深月×道明
ブラウニーは、綺麗にラッピングされて紙袋に入れられている。
それに、普段何かとお世話になっている
せっかくのバレンタインだ。
道明に渡したいけれど、渡すタイミングを失ってしまった。
車の免許取得と、アルバイトに忙しく、なかなかデートの時間も作れないでいる。
悩んでいても仕方ないと、道明の家まで来てみたものの、両親もいないだろう。
「深月ちゃん?
どうしたの?
秋山家の前でボーッと立ち尽くして。
ウチの両親もいるから、中入ろう?
ここにいると寒いよ」
後ろから声を掛けられて、反射的に振り向く。
道明の姉、
バレンタインなので、両親にチョコレートを買ったという。
それを届けに来たようだ。
「道明のやつ、深月ちゃんみたいな可愛くてデキる彼女をほったらかして何してるわけ?
もう!
私がガツンと言ってやるから!
深月ちゃんは家に入ってな?
女の子が身体冷やしちゃダメだし」
「知佳?
外で何話して……
あら?
深月ちゃんも一緒なのね。
2人とも、入りなさいな。
あらあら。
鼻まで真っ赤じゃないの、深月ちゃん」
玄関から慌てて出てきたのは、道明のお母さんだ。
白いコートをハンガーにかけてくれて、電気毛布を手渡してくれた。
ミントグリーンのスカートがシワにならないように、ダイニングの椅子に座る。
「外寒かっただろう。
知佳も座りなさい。
コーヒーがいいか?
すぐ淹れるから待っててくれ」
道明のお父さんも、温かいコーヒーを差し入れてくれた。
「すみません。
突然お邪魔したのに……
ありがとうございます」
「女の子が身体冷やすと大変よ?
大事にしないとね?
何せ、何年か後に孫が見れる可能性もあるものね?
深月ちゃんと道明の人生だもの。
強制するつもりはないけれど」
危うく、コーヒーを吹き出すところだった。
「ちょっとお母さん!?
まだ早いでしょ……
まだ2人共これから大学生よ?
道明はバカだから、手作りお菓子作って来てくれた彼女を放ったらかしてるのよね。
車の免許取りに行くなんて、カッコつけちゃって。
アルバイトも詰め込んでるんだって?
何やってるのよ、全く。
深月ちゃん、ホントにこんなバカでいいの?」
「良かったら、皆さんで食べて下さい。
お口に合うといいんですが……」
そう言って、手作りのブラウニーを手渡した。
「私たちにも!?
本当に嬉しいわ。
ありがとうね、深月ちゃん。
娘がもう1人出来たみたいな感じなの。
してほしいことがあったら何でも言ってね」
道明の両親は私のことを実の娘のように可愛がってくれる。
私の両親は家にいないことが多いため、本当の家族のようで、とても嬉しい。
「あれ、深月?
何でいるの?
姉貴に電話口で怒鳴られて、説明会終わったら飛んできたわ」
話を聞くと、大学の寮を使うか、一人暮らしをするか少し悩んでいるという。
「俺としては、一人暮らしがいいんだけどな。
深月が徹夜して課題やってそうで心配だ。
だからといって、
「まったくもう、そんな心配なら、一緒にいてやれ、っての。
ホラ、深月ちゃんからアンタに、バレンタインだって。
私たちにまでくれたし、ホントいい子よね、深月ちゃん。
アンタにはもったいないわ。
「深月ちゃん。
久しぶりに知佳もいるし、泊まっていけば?
私は歓迎よ。
知佳も深月ちゃんも、食べたいものあったら言ってね」
「ったく、離れてた分の埋め合わせはホワイトデー以降にちゃんとするって。
その頃には何とか免許取れそうだしな。
何ならおふくろの言う通り、今日泊まっていけば?」
その台詞の後、道明は私の身体を軽く抱き寄せて耳元で言葉を紡いだ。
オフショルニットなんてエロいの着て、俺のこと誘ってる?
夜、覚悟してね」
……今夜は徹夜覚悟だな。
道明の家に行ってガトーショコラ渡したらすぐお暇するつもりの服のチョイス、失敗したかな?
でも、何だかんだで久しぶりに道明とイチャイチャできるから、結果オーライか。
私を大事にしてくれる道明と、その家族に感謝を込めて、ハッピーバレンタイン。
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