アホの子の行く末【短編】

@kazehukumamani

第1話

【応募番号(郵送応募の場合のみ)】



【タイトル】



【ペンネーム】

 諸君よ、静粛に!

まあ、そういうものじゃない。とたちまち言われて仕舞えばそれまでのことだが、風物詩にしては、デジベルの度が過ぎる。あまつさえ、彼等とは住まいを分かっている筈なのに、どうしてこうにも合唱するか。めくるめく煌めく儚い生命たちよ。その歌声には、一体全体、己の産まれた意味がどれほど込められているというのだ。

 もしも心の中に、リトルワトソン君が在来していたら、どう答えたのかは判りかねる。丸見えの鼠取りで先人の知恵が転がっていても、今なら迷わず飛び付いてしまうだろう。だけども先ずは自身の見解を述べてみろ。と物陰から何処ぞの偉い人がモニタリングしていて、なんだか何かを試されているような気がするから、もう一層何も知らなくていい!干渉してこないでくれたまえ!序でに地球温暖化は辞職してくれ!と半ば他力本願な意地風船は大きく膨らみ舵を切り、今日もまた一つ賢くは成れずに日が暮れるのである。

 知識欲を箒で掃除した僕は、アホの子として学区で名を馳せていた。アホといっても、鼻水を長〜く垂らしたりとか、お尻を丸出しにして踊ったりとかはやったことがない。多分そのようなシロモノ芸が出来るのは、前世でかなりの鍛錬を積んだ勇者だけだと思う。

生憎にもお母さんは絵に描いた雲のような菱形聖子ちゃんカットではないから、僕に如何にもな天賦の才能が宿らなかったのも定めだと甘んじて受け入れよう。ガミガミと怒る事もないけれど、素直に褒める事もない、常に人生諦めモードなお母さん曰く、腹を痛めて産んだ子どもが僕である事は、十二年経った今でも信じられないという。ほんまに、あんたの想像力はどっから来てんねん。あたしは何処の宇宙人とセックスしたんや。と呆れられるのがオチだった。

 正直な所、僕には自分の何処がアホであるのか、全く見当もついていないのであった。確かに、学校のテスト返却の日にはいつも先生がもう少し頑張ろう!と僕にだけ勇気づけてくれるけれど。そういえば此間は、算数の授業中には先生が僕の考えを聞きたいと言い出すから、最近のマイブームである、今日はパンツを履いていないかのように見せる一芸を披露したこともあった。先生はお母さんみたいなあんぐり顔をしていたけど、クラスの皆んなは各々歯抜けな大口を立派に開いて大笑いし、僕のエンターテイメントは廊下を抜けて隣のクラスまで響いた。思いつく理由はその程度だ。

嗚呼、益々僕がアホの子である理由がわからない。通学中にだって皆んなは僕を中心にぐるっと一周囲って群をなす。ある一週間でその顔ぶれが毎日違うこともあった。波はあれど、僕は人気者の部類だと思う。とはいえ、みんなが聞きたい話題は終始同じなのが困りものだ。思い出せない、六年間で何度その話をしただろう。だけども皆んながそれを話してほしいというのだから、仕方が無い。

―それで、お前のとおちゃんは今何処におるんやっけ?

「僕のお父さんは、土星におるよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アホの子の行く末【短編】 @kazehukumamani

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画