星屑

水科若葉

星屑

 目覚めると、僕はそこにいた。

 無意識に上体を起こし、自分が横たわっていたことを遅れて自覚する。ぼんやりと霧がかった頭を揺らし、周囲の風景を流し見た。

 灰色の地面に、光が浮かぶ満天の夜空。

 そして、大きな大きな、蒼い星。

 ……ここは何処だろう。

 ようやく、思考がそこに辿り着く。風景に見覚えは無く、目覚める前の記憶も無い。けれど不思議と焦燥感は沸かず、僕はただ、依然として処理の遅い頭のまま、ぼんやりと風景を眺め続ける。

 それは多分、現実感が欠けていたからだと思う。瞳に映る風景はあまりに幻想的で、泡沫の夢を見ているような、ぷかぷかと羊水に浮かんでいるような、何をせずとも不思議に満ち足りた気分だった。

「あら、やっと起きたのね」

 だから多分、僕が本当の意味で産まれたのは、彼女に出会ったその瞬間で。

 刹那の輝きに目を惹かれ、僕の時間が動き出す。

 鈴のような声の先には一人の少女。長い黒髪を携えた彼女は、ぽかんとした僕の表情を認めると、夜空を覆ってしまうくらい華やかに微笑んだ。

「初めまして、見知らぬあなた。私はイヴ。どう呼んでくれても構わないけど、呼び捨てにされた方が気楽かな。これから、どうぞよろしくね?」

 それが僕とイヴの出会い。全てがあやふやな微睡みの世界で、けれど確かに感じた彼女の眩しさを、僕は決して忘れないだろう。

 例え、何億年経ったとしても。


『起』


 結論から言えば、僕たちはどうやら月面に居るようだった。

 と言っても、確たる証拠があるわけでは無い。そこかしこにクレーターがあって遠くに地球が見える以上、ここは月面なのだろう、という程度の推論だ。

「どうして呼吸しなくても平気なんだろう」

「そりゃあ、人間じゃないからでしょ」

 口をついて出た疑問に、僕の隣にぺたんと座り込んだ少女――イヴは、あっけらかんと回答する。

「そもそも空気が無いってことは、音波が伝わらないんだから、本来ならあらゆる音が遮断されているはずだもの。けれどこうして問題なく話せている以上、私たちは人間とは全く別のプロセスで活動している、と考えるのが自然じゃない?」

 話しながら、イヴは自身の左腕を右手で数度叩く。かなりの強さに見えるけれど、僕には一切の打撃音が届かない。試しに、同じように自分の左腕を叩いてみると、やっぱり音はせず、代わりにひどく固い感触が手のひらへと響いた。

 鉄でも殴ったみたいだ。

「或いはここは、月面を再現したシミュレート空間なのかもしれないわ。風景も五感も完全再現、現実の私たちは脳だけでぷかぷか培養されてる、みたいな」

 我ながら下らないわね、とイヴは小さくはにかむ。

 月面で僕の起床を待っていたという彼女。話によると、どうやらイヴは僕より体感で一週間ほど早く目を覚ましていたらしく、その間にあらかたの周辺把握を済ませていたようだ。

 高い身長と勝ち気な笑顔。服装は宇宙服をよりスタイリッシュにしたような白服で、よく見ると僕が今現在着用しているものとサイズ以外は全く同じだ。つまりは僕も彼女も、同様の存在に服を着せられ、この場所へ連れて来られたということになる。

 僕はイヴから視線を外し、背中側へと目を向ける。先ほどは彼女に気を取られて気付かなかったけれど、此処から数十メートルほど遠くには一つ、月面には不似合いな物体がそびえ立っていた。

 不似合いというか、ある意味でこの場所にはお似合いというか。

「僕たち、あのロケットに載せられてたんだよね?」

 その物体を指差す。長い筒にいくつかの羽が生えているそれはイメージそのままのロケットで、けれど、鎮座というには無視できない存在感があった。

 なにせ、そのロケットは月面に突き刺さっているのだ。ロケットの先端は深くまでめり込んでいて、まるでこの着陸方法こそが正常だと主張せんばかりだ。

「そ。目が覚めたらあなたと一緒にあのロケットに閉じ込められていたから、取り敢えずウィンドウこじ開けて脱出したのよ」

「そして、ここが月だと気付いた、と」

「そういうこと。加えて、少なくとも周辺にはあなた以外に誰も居ないことが判明したから、あなたをロケットから引っ張り出して、目を覚ますまで適当に時間を潰してたってわけ――ねえ、あなたってここに来るまでの自分の記憶、ある?」

