僕に仕えて、僕を使って。

寝布団

初日

初めて屋敷に来た時はびっくりした。


「ぁ、こ、こんにちは。今日から貴方……御主人様に新しく仕えることになりました、ステイと申します。よろしくお願いします。」



噛み噛みだし顔強ばりすぎ……こんなに人数居るんだから別に挨拶とかいらないし、てかそんなの聞いてる暇無いし。



「………よろしく。」


どーでもいいや。執事の1人くらい。






『お坊ちゃま、今日の髪型はどう致しますか。』

『お坊ちゃま、今日のスケジュールは……』


お坊ちゃま、お坊ちゃま、って。

お坊ちゃま以前に1人の子供なんだけど。


どのメイドもどの執事もどの権力者もおんなじ。

誰も僕の事なんてみてなくて、マニュアル通りのマネキン。

悪いことではないけど………僕にとっては、タライ回しのようで、あまり良い心地はしない。



僕だって本当はお花摘みやドッチボール、遊具から日暮れを眺めたり、友達とサッカーだってしたかった。



でもそんなものは夢の夢。

本でしか見たことの無い遊具は、揺らしたくても揺れないし、回したくても回らなかった。



僕はずっと部屋に引き篭って、勉強、勉強、休憩にも勉強。僕はロボットなのだろうか。

これはもっとハッキリ物を言えない僕が悪いのか?それとも、こうした大人達が悪いのか。



考えるだけ無駄だし、この時間でどのくらい努力できただろう。

そう考えると悩むのすら馬鹿馬鹿しい。

でも悩みたくない訳では無い。


こんな我儘な僕を、皆が嫌っている。





コンコン



「!誰だ。」


「わっ、す、すみません……お邪魔してしまいましたか?あの……」


「ああ……新人の。用件はなんだ。勉強中の札がある時は、入ってこないでくれ。」


「いや、それは見てたんですけど……」


「ならなんで。」


「その、ずっと札があるので。かれこれもう6時間……お辛くないですか?」


「……はあ?いや、辛くないし。たったの6時間くらい。急に入ってきてこんな事言うなんて、失礼だと思わないのか?」




嫌だな。僕は凄く捻くれていて。お父様に似てきたんだ……いやだ、こんな事言いたくないのに。



「め、迷惑ですよねすみませ……ああ、でも、たったではないですよ。僕はそんなに集中力が続かないものですから……」


「(だろうな。)」


「だから、とっても尊敬しています。」



「これ、マカロン作ってきました。甘い物がお好きとメモしてあったので……」


「え……」


「あ、チョコ味はあまり好ましくなかったですか!?どうしよ、抹茶にすればよかったかな、勉強中だからサッパリしている方が………?」


「いや、いやいや。チョコは好きだよ。ありがとう」


「も、貰ってくれるんですか!?」


「(別に、貰わない理由がないだろう……)まあ、小腹は空いていたし。」


「わー……!やっぱり、御主人様はお優しい!」


「……??どこがだ?」


「え?いや、そこですよ」


「そこってどこだ?」


「そういうとこ!」


「こそあどをやめろ!伝わりにくい!」



「もっと具体的に……」


「わっ、顔近!!!!?」


「は?」


「御主人様の、鈍感!!」


「はあ?」


ドタドタドタドタ……



「……………………………はぁ?何だったんだ。あの嵐は。」


……おそらく、僕はあの執事のことを好きになれないだろう。僕はよく冷たいと言われている。ああいう人柄に。能天気で何も考えていない。僕が嫌いになる前に、自衛をするべきだ。


既に名前も忘れてしまった。めんどくさい。はぁ、無駄なエネルギーを使った。……もう、今日は早めに終わりにしよう。

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僕に仕えて、僕を使って。 寝布団 @Nefu_to

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