老人ホーム入試

鷹城千萱

老人ホーム入試

 ──とある施設の前にて───

「お父さん、着いたよ。起きて!」

 車を運転していた僕は、横で死んだように眠っている老人、もとい父を叩き起こした。

 御年七十歳。バリバリの営業マンだったという父も、立派な髭を蓄え、穏やかな雰囲気を醸し出している。

「おお、もう着いたのか。えーと、今は2026年じゃったかの?」

「違うよ!今は2080年だって、半世紀前じゃないか」

「おっとすまぬ、あの頃の夢を見ておったものでな。あの頃はワシも受験生じゃったなあ」

「今も、じゃないの?」

「カカ、それもそうか。ということで、そろそろ行ってくるぞい」

 そう言うと父は、足早に建物の中へと向かっていった。

「頑張ってねー…うーん、眠い。…しかし変な時代だよなあ。老人ホームに入るために試験があるだなんて…」

 欠伸をしながら見上げた建物の看板には、おおよそ奇怪な字面が並んでいた。


『2080年度 老人ホーム入居試験会場』


「時は2070年。極度の少子高齢化に悩まされていた日本は、衰弱している、保護が必要な高齢者を優先して老人ホームに入居させるため、老人ホームに入居試験、略して入試を設けたのだった…だって。めちゃくちゃアホらしいけど、現実なんだよなあ…」

 誰もいない待機室で、俺はマニュアルの冒頭を音読していた。

 俺は単発でなんとか食い繋いでいる大学生であり、今日はこの「老人ホーム入試」の試験官である。

 拘束時間の割に給料がかなり良いのでサイトで見るなり飛びついたが、いかんせん老人のための入試だ。集合時刻が朝五時と、とんでもなく早い。カラオケで夜を明かすことでなんとか間に合ったが、普通に勤務中に寝てしまいそうである。

「まあ今月は今日で仕事納めだ。試験官つっても問題配ってあとは座っとくだけだろ?簡単だな」

 俺はそう高を括り、担当の教室に入った。

 十数人の老人が椅子に規律よく座っており、なんかの怪しいセミナーでも開いている気分である。

「えー、午前五時になりました。只今より、老人ホーム入居試験を始めます。まずは本人確認をいたしますので、受験票を机の上に出してください」

 俺はマニュアル通りに文章を読み上げる。マニュアルだとここで大抵一波乱があるらしいが…

「すみません、間違えて保険証を持ってきてしまったのですが…」

 早速、立派な髭を蓄えた老人が手を挙げた。

「あー、ちょっと待ってくださいね。…大丈夫です、仮受験票で対応できますね。はい」

 受験票と間違えて〇〇を持ってきた、というのはよくあるミスらしく、俺は事前に受け取っていた仮受験票を老人に手渡した。

「ああ、ありがとうございますじゃ」

 息つく間もなく、今度は老婆が手を挙げた、

「すみません、私はお薬手帳を…」

「え?」

 ビックリしてつい声が出てしまった。保険証ならまだ分かるが、その間違いはなかなかできないだろう。

「ええと、あ、大丈夫なんだ…はい、それも大丈夫です、仮受験票どうぞ」

「おお、すまんですのう。ありがたや」

「すみません、私は免許証を…」

 次に手を挙げたひどく不格好な老人は、なんと免許を返納していなかった。運転できる人間が老人ホームに何故来るのだろうか。

「ああ、はい、大丈夫です、はい、仮受験票です、はい」

 流石に不意を突かれたため、マニュアルをガン見しながら仮受験票を手渡した。

「すまないですね。なにぶん家が貧乏でして、国公立の老人ホームに入らないとお金がなくなってしまうのですよ」

 受ける層は違っても、そういう問題は大学入試と変わらないようだ。

「はい、それでは全員の確認が取れましたので、問題用紙を配りながら注意事項を説明していきます。まず、不正防止のためにウェアラブル端末の使用は禁止です。ただしペースメーカーを装着した場合は加点対象となるので手を挙げてください…なんだこれ」