 彼女の質問に、僕は首を横に振る。

 より正確には、記憶が在ることは分かっても、それが何であるかが分からない、と言うべきだろうか。

「幼少期のことを思い出す感覚に近いかな。断片的な景色が辛うじて出てくるだけで、そこに言葉と経験が結びつかない」

「あー、やっぱり」

 記憶については彼女も同様だったのだろう。イヴは残念そうに息を吐き、「ともあれ、これで大体の説明は出来たかしらね」と立ち上がる。

「何故月面に居るのかも、誰がそう仕向けたのかも分からないけれど、どうやら私たちは、二人きりで月面を生きないといけないらしい。つまり、私とあなたは月のアダムとイヴってわけ」

「……ああ、それでイヴなんだ」

 僕より一週間早く起きていただけあって、彼女は既にこの状況に適応する覚悟を決めていたようだ。地球を見つめる凛とした表情からは、これから先の不安よりもむしろ、徹底的に楽しんでやろう、という強い意志が感じられる。それは僕にとって、とても好ましい姿勢だった。

「じゃあ、僕もアダムって名乗った方が良いのかな」

「別に強制はしないけど?」

「ん……いや、折角だし」

 名前が思い出せない以上、どうしたって代わりの呼び名は必要だ。であれば、彼女の考えに乗じよう。

 意思には敬意を。彼女がイヴを名乗るなら、僕はそれに応えたい。

「色々と説明ありがとう、イヴ」立ち上がり、彼女へ右手を差し出す。「僕は今日からアダムだ。これから、どうぞよろしく」

 僕の行動に、イヴは少しだけ驚いたように目を丸くし、それから笑って右手を伸ばした。

「ええ。改めて、よろしく」

 宇宙を背景に、僕たちは緩く手を握り合った。


 そうして半ば唐突に始まった月面生活は、けれどさしたる問題も無く、緩やかに進行していった。肉を介さないこの身体は食料を必要とせず、また暑さも寒さも感じることが無いようで、直近の課題と言えば一日の切れ目が分かりにくい、という程度だ。より根源的な悩み――即ち、いつこの生活が終わるのかとか、どうやったら地球へ帰れるのかとか、そういったものさえ無視すれば、外敵の無い平穏な日常を送れていると言えた。

 とは言え、思考すべきことは山ほどある。考えても仕方のないあれこれは置いておくにしても、流石に非人間的に過ぎる自身の身体は気にかかる。朧げながらもかつての記憶が残っている以上、少なくとも十数年程度は僕にも生身だった時期があるはずだ。仮にこの身体が人工体で、僕は脳だけ移植された存在だとしても、二十一世紀にここまでの科学技術は発展していない。やっぱりイヴの言う通り、人間とはまったく別種の存在なのだろうか……とかなんとか。

 それと、突き刺さったロケットの存在だ。あれから軽く内部を探索してみたけれど、よく分からない部品と機材が大量に保管されていること以外は、僕の知識では異常を見つけることは出来なかった。突き刺さっていることを除いてしまえば、ニュースでよく見る、ひどく一般的なロケットそのものに見える。

 強いて言うなら、装甲部に大きな落書きがあることが気にかかる程度だろうか。

 『mile high!』

 単純な英語で、そう一言。訳としては『一マイルを超えろ』とか、その辺りになるだろうか。僕にはよく意味が分からず、イヴは端的に「ロケットの割に、やたらと目標が低いのね」と感想を述べていた。

 答えの出そうも無い疑問を思考し、満天の夜空を眺め、イヴと言葉を交わす毎日。いつかは飽いてしまうのかもしれないけれど、ひとまず現状は、それなりに幸せだった。

「今更だけど、月からだと地球って常に見えるのね」

 二人してロケットにもたれかかり、ぼうっと地球を眺めながら、イヴはそんな言葉を漏らす。僕はそれに「月は自転しながら公転しているからね」と、おもむろに浮かび上がった知識から回答した。

