二人は仲良し。
赤須 紫陽花
二人は仲良し。
「なあなあ。」
ご飯を食べ終わった昼休み。ある少女が隣の席に座る少年に話しかける。
「ん?なんだ?」
その問いかけに少年は眠そうに答える。
教室の、一番後ろの右端の席に座る、少女と、少年。
彼らはそこでいつも話している。
「私たちって、結構長い仲じゃない?」
「・・・せやな。」
「クラスの人たちから私たちって、どう見えてると思う?」
少女は少年に質問をぶつける。少年は眠たい目を擦るも少し考えて、その質問に答える。
「・・・仲良し?」
彼らは異性同士であり、その関係は他者から見れば「仲良し」であると思われることが多い。
「へっ!甘いな!」
だが今回は違うようだ。彼らを見る他者の視線は「仲良し」から少し変わったらしい。
少女は、少年から一本取ったと言わんばかりのドヤ顔を、少年に見せつける。
「なんやお前、女だからって俺は容赦しねえぞ。」
少年はそう言って少女の方へ手を伸ばす。
「・・・ちょ、ちょっと、早まるな!」
少女の抵抗も虚しく、少年は手は抜かないと固く決心した目を見せた。
「ちょっwわかったから…く、くすぐらないでッww!」
すかさず少年は、くすぐりで反撃を開始する。
効果は抜群のようだ。
「ちっとは懲りたか?」
「…はい…」
少女の息は荒く、少し疲れたと言わんばかりに顔を机に埋めていた。
「わかればよろしい。」
「わからせするなよ、幼馴染に。」
「エロ漫画もびっくりだな。」
少女は少年に不貞腐れた顔で反論する。少年はそれを軽くあしらった。
「・・・で、答えは?」
「あ、やっぱ気になるんだ。」
「まあ、答え教えてくれないの、何か癪だし。」
少年は無表情でそう答える。いつものことだ。彼はリアクションが薄い。
わかりにくいなぁ〜と少女は思う。
「え〜と。正解はね〜」
少女はにまりと笑って、少年の耳に口を近づけた。
「カップル。に、見えるらしいよ。」
少女は耳から口を離す。彼女はニタニタ笑っていた。さあ、恥ずかしがれ。お前の恥ずかしいという感情を見せてみろ。少女はそう念じる。
それに対して少年はひどく冷静に口を開いた。
「そうか。でもな・・・」
「俺は別にそう見られてるなら、嬉しいんだけど。」
「・・・へあ?」
少女は間抜けな声を上げて、少年は席を立った。
「ちょっと先生のところに用事あっから。また後で。」
「・・・ふっ、あ、あい・・・」
少年はそのまま教室を出ていく。
少女は椅子に座ったまま固まる。顔が熱く、赤くなっていくのを感じた。
そんな、あいつが私を・・・
少女の頭の中では様々な憶測が飛び交う。それらを考えるたびにわからなくなる。
なんだ、今更。ずっと幼馴染としてやってきたのに。今更、こんな・・・
不意打ちに少女はかなり動揺する。だが、不思議だ。
何処かで嬉しいと思っている自分がいる。
「ねえねえ、昨日のアニメのさ〜、って。なんでそんなに赤くなってニヤニヤしてんの?」
そうしていると彼女の元に別の友人が寄ってきた。
「え?私笑ってた?」
「うん。めちゃくちゃ。」
友人に注意されて少女は顔に手を当てる。しかしニヤケは止まらない。
なんだろうこの気持ちは。生まれてから、感じたことのない気持ち。どうにもならない気持ち。すごく恥ずかしくて、心地が良い気持ち。
以降、少女は1日中、この気持ちを抱えて、何をするにも身が入らなかったそうな。
対して少年は・・・特に何も考えず、1日を過ごしたそうな。
彼らは、ある視点から見ると仲良し。他者の視点から見ると恋愛関係だと、見られるようだ。
二人は仲良し。 赤須 紫陽花 @akasuazisai
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