 マニュアル曰く、『ペースメーカーを着けている弱った人間の方が優先的に保護されるべきであるから』らしい、マニュアルは全て草書体で書かれており、何故か納得してしまう重厚感がある。ちなみにペースメーカーは全員着けていた。戦いはもう始まっていたのだ。


「はい、ペースメーカーの確認が終わりました。それでは第一科目の数学から、試験時間は60分です。はじめ!」

 その合図と共に、受験生は勢いよく問題を解き始めた。

 試験は文字通り始まったばかりなのに、前のゴタゴタのせいで既に割と疲れている。

 眠気と数分戦った後、俺は問題用紙が一部余っていることに気づいた。どうせ暇なのだから、これでも読んで時間を潰そう…俺はそう思ってページを開いた。

 するとそこには、ある一つの問題のみが載っていた。


『リーマン予想を証明せよ』


 なんと、未解決問題である。それも、高校時代数学が得意であった俺が二分で諦めた問題だ。専門家が解けてない問題を老人が解けるわけがない…と思ったが、よく見ると問題には補足があった。


『それが解けない場合は、貴方が普段利用している口座の暗証番号を答えよ』


 なんとなんと、詐欺である。完全にボケた老人から金を騙し取る時のヤツである。国が運営する老人ホームの試験でこれを出すとは、俺が思っているより日本という国は腐っているのかもしれない。

 その他問題用紙の全ての文字を見てみたが、表紙にある基本的な注意事項、そして『解答の情報は採点後速やかに破棄される』の文言以外は全くの白紙であった。正直あまりにも信用できない。

 なんて考えていると、先ほど免許証を出してきた不格好な受験者が手を挙げて質問してきた。

「すみません、ここの臨界帯についての質問なのですが…...」

「申し訳ありませんが、問題内容についての質問はお答えできません」

 そうあしらった直後に、質問の意味に気付いた。「臨界帯」とは、リーマン予想を考える上で重要な要素である。それを訊いてきたということは…

 …いや、流石にそんな訳はない。いくら頭が回るからといって、一億の懸賞金が掛かった問題を攻略できるとは思えない。

 そうこう言っている間に、チャイムが鳴った。これで数学は終了である。

「はい、試験を終わります。解答用紙を回収しますので、後ろから前に回してください」

 俺が回収している前で、受験生たちは問題について会話している。受験というより模試の雰囲気である。

「皆さん、最後の問題はなんて答えたのですかな?」

「ほっほ、詐欺には引っかかるまいて。偽の口座番号を書いてやりましたわい」

「流石にね。私もですよ」

 髭の老人と老婆は、あの詐欺に引っかからずに済んだようだ。何故か俺が安心してしまう。

「そちらの方はどうだったのですか?」

 老人が不格好な老人に声を掛ける。彼はリーマン予想に挑戦していたはずだが…

「ああ…どうしても口座番号が思い出せなくてですね、もう一つの方を解きましたよ」

 数学者たちを百年以上も悩ませたリーマン予想は、ここに解決したようだ。アレを解けたら一億円が貰えるという事実を、貧乏な彼は知っているのだろうか。

 いや、試験官が受験者にそう口出しするものではない。これは仕事だ、切り替えていこう。


「はい、ということで第二科目の国語です。問題は行き渡りましたね?それでは開始!」

 最初のゴタゴタで時間が圧していたため、スピーディーに国語の試験を始めた。有無は言わせない。

 そして例のごとく暇になったので、今度は国語の問題用紙を開いてみる。数学ですらあんな内容だったのだ、国語でもまた言葉巧みに詐欺してるんじゃないだろうか?


『以上の点から、このマブいアベックはチョベリグでマジ卍な関係性なのであるが、同時にナウいのも重要な点であり……』


 非常に難解な古文が出されている。およそ百年ほど前の語彙であろうか、受験から時が経った今ではさっぱり分からない。少なくともナウくはないと思う。

「あ!これ親権ゼミでやったとこじゃ!」

 老人が柄にもなく叫んだ。親権ゼミには老人講座もあるのか?高校までだと思っていた。俺は考え込んでしまい、私語を注意するのを忘れていた。

 大学受験の頃に立ち返って古文と格闘すること一時間。再び試験終了のチャイムが鳴った。

「チーム友達ってなんだっけ…?あ、はい、試験終了です。解答用紙を後ろから前に回してください」

「この問題マジでシャバくね?簡単すぎて死ぬww」

「乙。ワシはバッチグーでしたぞ」

 私語ならぬ死語が横行している。シャバいとか言ってる老婆は絶対元陽キャだし、『コロンビア』のポーズをしている髭の老人は絶対にかの有名なVIPPERである。言葉の奥深さを再確認した。


「はい、それでは休憩です!最終科目は英語リスニングのため途中退出ができません。お手洗いを済ませてきてください!」

「「「わかりましたー」」」

 全員即座にトイレに行き、五分ほどして戻ってきた。

「それではリスニングを...」

「すまないが、お手洗いに行っても大丈夫かのう?」

 髭の老人が申し訳なさそうに言ってきた。

「...…いいですけど、準備始まってるんで急いでくださいね」

「ありがたい、行ってくるぞい」

 老人はそそくさとトイレに向かった。

「すみません、私もいいですかの?」

 今度は老婆だ。

「...はい、いいですよ」

「ごめんなさいね」

 老婆もトイレへ向かった。

「すみません、わたs」

「どうぞ!」

 もうキリがない。俺は半ばヤケクソで返事していた。


 その後、受験生たちは三十分以上にわたりトイレに行き続けた。最初は絶望していたが、途中からは仮眠できたので良かった。あと一科目、張り切っていこう。


「それでは最終科目、英語リスニングを始めていきます。えー、全ての問題はそれぞれ5回繰り返されます…5回!?」

 流石にしつこすぎる。そんなに聴かされたら受験生も嫌になってくるだろう。

「ありがたいのう。わしらは耳が遠いから」

 どうやらそんなこともないらしい。

「あっえと、はい、5回繰り返されます。

 音声はこちらのスピーカーから流れます。では、はじめ!」

 そう言って、俺は用意していたスピーカーの再生ボタンを押した。


『第一問!!!!!!!!!!!!!』

「うるせえ!!!!!!!!」


 思わず叫んでしまった。いくら耳が遠いと言っても流石にこれはうるさいのではないだろうか。

「ちょうどいい音量じゃのう」

 どうやらそんなこともないらしい。俺はご老体の耳の遠さが心配になりながらも、事前に渡されていた(今気づいた)耳栓を装着した。

『今から流れる音声を聴いて、この後取るべき行動を選びなさい』