「へえ、知らなかった。まあ、当たり前と言えば当たり前か……ん、もしかしてだけど、月の模様がウサギに見えることって、それが理由?」

「……あ、確かに」

 言われて気付く。いつも同じ模様が見えるのは、常に同じ面を地球へ向けているからなのか。

 ぬるま湯の日々に、小さな発見が一つ。イヴはくすりと笑って、「こんな日々も悪くないね」と呟いた。

「私たちを月面に送り込んだ誰かは、今も私たちを監視しているのかしら。例えばあの地球から、モニター越しにほくそ笑んでいたりして」

イヴは足元の小石を拾い、そして地球目掛けて投げ飛ばす。ふわりと放物線を描いて飛びあがった小石は、けれど地平線へ至ることは無く、やがて静かに落下した。

 例え地球に比べて小さくとも、僕たちは重力に縫い付けられている。閉じた世界で、意味も分からず存在することを強要されている。

 きっと、それは決して不幸なことではないのだ。

 少なくとも、今の僕にはそう思えた。


『承』


「考えるにさ、やっぱり現代は二十一世紀から果てしなく遠い未来なんじゃないかな」

 月での生活を始めてからはや十年。僕は上機嫌に隣を歩くイヴへ、暇潰しがてら話しかける。

「第一に僕たちの存在。ヒト型である以上は人間に連なる存在と考えられるけど、だからって当時の技術力じゃ、呼吸も食事も不要なんて存在は生み出せない」

「ふむ。二十一世紀の技術力では不可能ってことは、逆説的に未来の技術による身体ってわけね。SFに現実が追い付いた結果の産物である、と」

 イヴの丁寧な相槌に頷き、「第二に、太陽の存在だ」と、僕はかんかんと照り付ける恒星を指差す。

 月の自転周期はおよそ二十八日。つまり、月面においての昼夜は十四日おきに切り替わることが正常となる。地球の模様と体感時間を用いた概算にはなるけれど、現状、周期そのものは問題なく訪れているように思える。ただ、そうして太陽を観測するうち、僕はある違和感に思い至った。

「薄ぼんやりとはしているけれど……記憶と比べて、どうも太陽が大きすぎる気がするんだ。仮に太陽が膨張しているのだとすれば、当時から数十億年が経過していることの証拠になる」

「あ、五十億年後に地球は太陽に飲み込まれる、ってやつね! 確かに数十億年も経過しているなら、私たちみたいな存在を生み出せてもおかしくないかもっ」

 なるほどー、と楽しそうに耳を傾けてくれるイヴに気を良くし、僕は早口になってしまいそうな自分を抑えながら、話題を考察の肝へと突入させた。

「さて、この二つを併せて考えると、ある一つの仮説が浮かび上がってくる。題して、『人類は地球を捨てて太陽系を脱出した説』、だ」

 これまで長らく温めた仮説を、僕は力強く言う。

「五十億年と言わず、二十億年も経過すれば、地球は太陽の熱で灼熱の大地になっているはず。そうした暑さと、ついでに資源不足を解決するために産まれたのが、この熱を感じず、食料も必要としない身体なんじゃないかな。そして人類は、太陽に飲み込まれる前にロケットで太陽系の脱出を図り、その中で誤って月に突き刺さってしまったのが、きっと僕たちなんだよ」

 ばばーん、と。

 そこまで語り終えた僕は、会心の表情でイヴを見る。イヴはうんうん、と非常に感心したように腕を組み、そして言った。

「つまり現代は、二十一世紀より二十億年後から五十億年後のいずれかの時間ってわけね。たった三十億年の誤差まで絞り込んだなんて、流石としか言わざるを得ないわっ」

「……あう」

「それに、あんな二十一世紀丸出しのロケットで太陽系を脱出しようとしていた、というのも驚きよ。永久機関ボディを発明した割に、ロケットの開発技術は一行に進展しなかったってことかしらねっ」

「…………」

 ひどく楽しそうなその声に、僕はがっくりと肩を落とした。

 あまりにも真っ当が過ぎる指摘。それらを見落としていたこと、更には気付いていながらも弄ばれていた先ほどまでの演説に、顔から火を吹かしてしまう。

「あっはは。まあ、いい線いってたとは思うわ」ぺしぺしと僕の背中を叩く。「けどね、それだけ未来だったとしたら、そもそも私たちが二十一世紀の記憶を持っていること自体がおかしくなるのよ」

「……あ」

 言われて、気付く。ばっと顔を上げた僕を見て、イヴは再び軽快に笑った。

「そう。未来の記憶を持たない以上、私たちは二十一世紀の人間ということになる。数十億年後の未来だと主張したいなら、まずはこの前提を覆さないとね」

「……もしかしてイヴって、凄く賢い?」

「まさか。私はアダムの考察に便乗しただけ。限られた情報からあれだけの仮説を組み立てたんだから、あなたはもっと誇っていいと思うな」

 慰めの言葉に息を吐き、僕は自身の不甲斐なさやら相棒の頼もしさやらを真空へと放出する。

 会心の仮説だったんだけどな……

「――と。今日はこんな所かしらね」

 おもむろにイヴは足を止め、きょろきょろと周囲を見渡す。それから近場のクレーターを見つけて、「あそこで休みましょう」と走っていった。

 その元気な背中を、僕は呆れながらのんびり追いかける。追いついた頃には、イヴは斜面に背を預け、すっかりと寝入る姿勢に入っていた。

 彼女に倣って、イヴの隣へごろんと横たわった。レゴリスで構成された固い地面は、けれど柔らかな眠気を僕へと届けてくれる。僕は心地の良いその感覚へ身を任せ、ぼうっと空を眺める。

「今日も沢山歩いたわね」

「そうだね。歩いても疲れないって、改めて便利だ」

「けど、眠りたいとは思うんだから不思議だわ。必要不必要に関わらず、睡眠は快楽なのかも」

 太陽だけが輝く、黒い空。青空でない昼というのは不思議と幻想的で、そんな空の下で眠るのは、ちょっとだけ背徳的だ。

「……ねえ、アダム。おやすみのキスは?」

「んー、今日はお預け」

「ええー。拗ねないでよ、もう」

 不満そうな声を漏らしたイヴは、けれどくすくすと笑い、「おやすみなさい、アダム」と、春風のように優しい声で呟いた。

「うん、おやすみ」

 言葉を返し、眼を閉じる。光り輝く太陽は意識という暗闇に飲み込まれ、僕の心は深くへ沈んでいく。

 心。

 僕たちにもまだ、残っているだろうか。

 眠りにつく直前、僕はそんなことを考えた。


 翌朝。目を覚ました僕たちは、軽い準備運動の後に再び月面を歩き始めた。

 特段向かう先があるわけでも無い。折角だから月を一周してみようと思い立ったから始めただけの、言わば気まぐれだ。突き刺さったロケットのような他の人工物を見つけられたら、という思いも無いでは無いけれど、実際のところ、あまり期待はしていない。

 一周およそ一万キロメートル。決して短くない距離とは言え、地球の四分の一と考えれば、果てしないというほどでもない。それに、僕たちにとって『ただ時間が掛かるだけ』のことは、非常に楽な行為に分類されるのだ。

 この十年間は、ひどくあっという間に過ぎ去った。振り返るまでも無く、当たり前にそう思う。

 時間は相対的に過ぎると言うから、もしかしたら僕たちは、寿命がとても長いのではないかと考える。この十年間容姿に一切の変化が見られないことは、その仮説を裏付けているように思えた。

 永久機関と、イヴは僕たちを評した。

 或いは、本当に永遠なのかもしれない。

「一つ、聞いてもいいかしら」

 不意に、イヴに話しかけられる。

「アダムはさ、ロケットに一緒に乗っていたのが私で良かったと、思ってくれてる?」

 それはいつもと同じ軽い口調で、けれど、どうしようもなく切実な内容だった。

どうして私たちだったのかとか、何故こんな場所に取り残されているのかとか、そういった問題を全てすっ飛ばした、より根本的で重苦しい問いかけ。

 既に十年は経過した。もしかしたら僕たちは、これから更に百年、千年と付き合っていかなければならないのかもしれない。否が応でもその事実が変わらないのなら、例え自らへの、そして相手への欺瞞であっても、お互いを好いていた方がずっと良い。

合理的に考えてしまえば、答えは一つしかない。きっとイヴは、それを理解した上で、僕へ問うている。

「もちろん、イヴで良かったと思ってるよ」

 だから僕は、本心から回答する。優しく笑いかけ、少しでも偽らざる思いであることを分かってもらえるよう、努力しながら。

「……そっか。良かったわ、うん。ありがとう」

 僕の答えに、イヴは不器用そうに笑顔を返す。そんな彼女の手をそっと握って、僕たちは歩みを続ける。

 きっと、僕たちは仕組まれて仲良くなっている。閉じた世界に二人きりで、親しくならなければ心の寒さで凍えてしまうような状況を演出されて、脚本に踊らされるように、惹かれ合っている。

 それでも構わない。どんな理由であれ、彼女と出会えたことは、僕にとっては幸運だ。仮にこの気持ちが自ら湧き出たものでは無かったとしても、僕は、その奇跡を大切にしたかった。

「今日はどこまで行こうか」

「そうね。とりあえず、地平線の彼方まで」

 僕たちは、笑い合った。


 それから更に数十日歩き、僕たちはロケットのある場所へと帰還した。

一周にかかった時間は丁度一年程度だろうか。僕たちは程よい達成感を感じながら、その日はロケットの傍らで身を寄せ合うように眠りについた。

結局、月面探索の成果は無かった。一旦ロケットを離れてしまえば、そこは見渡す限りの灰色で、人工物はおろか、かつて突き立てられたという星条旗すら見つけることは出来なかった。

 不自然なほどに新品同様の月。僕たちを生み出せるほどの技術力があるなら月面都市の一つくらい、作っていてもおかしくないと思うのだけれど。

 立つ鳥跡を濁さずという言葉が脳裏に浮かび、けれどすぐに、まあいいやと思考ごと押し流された。

 どれだけ悩んだって答えは出ない。だったら今は、イヴとの時間を噛み締めよう。あれこれ考えるのは、どうしようもなくなってからでも構わないんだ。

 そうやって僕は、後悔を後回しにした。


『転』


 イヴから妊娠したかもしれない、という旨の報告を聞いたのは、僕たちが出会ってから千年が経過し、日付を数えないようになって更に遥かな年月が経過した後のことだった。

 初めはこの身体で妊娠が可能なのか半信半疑だった僕も、少しずつ彼女のお腹が膨れるにつれ、彼女の言を信じると同時に、強い不安が芽生え始めた。

「どうしよう。僕、出産の知識とか一切ないよ……」

 我ながら最悪に情けない台詞を吐く僕を、けれどイヴは「ま、なんとかなるわよ」と快活に笑い飛ばす。

「永久機関両親の子供なのよ? 多少無茶な出産でもどうってこと無いってば。それより名前考えましょうよ、名前っ」

 幸せそうにイヴは言う。既に妊娠の自覚症状が出てから半年が経過しているものの、身体的にも精神的にも、彼女に不調は出ていないようだった。永久機関両親なんてイヴは冗談めかして言っていたけれど、もしかしたら本当に、出産に問題は無いのかもしれない。

 だからと言って、万全を期さないわけにもいかない。僕はロケットの内部を漁り、備品のタオルやらシーツやら、少しでも役立ちそうなあらゆるものを引っ張り出して彼女の周囲へ集め、そんな僕を見て、彼女はまたくすくすと笑った。

「旧約聖書だと、アダムとイヴの子供はカインにアベル、そしてセトだったかしら。どれも可愛いけど、全部男の子の名前なのよね。名前の性なんて時代錯誤かもしれないけど、本人のコンプレックスになってしまったら可哀想だわ」

 落ち着きのない僕をよそに、イヴは子供の名前を考え込む。そんな彼女の姿を見ていると、僕もなんだか緊張が抜けてしまって、ゆっくりと息を吐いた。

「イヴ。ちょっと、抱きかかえてもいいかな」

 ロケットを背に座り込み、控えめに聞いてみる。僕の遠慮を感じ取ったのか、イヴは呆れたようにやれやれと首を振った。

「私とあなたの仲でしょ? やりたいことは遠慮せず、もっと堂々と言えばいいのよ」

 そんな台詞を口にしながら、イヴはするりと、僕の膝と膝の間へ入り込んでくれる。僕の胸へ背中を預けたイヴは、蒼く眩い地球を眺めながら、上機嫌に鼻歌を歌い始めた。

 そっと、腕をイヴへ回す。暑さも寒さも感じない身体に、けれど感じる確かな温もり。彼女がそばにいてくれるだけで、僕はこんなにも安らげる。

「僕たち、ちゃんと子供、育てられるかな」

「大丈夫よ。だって私たち、アダムとイヴだもの。どれだけ苦難があっても、きっと命を繋げるはず」

「生まれた子供は、後悔しないかな。こんな世界に生まれるんじゃなかったって」

「ふふ、後悔は生者の特権よ。例えそれからの人生でどれだけ後悔しようとも、子供は、私たちは、産まれたいから産まれてくるのよ」

「そっか……それなら、安心だ」

 決して負の可能性を否定せず、その上で理想を信じる彼女。そんな生き様が、僕はとても愛おしかった。

 初めて出会った頃から変わらない綺麗な黒髪と、しなやかな肢体。試しに真っ白な首筋へ鼻を擦り付けてみると、イヴは僅かに身をよじらせた。

 嫌がっているのか、それともただの条件反射か。

 分からない。千年以上経過して尚、僕は彼女のことを完全には理解できていない。こうして身体を寄せ合う度に、その奥底へ眠る心には決して手が届かないことを再認識してしまう。

