白夏。

白川 優雨 (しらかわ ゆう)

白夏

 私は髪を宙に翻した。そして、私の墓前に立つ彼の頭をひとつ払う。そうして墓石に座り、彼の懺悔を聞いている。

 彼の話がピークに達した時、私は空に身を預け、暫く留まっていた。自分の爪を見る。広げてみたり、猫の手みたいにしてから、爪をカリカリする。

 彼の話が一段落した頃、彼は地面に膝を着いた。


 「今日は晴れの予報だったんだけどなー」


 彼に言葉は届いただろうか、どちらにせよ、彼が地面に着いた手と手の間は、濃く湿っている。

 彼の目前に降りる。その場にしゃがみこんで、濡れた彼の両頬に手を置く。額が重なった。太陽は照りつけている。雲は切れて、山の向こうへと運ばれる。ひとつ、またひとつ。

 額が離れると、お饅頭を手に取り頬張る。すぐに手は粉だらけになった。彼に背を向け、口に残ったものを噛む。やっぱり今日は日差しが強い。暑い暑いと、やや傾いた太陽に文句を言った。

 しかし、こんなに動き回れるのは何年ぶりだろうか。考えてから、彼に視線をやると、それは目に付いた。

 片膝をつき、腫れた目で、彼が突き出したそれは、白飛びの海や、よく掃除された、あたしの病室なんかより、よっぽど光っていた。

 

 天気予報なんかあてになんないね。そうしてあたしは離さなかった。彼は気づいてくれたかな。

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白夏。 白川 優雨 (しらかわ ゆう) @Syafukasu

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