宿屋のモブ女子に転生した私、異世界で『百合風俗』を開店する。〜女性専門の夜の店で磨いた技術で帝国最強の女剣聖が「ママ」と鳴くまで甘やかしてあげた〜

駄駄駄

第1章:開店

第1話:異世界に転生したので『禁断の宿』はじめました。

目の前に浮かび上がる、半透明の青白い光。


私は指先で、自分の店の情報を検索し、その「虚無」を眺めていた。




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【異世界『SNS』 | 検索:近くの宿 】

■ 店舗名称: 癒やしの隠れ宿『木漏れ日こもれび

■ カテゴリ: 宿泊・リラクゼーション・その他

■ 所在地: 王都郊外・北西の森 旧街道沿い

■ キャッチコピー: 「女性専門、願いが叶う隠れ宿」


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「……ふん。レビュー0、スコアなし。王都の『バズり宿』ランキングの100ページ目にも載ってないのね」


私は鼻で笑い、ウィンドウをスクロールした。


他の人気店のページには、「騎士団御用達!」「魔力回復効率最高w」「映えるスイーツあり」といった、承認欲求の塊のようなレビューが何百件と書き込まれ、キラキラした画像が溢れている。


一方、私の店は……。


公式がアップした、飾り気のない木造の玄関の写真が一枚あるだけ。「おすすめメニュー:その日のあなたに必要なもの」なんていう、商売っ気ゼロの不親切な説明。


誰も期待してない、誰も評価してない。だからこそ、ここには「嘘」がない。


――ここは、異世界の『禁断の宿』。


前世で女性専門の「夜の店」の支配人だった私は、異世界に転生してもこれを生業にする。


私は指先でウィンドウを弾き飛ばし、店を覆う静寂に身を委ねた。


この「0.0」という数字が、あんな鋼の剣聖によって「測定不能」にまで叩き上げられることになるとは、この時の私はまだ、露ほども思っていなかったのだ。



 ◆



「……はあ。今日も、ただただ森の緑が目に染みる」


私は、街外れの深い森の入り口に建つ、我が店――『木漏れ日』のカウンターで、深くため息を吐き出した。


カウンターの隅に置かれた魔導デバイス、異世界の『スマホ』が、無機質な光を放っている。画面に流れる異世界の『SNS』のタイムラインには、今日も今日とて「キラキラした自分」を演出するのに必死な連中の呟きが溢れていた。


私はスマホの電源を落とし、カウンターを指先でリズミカルに叩いた。


私の名はナギ。前世では一ノ瀬凪いちのせなぎという28歳、180cmの長身の女だったが、今は18歳の宿屋を切り盛りする、ちまっこいモブ女子だ。


前世では180cmの図体だったが、今世では中学生ほどしかない華奢な体つきである。


生活では色々不便もあるが、やっぱりちっちゃい女の子というのは可愛い。顔は「The Mob」って感じだが、体つきは割と気に入っている。


そんな私が今いるのは、もともとは宿屋だった場所。


立地が悪すぎて客足もほとんどないが故に、普通の宿屋として経営していくのは厳しい。


今世でお金を稼いでいけないと、待っているのは、前世よりも凄惨な結末だ。


なので、思いきって改装させた。


この異世界に転生してくる前は、新宿の女性専門の夜の店で「指名No.1キャスト」として、数多の女性たちの心の隙間を埋めてきた。


私にできることなど、そのくらいしかないのだ。自分で言ってても悲しくなるけど。


この世界には、魔法も魔物も存在する。けれど、「幸い」にも決定的に欠けているものがある。


それは、女性が女性として、何者の鎖にも縛られずに、ただ一人の「女」として慈しまれるための場所だ。


だから、私はこの店を作った。まあ、それっぽいこと言ってるけど、単純に女の子が好きだからである。完全に下心である。……一緒に添い寝したい!


店主である私は、どこにでもいるような「モブ」だ。背も低く、華やかさのかけらもない。鏡を見るたびに「需要なさそうね、私」と鼻で笑ってしまうような地味な女だ。


だが、その平凡な肉体に宿っているのは、相手の神経系を直接掌握し、凝りをほぐし尽くす『指先』である。


「さて、開店から三日。看板も出さず、知る人ぞ知る隠れ家を気取ってみたけど……さすがに集客がゼロなのは、プロとして少し寂しいね」


そう言いながら、私は自慢の指先を、特製のオイルで磨き上げる。


その時だった。


――バァンッ!!!


