付き合った彼氏がキャラ変して可愛いんですけど

アジ

かわいい

「え〜!!あんたら、ついに付き合ったの?!」

 目の前の、恋バナ好きの私の友達、谷川真琴が叫ぶ。

「しー!!声がでかいぃ!!」

そう言うのは私、手塚さらさ。

「いや〜、ついにか〜。推しカプが一つ成就したなぁ。私も嬉しいよぉ、さら」

 私はつい最近、ずっと気になっていた男子、日野下翔に思い切って告白し、付き合うことになった。

「んで、あの隠キャはどうなの〜?そこからなんか進展あったのかって」

「隠キャって呼び方やめなよ。あいつだって、その、いいとこあるし。結構饒舌だよ?」

 言い方に少し腹が立って、つい言い換えした。

「さすが、彼女ですな〜。相手のことよーくわかってるねぇ」

「だから、そーゆーのやめてって。進展とか、特に何もないし」

 話し合い、とは言えないかもしれないが、相談した結果、今までみたいな距離感が一番楽という結論になった。だから、特に特別なことはない。

「ねーねー、なんの話してんの〜?」

「あ、紗倉ちゃん、おはよう」

「おは〜。さく〜、聞いてよ〜!!ついにさらかけ、付き合ったんだって!!」

 こうやって、噂は広まっていくんだな。やっぱり、真琴は情報収集するスピーカーだ。

「え〜!おめでとう!いいな〜、私もそーゆー恋愛興味ないわけじゃないんだけど、いかんせんこんな人間なんでね〜」

 十分可愛いし人気あると思うけどな。早川くんとか、どうなんだろ。

「そうだ、さく、碧人とはどうなの??」

「いや、それは…」

 チャイムが鳴り、今日の話はここでお開きとなった。


 次の日、登校すると噂は学年中に広まっていた。

(やっぱり、私のせいかな…)

 自分の机にリュックを置くと、名前を呼ばれた。廊下を見ると、そこにいたのは紛れもなく、翔だった。

「えっと、おはよう。今日は、早いね」

「ねえ、ちょっといい?」

少し焦ったように、でもぶっきらぼうに呼ばれた。

廊下に出ようとすると手を掴まれ、そのまま階段の影まで連れて行かれた。

(怒ってるのかな…)

「ねえ」

 気づいたら私は壁際に立たされていた。

「言った?」

 やっぱりこの話だ。

「…うん」

「なんで?」

「だって…」

 少し躊躇うが、正直に言うことにした。

「…付き合ってるのに付き合ってないって言うのはひどいかなって、思って…」

言い切ると、翔が大きくため息をついた。

「…ほんっとさ、可愛すぎるんだよ、そういうの」

「へ?」

思っていた返答じゃなかったから、つい間抜けな声がでた。

「だから、さらさは可愛すぎるの」

まともな返答も返せぬうちに、立て続けに言われる。

「本当に、なんでそれでモテないとか思ってるわけ?」

「さらさは、その辺の女子より全然可愛いし上の存在なんだよ」

そこで、少しの間が空いた。そして、今までもまあまあ近かった顔をさらに近づけてきた。

「言わないでおこうと思ってたけどさ…、ほんとは、他の男子とも話してほしくない。俺とだけ仲良くして欲しい。遊びに行ったりするのも俺だけがいい。昼休みも、毎日俺のとこ来て欲しい」

声のトーンが低い。なのに、裏返ったかのような不思議な感じがする。

直感的にわかった。束縛系だ。

でも、なんでだろう。顔赤くして、早口で喋って、自分だけを見て欲しいって言ってるあいつが、すごい、

《かわいい》

単語がすごく腑に落ちた。そうだ、私は翔を可愛いって思ったんだ。

そう思うと、目の前の翔のこの顔を、もっと見たくなった。

「そっか。じゃあ、」

少しためを作る。

「もっと束縛、頑張って」

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付き合った彼氏がキャラ変して可愛いんですけど アジ @Sashimi-Aji

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