【転生編】不正貴族の息子に転生した俺。親の全借金を背負わされた代わりに、辺境伯の名誉と土地だけをもらったので、領地を再興しようと思います。

天音楓

転生した

 赤ちゃんとして転生したとき、俺は知らなかった。

 5年後、この街の領主になるなんて…



 俺の名前はルカ=フォルデン。

 この世界に貴族として転生した。


 前世では転生ものゲームをやりまくる日々。

 そんな俺からしたら、これは大当たりということは一瞬でわかる。


 そもそも、なぜ死んだのか。

 異世界転生というものに没入しすぎた俺は本当に転生できるかもと考え、定番の交通事故で命を引き取った。


 無事、目が覚めたのだが、今考えると運が良かったのかもしれない。

 

 転生したとき(まぁ、ものの数日前なのだが)、異世界特有の薄く青みがかったウィンドウが表示された。


 そこにはスキル【農業】【読心】と書いてあった。

 スキル以外にもう一つ表示されていたのだが、今の俺には関係ないだろう。


 一応、前世の記憶はあるみたいだ。


 この俺を抱いているのはリーリャという人らしい。


 俺の両親は俺なんか興味を持っておらず、毎度のこと、リーリャに押し付けてばかり。


 どうやら、俺を産んだ理由は後継が欲しいから。

 ただ、そんな理由だけ。


 少し、どうかと思ったが、この世界では普通のことなのかもしれない。


 数日経って、この体にも、少し慣れてきたな。

 スキルを使うとするか。

 

 【読心】を使うことにした。


『夕食は何にしよう…』『領主様の機嫌は…』『掃除はちゃんと…』


 数十人分の思考がノイズのように響き、頭が割れそうになった。


 やばい…うるさすぎる。


 これは使ってられないな。封印しよう。


 後一つは、【農業】だけど、この体では使えないだろう。


 後回しか…


 転生したら、俺TUEE系を想像していたけど、この世界ではそう甘くないのかもしれない。


 まぁ、貴族ということだけは悪くない。


 特にやることもないし、スローライフもいいかもしれないな。


*2年後*


 俺は特に両親に祝られることもなく、2歳になった。

 

 まぁ、リーリャが祝ってくれたので、それで十分だ。

 

 リーリャは髪は亜赤色の女の子だ。

 どうやら、メイドという立場らしい。

 17歳なのによく頑張るものだ。


 両親に相手にされない俺には、リーリャが母親みたいな存在になっていた。

 

 俺が住む屋敷には大きな庭がある。


 今日は、そこで、【農業】を使ってみることにした。

 

 だけど、この街の土地は枯れ果てているから、農業なんてままならない。


 まぁ、少し試してみよう。


 数日経つと、少しわかってきた。

 

 俺が、土を耕すと、想像した野菜が植えられ、次の日には収穫することができることを。


 まずはニンジンを作ることにした。


 これをリーリャに見せたら、驚くだろう!


 「リーリャ、これみて!」


「どうしたの?ルカ。ニンジンでは遊んじゃダメよ。」


 この反応から察するに、この世界にはすでに、ニンジンはあるみたいだ。


 少し悔しかった俺は、ジャガイモ、タマネギ、ピーマン…いろいろなものを栽培した。


 だけど、どれもリーリャは驚かなかった。

 

 悔しかったから、たくさん栽培しようとしたが、枯れ果てた街では、騒ぎになりそうだ。


 自分で食べる分だけをつくることにした。


 このスキルを使えば、スローライフも実現するかもしれない!


*さらに2年後*


 今日は家族全員で、隣街のハイゼル領まで行くらしい。もちろんリーリャも横にいる。


 馬車で半日くらい経ったのだろうか。

 もう日は暮れそうな時間だった。


「ルカ、もうそろつくよ。」


 リーリャから声をかけられ、俺は目を覚ました。


 そこには見たことのない景色が広がっていた。


 肥沃な土地、川、何よりも空気が違う。


 ここは、異世界かと、思ってしまうくらいだ。


 この頃には、俺が異世界転生したことは記憶の片隅にしかなかった。


 どうやら、今日は近くの領土の人たちが集まるパーティーをやるそうだ。


 そのために、俺はかなりの時間を費やして、リーリャにダンスや、社交礼儀などを叩き込まれた。


 そして、ハイゼル領につくと、

 着いた先には、


「わあ…」


 肥沃な土地、川、綺麗な街並み。


 ーーここは、同じ世界なのか?


 俺の領地とは、あまりにも違いすぎる。


 パーティーが始まる前、父が初めて俺に話しかけた。


「ルカ、お前は辺境伯の跡取りだ。品位を保て」


 愛情のかけらもない、ただの命令。


 でも、父さんが、久しぶりに俺に話しかけた。


 そのことだけで、俺は少し嬉しかった。


 そして、パーティーが始まった。


 パーティーでは、他の領主の子供たちと会った。


 みんな、俺より年上だ。


 それなのに、みんな俺を馬鹿にした。


「辺境伯の子供?ああ、あの貧しい街の」

「可哀想に」


 悔しかった。


 でも、何も言い返せなかった。


 だって、周りの家族からしたら本当に貧しいから。


 それはお金だけじゃない。土地も、親の愛情もだ。


 品位を保つ。


 そのことを破るわけにもいかず、俺は悪口に耐えながら、そのパーティーは終了した。



 それから1年後ーー


「辺境伯を引きずり出せ!」


 親が、市民に対し不正を働いていたことがばれた。


 俺はそんな事実に気づく間もなかった。


 市民の怒号が響き、それを恐れた両親は、俺には目もくれず、置いて逃げた。



 こうして、絶望かと思われる異世界生活がスタートした。


**後書き**


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


【お知らせ】


本作は現在、連載版として物語の続きを公開中です!

5歳になったルカが、どうやって領地を立て直していくのか......


続きが気になる方は、ぜひこちらから覗いてみてください!


▶連載版はこちらから


https://kakuyomu.jp/works/822139843081263130


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