わあ! なにこれ! 不思議な形の家!』
コロがテントの周りをくるくる回っている。
「これはテントって言うんだよ」
『テント! コトリの家、テント!』
テーブルや椅子も物珍しそうに嗅ぎ回っている。
『いい匂いする! 食べ物の匂い!』
「お腹空いた?」
『うん! すごく空いた!』
そういえば、もう昼過ぎだ。
私もお腹空いてきた。
「お昼ご飯にしよう」
コロに何を食べさせよう。
犬……狼? だから、肉が好きかな。
缶詰を開ける。
コンビーフ。
「これ、食べられる?」
お皿に出してあげる。
コロが匂いを嗅いで……。
『美味しそう!』
がつがつ食べ始めた。
あっという間に完食。
『美味しかった! もっと!』
「食いしん坊だなぁ」
ツナ缶も開けてあげる。
これもあっという間に完食。
『コトリ、ありがとう! こんなに美味しいもの、初めて!』
満足そうに、ぺろぺろと口の周りを舐めている。
私はカップラーメン。
今日は塩味。
『コトリ、それ何? いい匂い!』
「これはラーメンだよ。コロには辛いかも」
『食べたい! 一口!』
麺を一本あげてみる。
『美味しい! でも、ちょっと辛い!』
舌を出して、はぁはぁしている。
可愛い。
食後、コロと一緒に川に行く。
水を汲むついでに、コロにも水浴びさせてあげようと思って。
『水遊び! 水遊び大好き!』
川に着くなり、コロは水に飛び込んだ。
ばしゃばしゃと水しぶきを上げながら、楽しそうに泳いでいる。
「コロ、泳げるんだ」
『うん! 泳ぐの得意!』
犬かきで器用に泳いでいる。
時々、水に顔を突っ込んで……。
『魚いた! でも、速くて捕まえられない!』
魚を捕ろうとしているみたい。
でも、失敗。
「魚、食べたい?」
『食べたい! でも、難しい!』
今度、釣り道具を通販で買ってあげようかな。
コロが水遊びをしている間に、私は水辺香草を追加で摘む。
夕飯のサラダ用。
森苺も、もう少し集めておこう。
『コトリー! 見て見て!』
コロが何かを咥えて戻ってきた。
青く光る、小さな石。
「わあ、きれい」
『でしょ! あっちの岩の隙間にあった! 他にもいっぱい!』
案内してもらうと、確かに青い石がごろごろ転がっている。
これ、もしかして魔石?
ファンタジーでよくある、魔力を持った石。
「コロ、すごいの見つけたね」
『えへへ! 褒められた!』
尻尾をブンブン振っている。
石を何個か拾って、四次元バッグに入れる。
後で調べてみよう。
夕方、テントに戻る。
コロの毛は、川の水でびしょびしょ。
「《乾燥》!」
生活魔法を使うと、一瞬でコロの毛がふわふわに乾いた。
『わあ! すごい! 魔法!』
「便利でしょ」
『コトリ、すごい! 魔法使い!』
そんなに褒められると照れる。
夕飯の準備。
今日は、ちょっと豪華に。
レトルトのビーフシチューを温める。
水辺香草と森苺でサラダを作る。
コロには、缶詰の焼き鳥。
ちょっと高級なやつ。
『今日もごちそう! コトリと一緒、幸せ!』
コロの幸せそうな顔を見ていると、こっちまで幸せになる。
食後、焚き火を囲んで(《点火》の魔法で簡単に火がついた)、のんびり過ごす。
コロは私の膝の上で丸くなっている。
ふわふわで暖かい。
最高のもふもふ。
『コトリ、ずっと一緒にいてくれる?』
「もちろん。ずっと一緒だよ」
『約束?』
「約束」
『えへへ、嬉しい』
コロが安心したように目を閉じる。
規則正しい寝息が聞こえてくる。
寝ちゃった。
コロを抱っこして、テントに入る。
寝袋に一緒に入る。
生きた湯たんぽ。
暖かくて、柔らかくて、いい匂いがする。
「おやすみ、コロ」
寝ているコロの頭を優しく撫でる。
異世界に来て、二日目。
一人じゃなくなった。
大切な家族ができた。
このもふもふを守るためなら、なんでもできる。
そんな気持ちになる。
コロの温もりに包まれて眠りにつくと、不思議なくらいぐっすりと眠ることができた。
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