法務省がブチ切れて、法律を判断設置できて、捜査権があって、検察の判断も出来て、公的に認められた裁判まで起こせ判決も出せる組織を作っちゃいました。その名も、法務省・独立広域即応部隊 『JUDGE』

きつねのなにか

第1話

 ――極めて発達した世界では、SFと魔導の見分けがつかない――

 ――著名。ラッキー・ロッキー・アンラッキー


 カランコロン――カウベルの鳴る高い音がする。

「お、お客さんかい……エイダか。どうした、お前一人か」


「やだなあストーマ店長、今回の報酬の一つがここのお肉だってこと、知らないわけではないんでしょ?」


「そりゃ通知が来てるさ。部隊一の腹ぺこ虫が食べに来るってのはな」


『法務省・独立広域即応部隊 JUDGE』所属・実働部隊・部隊長・エイダ。身体は総義体人間。


 それが私。


 ダイニングバー『イレオストミー』ででっかい肉の塊、神戸和牛10キログラム。それを食べに来たのだ。


「美味しかったーまたよろしくねハゲゴリラ」


「報酬のとき以外は来るんじゃねえ」


 ルンルン気分で外に出ると、横にいたバスケットボールに手足が付いたような存在である「カート」が通信を仕掛けてきた。

 私の補助をする、多目的ドローンである。

 宙に浮かぶバスケットボール。

 電脳戦では最強。


『なに、中では大人しかったくせに』


『ゴリラさんは有名な義体コーディネーターですからね、大人しくしておくのが正解でぇす』


『電気でも食べてれば良かったのに』


『それはそうなんですがー。ちょっと悪いかなぁと思いましてぇ。それで内容なんですが、宇都宮重LRTヘビー・ライト・レール・トランスポーターが東簗瀬で強盗団により乗っ取りを受けたとのことです。現在籠城中です』


『それはよろしくないなあ。んで、私に出動要請来てるわけね。車回しておいて』


『了解』


 時間になるまで屋台のラーメンを食す。


「食べ過ぎですよぉ」


「私の超魔導真空エネルギーコアは出力を出すだけでは無く、無駄な出力を抜いてゼロカロリーにする力があるのだよ」


 パァン! すればゼロカロリー。

 パパン! すればマイナスカロリー。

 スッパァン! すれば無限の出力。

 うーん最強。


 たまたまパトカーが目の前を通過し、「ここはおめーらの管轄じゃねえぞ!」とヤジを飛ばす。

 ただ、JUDGEの服装を目の前にしてそれ以上のことは出来ないようだ。まあ、そりゃあねえ……。


 JUDGEとは、法務省が持つ、最高実力行使部隊である。使用道具に制限はない。もちろん武器にもだ。


「こっそりべたべたガムを車の後ろにつけておきました」


「100点! 私の行動じゃ無いもんね」


 えへへ、100てん、ひゃくてん……と悦に浸っているカートをよそに、VISEあしが飛んでくる。


「私専用の飛空艇ちゃんラブラブチュッチュ」


「交通の邪魔になるから早く乗りましょう」


「先に乗ればー?」


「いじめですか。私はあそこまで高度をとれましぇーん」


 ひょいっと五メートルくらい飛び上がって着地。


 中は豪華なラウンジとなっており、お酒もジュースもおつまみもある。


「VISE、簡易メンテをお願い」


 ソファー兼検診台の上に横になって簡単な調整を施す。


「お嬢様お嬢様。わたくしもメンテを行いたいのですが」


「金がかかる」


「間違って宇都宮のシステム全てダウンさせても知りませんよっ!?!?」


 それは困るし、今の稼働状況じゃ確かにやっちまいそうな気もする。


「しゃあない、簡易メンテを許そう。そのおやつを食べなければな」


「ぎくぅ。たたたたべてません、たべてませんとも。やったー簡易メンテだーわーいわーい」


 ソファー兼検診台の横に、すぽっとはまるバスケットボール入れみたいな場所がある。そこにズボッと入った。


「はー極楽極楽。いい湯だなっと」


「カートにとってはお湯なんだね、おかしい、げらげら」


「お湯で身体を流せばメンテもバッチリなんですぅ」


「本当にバスケットボールみたい。空気は入ってますか?」


 軽口を叩きながら現場近くまで到着。


 私の光学目視で見る限り、高架線にLRTが縛られていて、その中にあった物資を強奪しているように見える。


「VISEのセンサーはどうなってる?」


「はい、あちらの範囲外です、アクティブは使っておりません、パッシブのみです」


「光学で狙撃は?」


「暗すぎます」


「暗視でも?」


「光学の方が追いつきません」


「あとで改良申請出しとくか。VISEを上空範囲外から飛ばして、降下作戦と参りましょう」


「わたくしのパラシュートは?」


「そんな物はない。私と同じく、宇宙一の硬度と靱性を持つ超硬魔導金属で出来ているんだから、壊れるこたぁないでしょ」


 いやだー中のセンサーがーなどと喚いているうちに降下ポイントまで到達。


「行くぞバスケットボール」

「ひーん」


 勢いがあるので角度をつけて降下。


「一人目、アクティブハック発動」


 敵の一人が燃える。シナプスを焼いたのだ。

 二人目は目を奪った。


 ここで限界まで降りたので、パラシュートを……開かない。

 そのままLRTの真横に突入……っぽい着地をする。


「JUDGEだ。いみはわかるな」


 ズボーっとはまったカートが多少姿を変えてすぽっと抜け出し、

『JUDGE認証』の蒼いサインを天上に光らせる。


「じゃ、ジャッジだ、逃げろぉ!」

「逃げても意味ねえ、殺るしかない」

 

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