店の重厚な扉が、まるで攻城兵器でも叩きつけられたかのような轟音を立てて、壁に激突した。


「……っ!?」


私は反射的に身を構えた。


だが、そこから入ってきたのは、血気盛んな強盗でも、森に住む魔物でもなかった。


「……すまない。ここが、噂に聞いた……『極上の安らぎ』を、提供する宿で間違いないか?」


言葉の重みだけで空気が震える。


扉の向こうに立っていたのは、一人の女性だった。


いや、「女性」という言葉で括るには、あまりにもその存在感は苛烈だった。


腰まで届く白銀の長髪は、激しい戦闘の余波か、土埃と返り血にまみれている。


纏っている銀の鎧には、魔物の鋭い爪跡が無数に刻まれ、一部は歪んで中の肌を圧迫しているようだった。


凛々しい眉、形の良い唇、そしてなによりも、凍てつくような美貌。


冷徹な瞳の少し降りたところ、そこには泣き黒子ぼくろがあり、彼女の美しさをより際立たせている。


そして、その瞳には、三日三晩眠っていないと言わんばかりの、深い疲弊に沈んでいた。


私は一目で彼女の正体を見抜いた。


帝国騎士団第一剣聖――リズ。


「氷の女王」、「人類最強」、「無敗の剣聖」。


……生ける伝説そのものが、私の店に、幽霊のような足取りで乱入してきたのだ。


「……いらっしゃいませ。ここは、宿泊も可能な『癒やしの宿』ですが。……お客様、相当お疲れのようですね」


「……ああ。魔物との連戦、部下を先に帰し……私は、最後の一匹を……。もはや、指一本動かすのも……億劫だ。……金なら、いくらでもある」


リズは、カウンターの上にドサリと、ずっしり重い金貨の袋を置いた。


金貨同士が擦れ合う、鈍くも贅沢な音が響く。


私は彼女を値踏みするように見つめた。


表情を一切崩さないことから、一見すると不機嫌なようにも見える。


人類最強。剣を振れば一国を滅ぼすとまで謳われる帝国の英雄。


そんな彼女が、今、私の前で、鎧という名の「重石」に潰されそうになっている。


(面白いじゃない。最強の剣聖が、ただのモブである私の指先で、どんな声を上げるのか……。腕が鳴るわね)


私は魔導デバイスの端末から、特製のメニュー表――『利用料金一覧・契約書』を表示させる。




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【『木漏れ日』御利用料金一覧(会員規約付)】

■ 基本滞在パッケージ:『凪の深淵』

料金:100,000 G

※店主・ナギによるマンツーマンのフルコース。一晩一名様限定。

※当店唯一のパッケージとなっております。


【パッケージ内容】

入浴・清拭儀式:疲弊した肉体の解しと、薬湯による身体の調整。料金:14,000 G

滋養給餌:顧客の体調に合わせた完全オーダーメイドの夕食・朝食。料金:2,000 G

概念導入(ロールプレイ):任意の配役による精神的ケア。料金:21,000 G

耳孔清掃・安眠誘導:聴覚刺激と身体接触による、休息への誘導。料金:31,000 G

深夜の添い寝:朝まで店主が寄り添い、孤独を排除します。料金:32,000 G


■ オプション:『凪の儀式(本番)』

料金:+1,000 G ※女性同士の「夜の営み」の完遂を目的とした追加契約。

【返金保証制度】

店主の容姿が顧客の審美眼に著しく適わない、または店主の技術不足により「絶頂」に至らなかった場合、本オプション料金の1,000 Gを翌朝に返金いたします。

※身体接触を伴わない会話のみの『浅瀬』コースの場合、合計金額は半額。


■ 入会金・年会費

初回のみ:30,000 G ※完全会員制・一見様お断り。

紹介のない方は、店主との面談により入会可否を決定します。



           [ 同意し、次のページへ進む ]




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「では、こちらの内容をご確認いただけますか? 当店の最上級パッケージ『凪の深淵』。食事、入浴、耳かき、添い寝……そして最後に『本番』が含まれる、フルコースの契約です」


リズは、霞む目を必死に開いて、次のページの契約書に記された項目をなぞった。


「……ん? 『耳かき』……『ママ』? ……『義理の妹』? なんだ、これは。癒やしの流派の名前か? ……あと、『本番』とは? まさか……過酷な試練が待っているのではないだろうな?」


彼女の声には、本気でそれを懸念するような響きがあった。


私は呆れを通り越して、感心すら覚えた。


この女、最強の騎士のくせに、世間一般の「夜の常識」が絶望的に欠落している。


その様子だと、おそらくコウノトリが赤ん坊を運んでくると本気で信じているタイプだろう。


「いえ、リズ様。それは……女性同士がもっとも幸福に、心地よくなるための……いわば『特別な癒やし』の極致です。特に最後のは、とびきりですよ」


「癒やしの極致……。そうか。ならば、今の私にはそれが必要なのだろうな。何せ、この三週間、私の魂は剣を振るうことだけに費やされてきた」


リズは、迷うことなくその契約書にサイン――魔力による刻印を記した。


「……よし。ならば、まずはその第一段階を頼む。……まずは何をすればいい?」


「まずは、その重い鎧を脱ぎましょうか」


私はカウンターから出ると、彼女の背後に回った。


鋼が擦れる冷たい音。


鎧の隙間から漏れ出す、戦闘の熱気と、女性らしい、けれどどこか野性味のある香り。


これから、この無敗の剣聖を、私の指先一つでドロドロの「ふにゃふにゃ」にしてあげるのだ。


「……さあ、こちらへ。極上の『お手入れ』の始まりです」


私は、彼女を浴室へと誘った。



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