なんでも作る! シュタイン博士

Ron

第1話 お城を作ろう!

 「あー、博士だー!」

 「怪物さんもいるぞ!」

 公園から元気な声が飛んできて、博士と怪物はそちらを向いた。

 数人の子どもたちが元気に駆け寄ってくる。

 「こんにちは博士、怪物さん」

 「ああ、こんにちは。今日も元気だなみんな」

 スーパーのビニール袋を両手に下げた怪物を従え博士は笑う。

 「博士、砂場で遊ぼうよ。お城作ろう!」

 子どもたちは周りを囲み、博士の白衣を引っ張る。

 「ダメダメ、私は忙しいんだ。そもそも砂場遊びなんてこの私がするものか」

 指をチッチッチと振ってみせる。

 それを見て子どもたちは一斉に博士を指さした。

 「作れないからイヤなんでしょー!」

 やんややんやと囃し立てる子どもたち。

 すると博士の目が鋭くなり、ギラリと光る。

 「そこまで言うなら作ってやろうじゃないか。ただしこのシュタイン博士が作るんだ、完璧なものを作るぞ!」

 そうして白衣の腕をまくり砂場に突っ込む博士。

 怪物は両手にビニール袋を下げたまま「……ウゴ」とつぶやいた。

 お肉、冷蔵庫に入れなきゃ、と。


「どーだ! 完璧だろう! これが私の力だ!」

 しばらくの後博士が立ち上がり得意げに腕を組む。

 砂場には重力を無視したような城がそびえ立っており、細かな装飾すら再現された本物と寸分違わぬ城だった。

 本物と違うのは、大きさと砂でできていること、そして色がないことだけ。

 あまりのムダなリアルさに子どもたちもドン引きである。

 「ハッハッハ! あまりの素晴らしさに声も出ないようだな!」

 いつまでも得意げに笑う博士の後ろで、半袖短パンに着替えた怪物が、カラフルな子供用のスコップとバケツを持って佇んでいた。

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」

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