 やっと聴ける音量になった。今のところ普通の問題である。


『Hey! Me! Me! Yeah,I`m your son! I have no money! Please!』


 ここにきてオレオレ詐欺である。さっきの数学といい、老人ホームの営利団体の部分が出まくっている。

『A:pay. B:give.』

 そして選択肢が実質ひとつである。本当に国が作った問題なのだろうか。もしそうなら、俺は帰る足でそのまま反政府デモに参加することもいとわない。


 そしてチャイムが鳴り、全ての科目が終了した。

「はい、試験は終了です…解答用紙を前に回してください…はい、確認できたので老人ホーム入居試験は終わりです、お疲れさまでした、気を付けてなる早でお帰りください…」

 やる気のない俺の宣言を聴いて、受験生たちはぞろぞろと帰った。

「…俺も帰ろう。ほんと、酷い問題ばっかりだったな。国も老人から金を搾り取ることしか考えてないんだな…」

 なかば社会に絶望しながらそう呟いた時。


「それは違うぞ!」

「誰!?」


 見れば、先ほどの不格好な受験生が教室に戻ってきていた。

「あれ、あなたはさっきの…?」

「そうだ、そしてその正体は…」

 老人はそう言うと、カツラやヒゲ、そしてボロボロの衣服を取り外した。


「しゅ、首相!?」

 目の前には、テレビでよく見る日本政治のトップがいた。

「いかにも、私がこの『入居試験制度』を作った首相だ。キミ、問題を見てどう思ったかね?」

「ゴミですね」

「直球だね」

「だって、口座の暗証番号を訊いたり、今や誰も使ってない死語を出したり、オレオレ詐欺したり…責任能力の弱った高齢者は皆ひっかかって…あれ?」

「そう。あの問題に正解できる高齢者は責任能力が弱っているんだ。つまり保護しなきゃならない。だから高得点の人が通りやすいという『入試』の形式にしたんだよ」

「なるほど…」

 何やら上手く言いくるめられた気もしたが、首相の熱意は伝わった。

「キミのツッコミは聞こえていたよ。ずいぶん心優しいじゃないか」

 よくわからないが褒められているらしい。そしてツッコミという言い方は恥ずかしいのでやめてほしい。

「私もキミの働きぶりには感心した。他でも老人ホーム入試の試験官は募集中なのだが、どうだね?」

 願ってもない申し出だ。仕事には絶賛困っている最中である。

「こちらこそお願いします!」

「ありがとう、ではあちらで話の続きをしようか」

 そう言うと、俺と首相は一緒に歩き始めた。

 ここで、気になっていることを訊いてみる。

「そういえばリーマン予想解いたって言ってましたよね?変装ということはアレも演技ですか?」

「いや、アレは本当に解いたよ。」

「解いたんかい!」

 つい本音が出た。たしかにこれは『ツッコミ』である。

「私は理学部の出身だからね」

 理学部という言葉を信用しすぎではないだろうか。

 やっぱりなんか胡散臭い。一抹の不安を抱えながら、俺は試験会場を後にした。


 

