「オフィスの午後、心の午後」
真田直樹
第1章 新しい朝、変わる日常
第1章 新しい朝、変わる日常
東京の朝は忙しない。
高層ビルの谷間を縫うように人々が行き交い、どこからともなく車のクラクションと地下鉄のアナウンスが混ざり合う。
小林結衣は、今日も少し早めに家を出た。
「遅刻は絶対にできない…」
自分に言い聞かせるようにバッグの中の書類を整理しながら、彼女は駅の改札を抜けた。
25歳、一般事務職。入社5年目の彼女は、仕事には真面目だが恋愛には少し奥手な性格だった。
日々のルーチンに追われながらも、心のどこかで刺激を求めている自分に気づいていた。
今日から異動先の部署はIT関連の営業部を支える一般事務。
これまでの経理部とは違い、書類処理だけでなく、営業社員とのやり取りも増える。
「ちゃんとやれるかな…」と不安と期待が入り混じった胸の奥で、小さな緊張が走る。
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新しい職場での初日
オフィスに入ると、すでに社員たちは忙しそうに動き回っていた。
長机に並ぶPC、電話の着信音、資料をめくる紙の音——。
結衣は深呼吸をして、デスクの椅子に腰を下ろした。
「小林さん、今日からよろしくお願いします」
明るい声が耳に届く。振り向くと、同期の山田健一が笑顔で手を差し伸べていた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
自然に笑顔が返る。緊張は少し和らいだ。
その後、上司の井上明が現れ、手短に業務の説明を始める。
「新しい部署で戸惑うこともあるだろうが、困ったらすぐ相談してくれ」
その言葉に結衣は少し安心した。仕事には厳しい人だと聞いていたが、面倒見も良さそうだ。
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最初の出会い
昼休み、オフィスのカフェスペースで一息つく結衣。
そこで偶然、営業部の若手社員・佐藤拓也と顔を合わせる。
「結衣さん、ですよね?よろしくお願いします」
拓也は少し照れくさそうに名刺を差し出した。
見るからに社交的で、笑顔が自然と人を惹きつけるタイプ。
「こちらこそ、よろしく」
結衣は心の中で「仕事もできそうだし、面白そうな人かも」と思った。
それが、今日の午後から始まる小さな波の、最初の一滴になることを、この時の彼女はまだ知らなかった。
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章の締め
新しい職場、新しい人間関係、そして新しい自分。
結衣はパソコンの前に座り、今日の業務に取りかかる。
心の奥には、少しの期待と、少しの不安が入り混じる。
「よし、今日も頑張ろう」
そう自分に言い聞かせ、彼女は深呼吸をして画面に向かうのだった。
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