永遠の糸──最強プレイヤーのパーティに、正体を隠したヤンデレがいる。 「転生前から、好きでした」

濃紅

第1話。


 この世界に来てから、もう何年も経つ。


 目を覚ました時、そこは学生の頃に好きだったオンラインゲームの中だった。

 自分が何百時間も操作し、バイト代を注ぎ込んだキャラクター。その身体で、現実として立っていた。


 最初は混乱した。

 ステータス画面は見えず、スキルレベルも数値も確認できない。

 それでも、身体は覚えていた。風を操り、飛び、斬る。考えるより早く動ける。


 強い。

 疑いようもなく、俺はこの世界で最強だった。


 当初は同じ境遇の人間を探した。

 転生者、プレイヤー、ログインしてきた誰か。

 だが、結局一人も見つからなかった。


 この世界は、もう“続き”なのだと理解した。


 今は、横に彼女がいる。


 パーティメンバー。

 強いが、俺ほどではない。

 ゲームの話を振ってみたこともあるが、通じなかった。だからNPCか、この世界の住人なんだろうと思っている。


 不思議と、違和感はない。


 無理をしない。

 踏み込みすぎない。

 俺の移動にも、危険な戦いにも、ちゃんと距離を取る。


 信頼できる相棒だ。


「着いていける?」


 そう聞いた時、彼女は少し考えてから、

「頑張るので!」

 と笑った。


 実際、無茶はしていない。

 付いてこれる範囲だけ、確実に。


 こうしてパーティを組んだ以上、いつまでも自由には暮らせないだろう。


 俺は老けない。

 この身体は、たぶんそういう仕様だ。


 でも、彼女は違う。


 時間は進む。

 拠点も、目的も、生活も必要になる。


 ……何か、活動を始めないとな。


 そう考えながら、俺は風に身を預け、次の街へ向かった。




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