勇者オタクが転生したら魔王だった件

桜庭 奏

第1話 悪夢の始まり

魔界速報ニュース!

次期魔王様のご誕生でございます!!


おびただしい数の魔物達に囲まれ、祝福を受けるという嘘のような光景を目にした。コイツら、ツノが生えてやがる…?他にもなんかネバネバしてるバケモン達がとりあえず俺を見て微笑んでいる。なーにこれ?と、まあ混乱しながらもなんとなーく赤ん坊なりに耐えた俺は現時点で状況整理をした。


一つ、この世界は異世界である事。二つ、此処は魔界である事。三つ、俺は次期魔王に転生してしまったと言う事。四つ、現魔王は現在何故か不在と言う事。最悪だ、最悪すぎる。大体、異世界転生なんて相場勇者じゃ無いのか?!俺が幼少期やり込んだ勇者のゲームは何も功を奏さない結果となった。俺の推しはただ1人、勇者ミカエルなのに…

まぁ、文句を言っていても凄いスピードで成長する魔物の身体に適応するしか無いのは確かで、そのうち前の魔王の側近から教育を受けたりもした。


「これが魔力でありまして、魔王様もお出しできるかと思います」


いにしえのいかにもな本を指さしながら、爺は簡単な空気砲を出して見せた。


「へぇ〜俺も!俺も!これを、こうやって…?えい!」


ドッカーン!!


王宮に地響きの様な音が鳴り響いた。


「あ…やべ」


気づいた時には全壊した部屋を眺めながら虚げな目で訴えた。


「爺…」


「魔王様…今ので3500万とびました」


「…修繕できる魔法とか無いの?」


「破壊系の魔法しか魔族には使えません」


「クソだね」


さぁ、母上の王妃からとんでもないお叱りを受け、俺の魔力量が凄い事だけは分かったらしい。


「貴方はまだ3歳なのにこんな事になるなんて、大きくなったらふざけて魔界ごと滅ぼすんじゃないの?」


母上は文字通り頭を抱えて呆れていた。安心させなきゃな!


「ギブアンドテイクですよ!母上!」


「貴方いい加減にしなさい!!」


「痛い痛いっ!そんな引っ張ったら耳がもげます母上ぇー!」





気づけば魔王として過ごしはじめて10年。少しずつだが、公務の書類仕事なんかを退屈ながら進める日々だった。


「魔王様!魔物討伐を目的とした人間の騎士団がこちら向かっていると言う情報が入りました」


そうだ、人間もいるのをすっかり忘れていた。とはいえ元人間として迎え撃つのもなんだかなぁと良心が痛むので直接会いに行くことにした。まだ、この世界の人間を見れていなかったので内心ウキウキして領地を飛び回る。


「君らかな?」


大きな漆黒の羽を畳み、彼ら騎士団を迎えた。なんだか小綺麗な服でいかにも神聖な見た目をした青年たちであった。

先頭の馬に乗った、団長らしき男が話しかけてくる。


「我々は魔物討伐の勅命を受け、此処へ来た!お前は何者だ!」


「あ、やっぱり?俺魔王だからさ、止めに来たんだ!」


男は顔を顰め、シャツとサスペンダー付きのハーフパンツを履く俺に言い放つ。


「どんな嘘だ。魔王がこんな子供な訳ないだろう!まぁ、いい。コイツも討伐するぞ!」

 

仲間達の士気を上げ、俺を倒そうとしてくるので少し魔法で転ばそうと指を振った。


グシャッ!!


「ゔぁっ…」


騎士団の人間全員が指の合図で同時に捻られ、そして_____潰れた。ただ、目の前には残った骨と筋肉の繊維だったものが切れ散らばっていた。


「…はぁ、はぁ、違うんだ!そんなつもりじゃ…」


言い訳なんて聞ける相手は居なかった。

俺が…殺したからだ。恐らく。とりあえず息を整えて王宮へ報告に向かった。

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