雪原の蛍
口羽龍
雪原の蛍
八郎は北海道の道東に住む小学校6年生。実家のある雨別(うべつ)までの道のりを歩いている。この辺りは田園地帯が広がっているが、冬の時期は雪原が広がっている。この辺りには民家が全くない。この辺りには昔、別の集落があったそうだが、その痕跡は全くない。八郎はここに集落があった事を全く知らない。
「早く帰ろう」
八郎は白い息を吐いた。今週に入って、冬型の気圧配置になり、とても寒い日々が続いている。早く家に帰って、暖を取りたい。そして、温かいシチューを食べたいな。
「寒いな・・・」
八郎は凍えていた。カイロを腹と靴下に付けている。そして、手袋やニット帽を装備している。それでもとても寒い。北海道の冬は厳しい。だけど、それを乗り越えると、春がやって来る。春が来るのを待とう。
八郎は前を向いた。雨別はまだ見えない。まだまだ遠いようだ。だけど、歩かなければ。
と、八郎はあるものを見つけた。キラキラと光るものが飛んでいる。一体何だろう。蛍と思われるが、蛍は夏の生き物だ。どうして飛んでいるんだろうか?
「あれっ・・・。何だろう」
八郎はそれが気になった。何だろう。八郎が辺りを見渡すと、いくつものキラキラと輝く光が見える。まるでここは集落のように見える。だが、ここには集落なんてない。何だろう。
しばらく見ていると、そこには集落が見えた。これはいつの時代だろう。木造の小さな家がいくつもある。そして、多くの人が行きかっている。八郎は感じていた。自分は幻を見ているんだ。これはいつの時代だろう。ここは何という集落だろうか?
「えっ、ここは集落?」
八郎は首をかしげた。ここに集落って、あったっけ?
「こんな所に集落あったかな?」
八郎は集落を見渡している。多くの人がいる。どれだけの人がいるんだろう。とても賑わっているな。自分もこんな時代に生まれたかったな。そして、ここに住みたかったな。
「多くの人がいるな・・・。こんなにも人がいるって・・・」
だが、しばらく見ていると、徐々に人が減っていく。そして、家々が消えていく。八郎はそれを見ていて、寂しくなった。
「あれっ、減ってく・・・」
そして、光は消えていった。そして、元の雪原へと戻っていった。八郎は呆然となった。今さっきの幻は、いったい何だったんだろうか?
「なくなった・・・。何だったんだろう・・・」
八郎はまた寒くなった。早く帰ろう。早く帰らないと、風邪を引くかもしれない。
「まぁいいか。帰ろう」
八郎は再び雪原の中の一本道を歩いていた。とても静かな、寂しい道だ。車は全く通らない。
数十分歩いて、八郎は実家に戻ってきた。実家は最近建てられた2階建ての家で、八郎の他に、両親と祖父母が暮らしている。
「ただいまー」
八郎は家に入った。すると、祖母がやって来た。祖母はエプロンを付けている。
「おかえりー」
祖母は何かを見ている。八郎は思った。何を見ているんだろうか? 何か気になる事柄だろうか?
「何見てるの?」
「これ?幸別(さちべつ)っていう集落」
祖母はその写真を見た。その写真は白黒で、そこには木造の家々の写真がある。それを見て、八郎は驚いた。今さっき見た集落の幻にそっくりだ。この幸別という集落は、いったいどこにあったんだろうか? あの雪原にあったとすると、あの幻は幸別の幻だったんだろうか?
「えっ!?」
「どうしたの?」
祖母は驚いた。八郎は幸別という集落の話を聞いた事がないのに、どうして反応するんだろうか?
「いや、帰り道でそれらしき集落の幻を見て」
「本当?」
祖母は驚いた。小学校から雨別という集落に行く間にあった集落で、今はただの田園地帯になった。まさか、その幻だろうか?
「うん。この辺りだけど」
八郎は玄関にある地図で、幻を見た位置を指さした。
「ここに本当に幸別という集落があったんだよ」
「そうだったんだ」
やはり、ここにあったのか。とすると、あれは集落の幻だったに違いない。でも、どうしてそんなのを見たんだろうか? ここに集落あったという記憶を、忘れないでほしいという願いを込めてだろうか?
「ここは昔、多くの人が暮らしたんだけど、もう誰もいなくなってしまったのよ」
祖母は寂しそうだ。幸別は雨別よりも賑わっていた。なのに、今では消えてしまった。とても寂しいな。
「そうなんだ。残念だね」
「うん」
祖母は思った。八郎が見た幻は、幸別の幻だったんだな。ここに幸別という集落があった記憶、忘れないでいてほしいな。
「いったい、あの幻は何だったんだろう」
「さぁね・・・。はぁ・・・、この集落、どうなってしまうんだろうね」
祖母は思った。この雨別は子供が八郎1人だけだ。八郎がこの集落を出て行ってしまうと、雨別はどうなってしまうんだろうか? だんだん住民が減っていって、家々が消えていって、幸別のように何もなくなってしまうんだろうか? そうならないためには、どうすればいいんだろうか? 答えが見つからない。
雪原の蛍 口羽龍 @ryo_kuchiba
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