ストーカー

リバー

ストーカー

赤ワインを持ってくるウェイターを見て、テンションが上がる貴子。


「とっても素敵!」

「気に入ってもらってよかったよ」

「うん! ここのホテル高そうだけど大丈夫?」

「気にしないで。せっかくのクリスマスだ。楽しもうよ」


ワイングラスを手に取り、高級レストランから見える夜景を楽しみながら乾杯をする2人。


「今日はありがとう! とても素敵なクリスマスになったわ」

「喜んでくれて何よりだよ。明日仕事が入ってなかったらもう少し一緒にいたかったんだけど…」

「仕事じゃ仕方ないよ。次会うのは年末になるかな?」

「そうだね。年末年始は一緒に過ごそう」

「うん!」

「じゃあ今日は解散しようか。タクシー呼ぼうか?」

「ううん。大丈夫。ちょっと夜風に当たりながら帰るね」

「そっか…。気をつけてね」

「うん。今日はありがとう…」


貴子は雄太に抱き着き、お別れのキスをした。


「またね」

「うん。また連絡するよ」


ご機嫌で帰る貴子。雄太は友達が誘ってくれた合コンで知り合った。

誠実で真面目。若くして営業成績がトップ。非の打ちどころがない彼氏だ。私にはもったいない彼氏だが、付き合ってしまったからにはしょうがない。最後まで面倒を見てもらおう。そのため雄太にそっぽ向かれないために、私も自分磨きに力を入れなくては。

スマホのバイブレーションが鳴り、バックから取り出すと雄太からのライン通知があった。


「今日は楽しかった。年末が待ち遠しいよ」


にやける貴子。私にぞっこんじゃん雄太!


「私も待ち遠しよ。仕事がんばってね!」


すぐに既読が付いた。こういうまめな男がモテるのよ!

ウキウキしながら帰路に着く。そのすぐ後ろで貴子を凝視する黒ずくめの男。


二日後


会社で取引先のメールを返信していると、貴子からのライン通知。

貴子は仕事の時、あまり連絡をしてこないので、何かあったのかとすぐに通知を開く雄太。


「最近、知らない男に付きまとわれてる気がするの…。どうしよう…」

「え! 警察には連絡した!?」

「ううん。してない。ネットで調べたんだけどストーカーって実害が出ないと動いてくれないみたいなの」

「今どこ? 仕事?」

「ううん。外出るの怖くて仕事に行けなかった」

「わかった。今日仕事終わったら貴子の家に行くから、それまで待てる?」

「うん。ありがとう。ごめんね」

「謝らないで。できるだけ早く向かうから」


仕事を早く切り上げて、貴子の住むマンションに向かう雄太。

フロントで貴子の部屋番号を打ち込み呼び出しボタンを押す雄太。

雄太をカメラで確認して、オートロックの自動ドアを開ける貴子。

貴子の部屋の前に着き、インターホンを鳴らす。するとすぐに貴子がドアを開けた。


「雄太。ありがとう…。怖かった」

「もう大丈夫。とりあえず早く家の中入ろう」


貴子の家に入る雄太。

貴子のマンションの下をうろつく黒い男。


雄太と隣り合わせでソファに座る貴子。

「大丈夫? 落ち着いた?」

「うん」

「いつからストーカーに気づいたの?」

「わかんないけど。最近、黒い服を着た男がこの辺をうろついているのは気づいていたけど、あんまり気に留めてなかったの。

だけど昨日仕事から帰る途中からつけられているのに気づいて…。走って家に…」

「そうだったんだね。怖かったね」

「ねぇ雄太。お願い今夜泊っていって!」

「え!? 泊りかぁ…」

「ダメ?」

「いや、ダメってわけではないんだけど…。明日取引先と大事な商談の約束してて…」

「お願い! 雄太…」

「…わかった。そうだよね。一人じゃ心細いもんね。でも一回家に帰って着替えとか、仕事に必要な書類取ってくるからそれまで待てる?」

「うん。大丈夫! ありがとう雄太」

「ううん。全然いいよ。じゃあ取って来るから、僕が帰って来るまで家から出ちゃダメだよ?」

「うん。わかった」


自宅マンションにつき、急いで着替えをリュックに詰めて泊りに行く準備をする雄太。

すぐに家を出て、貴子の待つマンションに向かう雄太。

すると貴子から着信が入る。


「どうした貴子?」

「雄太待ってる間、お風呂に入ろうと思ったんだけど…。風呂から小さいカメラが出てきて……」

「え!? 大丈夫!?」

「それでね。怖くて家出ちゃったの…」

「え!! 今どこいるの!?」

「怖くなって…。雄太の家に向かってる…。黒い男が私を探してる」

「すぐ迎えに行くから! 警察にも連絡するから」

「雄太~…。怖いよ……」

「大丈夫! すぐに向かうから! 一旦警察に連絡するから切るよ!」

「雄太…」


電話を切り、警察に連絡を入れる雄太。

すぐに貴子にかけ直す。


「もしもし! 貴子!?」

「雄太…」

「今どこにいる!?」

「隠れながら雄太の家に向かってる…。やっぱりあの男私のこと狙ってるよ…」


貴子の元に辿り着く前に、自分の家に着く方が早いと判断した雄太。


「わかった! そのまま俺の家に向かって! 警察にも連絡しているから! 俺の部屋番号と合鍵の場所覚えてる?」


「七〇二号室…。合鍵は雄太の部屋のポストの中。暗証番号は…」

「そう! 俺も急いで戻る!」

「雄太…」


自分のマンションに戻る雄太。急いで部屋に向かう。エレベーターが中々降りてこない。仕方なく階段を登る。

自分の部屋の鍵は開いていた。雄太は安堵した。間に合った…。

部屋を開けると、貴子の姿は見当たらなかった。


「貴子…?」


ピンポーン


インターホンのチャイムが鳴る。


ピンポーン ピンポーン


恐る恐るカメラを確認すると、困り顔をした貴子の生首を持つ男が映った。

男はニヤニヤしながら画面越しの雄太を見つめている。

その場で尻もちをつく雄太。


「貴子…。貴子………」


貴子を殺した男は画面越しの雄太に、部屋の合鍵を見せオートロックを解除した


「うわあああああああああああ……!」


慌ててドアの鍵を閉め、チェーンを閉める。

すると鍵が開けられ、ドアを無理やりこじ開けようとする男。

負けじと力いっぱいドアを引く雄太。

ドアの隙間から貴子の生首が置かれてるのが見える。


「まってまってまってまってまって……」


「あははははははははははは!!」


男の高笑いがマンション中に響く。

パトカーのサイレンが聞こえてきたが、力が出ない。


もう…、やばい……! たすけて………



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ストーカー リバー @fu_0888

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る