◆◆に関する調査記録
水嶋鏡
はじめに
町名というものに、日常的な関心を寄せる人はそう多くないかもしれない。
けれど、いざ 調べてみると、そこには意外な面白さが潜んでいる。
地名の由来には、地形や産業、信仰、 あるいは忘れられた出来事が静かに刻まれており、それらを辿ることは、その土地の歴史や記憶を読み解く鍵となる。
大学で歴史地理学に魅せられた私は、現在、地名を主題とした卒業研究に取り組んでいる。 その過程で出会ったのが、「◆◆」という、ひとつの奇妙な地名だった。
この町に長く暮らす方々への聞き取り、市の図書館に収蔵された古地図や地誌の調査、あらゆる手を尽くしたにもかかわらず、この地名の由来を示す確かな記録には、ついに辿り着くことができなかった。
それでも、調査を進めるうちに、いくつかの証言が浮かび上がってきた。
それらは、いずれも断片的で、迷信めいたものばかりだったが、どこか共通した"何か"を語っているようにも思えた。
これから記すのは、「◆◆」という地名の謎を追う中で、私が行った聞き取り調査の記録である。
対象となったのは、町に長く暮らす高齢者、地域に根ざした商店の関係者、学校の教員、そしてある不可思議な体験を語る住人―――
これらの証言が、果たして土地の本質に迫るものなのか、それともただの風聞にすぎないの か。
その判断は、読者の皆様に委ねたい。
けれど、もしこの町の名が、ただの偶然や命名 の産物ではないとしたら―― その声に、私たちはどう応えるべきなのだろうか。
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