食卓は地獄の戦場
perchin
食卓は地獄の戦場
「第一陣、攻撃開始! じゃがいもを打ち込め!」総大将の雄叫びだ。
「甘いな! 海苔で防御しろ!」 敵対する司令官応戦する。
漆黒の装甲が展開される。
「くっ、ならば第二陣! スパイスで撹乱しろ!」
クミンとコリアンダーの粉塵を撒き散らす。
「怯むな! 胡椒とおろしニンニクで迎え撃て!」
刺激物で対抗する。
「肉だ! 牛肉を投下だ!」虎の子の切り落とし肉を投入する。
「チャーシューの用意はまだか!? 煮玉子も装填しろ!」増援を呼び寄せる。
戦況は拮抗していた。
互いに譲らぬ攻防。総大将が不敵な笑みを浮かべた。
「ふふふ……見せてやる。我が軍の最終兵器を!」
「なに!?」
「林檎と蜂蜜の溶けたルーよ、行けぇぇぇぇ!!」
ドロリとした褐色の奔流が鍋に放たれる。圧倒的なコクと甘みの暴力。
これで勝負あったかと思われた。
しかし……。
「甘いと言ったはずだ! 解き放て! 豚骨と鶏ガラをじっくり煮込んだ秘伝のスープを!!」
カレーか、ラーメンか。
二つの大国が激突し、世界(夕飯)は二分されようとしていた。
その時である。
戦場の隅で、第三勢力が声を上げた。
「あ、大量のチーズとペパロニが……」
ピザ派のレジスタンスだ。
総大将と司令官が、同時に振り向いた。
その目には、先ほどまでの敵対心はなく、共通の敵を見つけた連帯感が宿っていた。
「「協力して奴を倒そう!!」」
カレーとラーメンによる、無慈悲な集中砲火。
ピザ派の私は、一瞬にして鎮圧された。
我が家の週末は、いつも戦争が起きる。
そして、ピザ派の私は子供たちに、いまだに勝った事はない。
食卓は地獄の戦場 perchin @perchin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます