手袋

口羽龍

手袋

 ある冬の日の事だ。中学生の雄太は部活を終えて、自転車で実家に向かっていた。冬は日没が早いため、午後5時で部活が終わる。5限目までならいいが、6限目までならほとんど練習する時間がなくて、すごく残念だ。だけど、それが中学校の決まりだ。気まりには逆らえない。明日は部活が休みだ。しっかりと休んで、来週月曜日の登校に備えよう。


 と、雄太は帰り道である物を見つけた。何だろう。雄太はその前で自転車を停め、よく見た。それは、手袋だ。手袋のデザインは、まるで怪獣の手のようで、かっこいい。


「あれっ!?」


 雄太は首をかしげた。誰が落としたものだろうか? 大きさを見るに、大人が落とした物っぽい。


「この手袋は何だろう」


 雄太は拾った。手袋は暖かい。保温性のある生地を使っているんだろうか?


「かっこいい!」


 雄太はその手袋を試しに手にはめてみた。とてもかっこいいな。雄太は喜んでいた。これをみんなに見せびらかしてみよう。きっとみんな羨ましがるだろうな。


「いいの拾っちゃった!」


 雄太はそのまま家に帰っていった。その手袋を拾った事で、後々とんでもない事になると知らずに。


 雄太はいつものように家に帰ってきた。雄太の家は2階建て一軒家で、1階にリビング、ダイニング、キッチン、和室があり、2階に両親と雄太の寝室がある。


「ただいまー」


 雄太が家に入ると、母がやって来た。母はエプロンを付けている。晩ごはんを作っているようだ。


「おかえりー」


 雄太はそのまま2階に向かった。とても疲れているようだ。母は心配そうに見ている。


 雄太は寝室に入ると、拾った手袋を取り出した。本当にかっこいいな。ほれぼれしちゃう。それにしても、誰がこの手袋を落としたんだろうか?


「これ、本当に何だろう。誰が落としたんだろう」


 雄太は再びその手袋を手にはめた。かっこいいうえに、どこか暖かい。まるで生き物のような温かさだ。


「本当にかっこいいな」


 雄太は知らなかった。その寝室に、その手袋の色と同じ、緑色の怪獣がいるのを。




 その夜、雄太は熱にうなされていた。寝る前はそんな事はなかったのに、どうしたんだろうか? 急に体調を崩したんだろうか? ここ最近、寒い日々が続いている。もしかして、風邪だろうか? 雄太は不安になった。せっかくの休みなのに。しっかりと休みたいのに。


「うーん・・・」


 雄太は目を覚ました。と、雄太は徐々に体が大きくなっていく感覚を覚えた。雄太は手を見た。すると、手が拾った手袋と同じ模様だ。それに、まるで本物の怪獣の手のようだ。


 雄太は何かに気づいて、スマホのカメラで自分の写真を見た。するとそこには、雄太ではなく、怪獣が映っている。何と、雄太は怪獣になっていた。


「えっ、怪獣になってく!」


 と、目の前にネズミが現れた。まさか、部屋にネズミが現れるとは。明日の朝、母に駆除してと言わないと。


「ガオー!」


 その鳴き声とともに、雄太の意識はなくなった。


「あれっ・・・」


 意識を取り戻すと、そこにはネズミがいない。何だろうと思い、雄太は手を見た。手には血が付いている。


「血だ!」


 雄太は驚いた。まさか、ネズミを食べてしまったのか?


「食べちゃった?」


 雄太は目を覚ました。どうやら夢だったようだ。でも、あの夢は一体、何だったんだろうか?


「夢か・・・」


 雄太はベッドから起き上がり、ベッドを見た。すると、ベッドには血が付いている。


「あれっ、血が・・・」


 雄太は手を確認した。だが、普通の人間の手だ、スマホで自分の顔を確認したが、やはり人間の姿だ。あの夢は一体、何だったんだろうか?


「雄太ー、ごはんよー」

「はーい!」


 母の声で、雄太はダイニングに向かった。朝食を食べて、気分を落ち着かせよう。あれは夢だったんだ。でも、着になる事もある。どうしてベッドに血が付いているんだろうか? まさか、あの夢は本当だったんだろうか?


 朝食を食べている時でも、雄太は気になっていた。あの夢の事だ。母はその様子を見て、気になっていた。こんな雄太の姿は、見た事がない。


「うーん・・・」

「どうしたの?」


 母の声で、雄太は我に返った。明らかに昨日の雄太と違う。どうしたんだろうか? 何かを考えているようなしぐさだ。


「いや、何でもないよ」

「そう・・・」


 母は心配そうな表情だ。ひょっとして、何かを隠しているんじゃないかな?




 その夜、雄太はいつものように寝入った。雄太は昨日の夢の事が気になっていた。またあの夢を見るんじゃないかな? だけど、寝てスッキリしないと。


「寝るか・・・」


 雄太は寝入った。だが、また熱にうなされて、目を覚ました。雄太は驚いた。いつもより足取りが重い。まさか、怪獣になっているのか?


「あれっ・・・」


 雄太はスマホで自分の顔を見た。なんと、今夜も雄太は怪獣になっていた。


「か、怪獣!」

「雄太! 何してるの?」


 その声とともに、母がやって来た。母は呆然となった。そこには、雄太ではなく、怪獣がいる。これはどう言う事だろうか? どうして目の前に怪獣がいるんだろうか?


「ギャーーーーーー!」


 雄太は再び意識をなくした。程なくして、母は怪獣にかみつかれ、食べられた。


「あれっ!?」


 気づいた時には、手が血まみれになっていた。まさか、母を食べてしまった?


「えっ!? お母さんを食べちゃった?」


 何と、雄太は母を食べてしまった。その後、雄太を見た者はいないと言う。




 翌週の月曜日、雄太と同じ帰り道を、雄太の部活仲間の高木が自転車に乗って帰宅していた。雄太が失踪して2日目だ。血しか証拠が見つかっていないという。もしかして、殺されたのでは? 高木は不安になった。


 と、高木は帰り道である手袋を見つけた。この手袋は何だろう。誰が落としたんだろうか? かっこいいな。


「あれ? この手袋は何だろう」


 高木は自転車から降り、手袋を拾った。そして、手袋を手にはめた。


「かっこいい! 拾っておこう」


 高木は再び自転車に乗り、実家に向かった。


「グルルル・・・」


 高木の後ろには怪獣がいて、高木をじっと見ている。怪獣は拳を握り締めている。

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手袋 口羽龍 @ryo_kuchiba

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