 あれから数ヶ月経った、二〇八一年四月一日。

 入居試験に合格した父は、今日から老人ホームで生活することになった。

「それじゃあ、行ってくるわい」

「うん、行ってらっしゃい父さん。…しかしよかったね、一発で合格できて」

「うむ。自己採点もしたが、恐らくギリギリじゃった。運が良かったのう」

「隣の爺さんが言ってたよ、来年こそは同じホームに行くってさ」

「アイツにも頑張ってほしいのう。…なあ、息子よ」

「何?父さん」

「定年退職して以来無気力だったワシが老人ホームで楽しい生活をできるのは、入試の存在を教えてくれたお前のおかげじゃ。ありがとうよ」

 父の素直な褒め言葉に、つい照れてしまう。

「もう、頑張ったのは父さんじゃないか。さあ、もうすぐ行かないと間に合わないよ」

「おお、そうじゃな。それじゃ今度こそ、行ってくるわい」

「うん!向こうでも元気でね!」

 父は待っていた送迎バスに乗り込み、老人ホームへと向かっていった。


 その後、僕は仕事で長期の海外滞在が常になり、父と会う機会は瞬く間に減っていった。

 僕が仕事を辞めてからはちょくちょく会っていたものの、その時すでに父はかなり衰弱していた。

 そして2110年。もうすぐ青いネコ型ロボットが生まれるという時に、父が危篤であるという連絡が入ってきた。


 僕は病室おドアを勢い良く開けた。

「父さん!」

「おお。お前か…」

 父は白いベッドの上に、力なく横たわっている。まだ意識はあるようだ。

「お医者さんから聞いたよ… もうあんまり長くないんだって?」

「そうじゃ、ワシは間もなく死ぬ。と言っても、享年101歳。大往生じゃよ」

 父はあのころと変わらぬ笑顔で、そう笑って見せた。

「それでもやっぱ、悲しいなあ…」

「なあに、またあちらの世界で会えるわい。そうじゃな…折角じゃし、思い出話をしてやろう。老人ホームでの思い出話をな」

「そういえば父さん、老人ホームでのこと全然話してくれなかったよね。聞かせてよ!」

「うむ」


「まず、ワシはサークル活動に熱心じゃった」

「サークル活動!?」

 まさか老人ホームの会話でそんな若々しい言葉を聞くとは思わなかった。

「ワシの老人ホームではサークル活動が発展していての。ワシも3つくらい入っておった」

「な、なるほど……それでどんなサークルに入ってたの?」

「まずは健康麻雀サークルじゃな。麻雀は初心者だったんじゃが、これが楽しくてのう。気が付いたら朝日が昇っているということも多々あったわい」

 健康麻雀の名を冠するにはあまりにも不健康である。前に会った時にひどいクマがあったのもおそらくこれのせいであろう。

「あとは何じゃっけな…ああ、飲みサーにも入っておったぞい」

「大学生かよ!」

 さっきからいちいちエピソードが若い。

「あれ、でも確か父さんて酒飲めなかったよね…?まさか、強要されて…?」

「ん?ああ…勘違いしておるな。老人ホームでの飲みサーは『薬』の飲みサーじゃ」

「あ、ああ…紛らわしい!」

 ウェイウェイしていたイメージ図が一転、とんでもなく地味な絵面になった。

「基本的には用量を守って服用しておったが、たまに羽目を外して飲みすぎるやつがおっての。あの時は大変じゃったわい」

「大学生かよ!」

 さっきと同じツッコミをしてしまった。芸人でもないのに何故か悔しい気持ちになる。

「とりあえず父さんがエンジョイしてたのは分かったよ。そんな生活してたら病気になりそうだけど…」

「何を言うておる。現にほれ、死にかけではないか」

「…」

 とんでもないブラックユーモアをかまされてしまった。笑えないやつである。

「まあ、とりあえずめちゃくちゃ楽しかったということじゃよ…カハッ」

「父さん!?」

 父は突如吐血した。さっきまでの会話でさえだいぶ無理をしていたようだ。

「どうやらここまでのようじゃな…息子よ、今までありがとう」

「父さん、死ぬにはまだ早いよ!」

「なに、お迎えが来ただけじゃ…おっとそうじゃ、お主にこれを渡さねばならんの」

 そういうと父は、懐から一篇の紙を取り出し、渡してきた。

「これは…?」

「遺書じゃよ。ワシが亡くなったら読むといい」

「…分かった。たしかに受け取ったよ、父さん。…こちらこそ、本当にありがとう」

「ほっほっほ…」

 これが、僕と父の最後の会話だった。


「ご臨終です」

「はい。…色々と、ありがとうございました」

 父の主治医と一通りの話を済ませた後、俺は病室で再び父と二人きりになった。

 さっきと違う点を挙げるとすれば、父の体はすでに冷たくなっていることだろうか。

「そういえば、さっき遺書を受け取ったな……何が書いてあるんだろう?」

 感傷に浸りながら、僕は遺書を開いてみた。


『第一章 本遺書について

 一・一 本遺書の背景と目的』


 卒論だった。書き出しが完全に卒論だった。

 しばし読み込んでみた者の、百一歳の書く文章は難解で、数行しか読めなかった。

「もう結論から読んでもいいかな…」

 そう呟きながら最後のページを開いたところ、

『いいわけないじゃろう!先に実験と考察を読まんかい!』

 怒られた。どうやら僕が読み飛ばすのまで計算済みだったようだ。相変わらず面白い父親だったなあ…

「…さて、僕もそろそろ始めなくちゃね」

 僕はそう言って、カバンからある本を出した。その本のタイトルは、


『2111年度 老人ホーム入居試験 過去問六年分』


 そう、僕も来年、絶対に老人ホームに入るのだ。絶対に厳しい道だが、頑張りたいと思う。

 父の亡骸が、少し微笑んだような気がした。

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