【短編】米国産 あきたこまち事件 (^▽^)/

山野小雪

第1話 米国産あきたこまち事件



「おい、秋田小町あきたこまち米国産べいこくさんってどういうことだ!?」


 声の主はうちの山岳部の顧問笹田先生だ。

 今日は山岳部のメンバーで明日の山行の食料品の買出しに来たのだ。


 ──何を言っているんだが


 大声で叫ばないでほしい。近所のスーパーで、はずかしい。


「なんで、秋田小町あきたこまちがアメリカ産なんだ!」


***


 今日、俺と他の四人の部員と顧問の笹田先生でこのスーパーにやって来た。明日の山行さんこうに備えての買出しだ。買った荷物は笹田先生の車に乗せて高校まで運び入れる。



 笹田先生は無洗米の米を探しに、米コーナーに向かった。すると響き渡るような大声が聞こえたのだ。

 俺はたまたま隣のパスタコーナにいたので駆け付けた。


「おい、これおかしいぞ」 

 

 ちらりと後ろから確認すると、俺はため息が出た。この先生、本当に大丈夫かな。


「竹本!!」 


 大声で俺の名前を呼ぶな。制服を着ているから高校はバレているんだ。

 部員は皆、逃げてしまった。

 

秋田小町あきたこまちが、どうしてアメリカ産なんだ?」

「……ああ、それはですね」

 

 説明するのも馬鹿らしくなってきた。俺が黙っていたので分からないとでも思ったのか、笹田先生はスーパーの店員さんに訊こうとしている。まずい、止めなければ。 

 

 

「先生、米国産べいこくさんではなく米国産こめこくさんなんです」

「……」

のあきたこまちです」

「……のあきたこまちで、ではないと」

「はい」

「……そうだな、先生もおかしいと思っていたよ」


 マジかよ。本気で叫んでいたくせに。恥ずかしいやつだ。


 スーパーの棚には「米国産 あきたこまち」と表示されている。

 これは“こめこくさん”、つまり「国産こくさんの米」という意味であって、

 “べいこくさん”ではない。

 商品パッケージにも「(国産こくさん)あきたこまち」としっかり書かれている。

 なんでこんな人がうちの高校で教鞭を取ってるのだろう。頭が良いのにそのギャップに俺はため息が出た。


 

 うちは都内でもわりと有名な進学校で、

 しかも笹田先生は特進クラスの担任だ。保護者からの信頼も厚い。

 ちなみに山岳部は料理審査、スピード審査、技術審査、知識審査など、

 複合的な能力が求められる部活だ。


 どうして顧問がこんなに……バカなんだ。

 

 この顧問は、その後も色々しでかしてくれる。

 在学中は何度も、この顧問とは……いや、縁を切りたいと思ったが、

 俺が高校を卒業した後も、ネタになってくれる貴重な人となった。


 

 了

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【短編】米国産 あきたこまち事件 (^▽^)/ 山野小雪 @touri2005

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