異世界転生を夢見ちゃダメか〜現実から逃げて異世界で好き勝手に生きたっていいじゃないか〜

柚美。

プロローグ




現実に打ちひしがれ、私はボロボロだった。


味方もいなくて、周りは敵ばかりで、もう限界だった。


休みたいのに休めないフラフラな体が、酔っ払いとぶつかってよろける。


道路に投げ出された体は、トラックによって跳ね飛ばされた。


痛みなんてなくて、スローモーションの中、私はここ最近で初めて安らぎを感じたかもしれない。


そして意識を手放し、次に目が覚めた時に初めて私の視界に入ったのは、優しく微笑む美人な女性だった。


微笑みながら、私を見下ろしている。


「どうしたのー? ふふっ、ママはここですよー」


ママ。誰が、誰のママなのだろうか。


手を動かしてみると、視界に小さくてぷくぷくとした可愛らしい手が見える。


子供の、いや、もっと幼い手だ。


これは、赤ちゃんか。


何故赤ちゃんの手がこんなところに。


そして私は察した。


この手は、私だ。 私の願いが、こんな簡単に実現してしまった。


このチャンスを幸にするか不幸にするか、それを決めるのは私だ。


私が、決めるのだ。


ワクワクが止まらない私の感情が顔に出たのか、母親と名乗る私を胸に抱く女性が、また微笑んだ。



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