 触れ合いたい、溶け合いたい。自分へ向けてくれる感情を、手に取って確認したい。それが決して叶わない幻想と知っているからこそ、僕たちは分かり合おうとするのだと思う。

 調子に乗って、髪を優しく梳いてみる。今度は身をよじらせることは無く、代わりにイヴはいつものように、とても柔らかく笑う。

「ねえ、それって楽しい?」

「楽しいよ。すごく楽しい」

「あらそう。愛されているのね、私」

 そうして僕たちは地球を眺める。

 今日は蒼色が、いつにも増して綺麗だった。


 時間が経過するにつれ、イヴはあまり動かず、ロケットの傍らに留まるようになった。

 本人が言うには「あくまで万が一のため」で、体調は妊娠前と変わりないそうだが、日に日に大きくなっていくお腹を見ていると、安静にしてくれていた方が僕としても安心出来る。

 名前は結局、産まれてから決めることにした。一応いくつかの案は出ているのだけれど、僕も彼女も優柔不断が故に、一つに絞り込めなかったのだ。

 一日が過ぎ、一週間が過ぎ、一ヶ月が過ぎる。あれだけあっという間に過ぎ去っていた時間は、不思議とどんどんゆっくりになっていった。

 楽しい時間が早く過ぎるというのは、きっと半分間違いだ。だって僕は今、かつてなく毎日が楽しい。

 十ヶ月目。医者に掛かっていないために正確な出産予定日は分からないけれど、一般的には、そろそろ産まれる頃合いだ。

「結局、陣痛も破水も無かったわね」

 すっかりと大きくなったお腹を優しく撫でながら、イヴは安心したような、少しだけ残念そうな口調で言う。そんな彼女に、僕は「いい事だよ、きっと」と笑顔で言う。

「未来の出産方法では、多分痛みの無い方法が編み出されたんだ。痛みが無ければ愛が無いなんてことも無いし、これなら当日も安心だ」

「あら。懐かしいわね、その未来説」

 彼女の言葉に、そう言えば、と思い出す。最初の頃は月の秘密を解き明かすんだ、と躍起になっていた考察も、ここ暫くは疎かにしていた。

 まあ、暇潰しにしていたことだ。特別拘る必要のない行為だし、これから子供が産まれれば忙しくなり、余計なことにうつつを抜かす暇なんて無くなってしまうだろう。

 ふああ、とイヴは欠伸を漏らす。僕は彼女と軽く唇を触れ合わせ、それから二人で眠りについた。


 そうして訪れた出産当日。少しでも柔らかくしようと敷き詰めたタオルの上に寝そべる彼女を、僕はどきどきしながら見守っていた。

「手、握ってた方がいい?」

「んー、大丈夫。あなたは何があっても対応できるようにしていて。信頼してるよ、アダム」

「……分かった」

 彼女の言では変わらず陣痛は無く、『あ、そろそろ産まれるな』という感覚だけがある状態らしい。普通の出産と異なる以上、ただでさえ知識の無い僕には何が出来るのか、何をすべきなのか分からない。

 ただ、信頼には、応えないと。

 そうして緊張の時間が過ぎていく。口の中が乾く感覚を、僕は久々に味わった。

 唐突にイヴが呻き声を上げる。僕は彼女に何かしてやりたい気持ちを抑え、両手にタオルを持って彼女を見守り続ける。呻き声は段々と大きくなり、お腹は激しく隆起して、そして――

「……あ」

 呆気なく、その子は産まれた。

 その子?

 違う。あれは、ただの。

「……なんて、可愛い」

 僕がタオルで包むより早く、イヴはそれを持ち上げ、ぎゅっと抱きしめる。

 子供でもなんでもない、ボーリング玉程度の大きさの、真っ黒な塊。マグネットで集められた鉄クズのような汚らしいそれを、けれどイヴは最愛の子のように、愛おしく見つめていた。

 ――ああ、僕が愚かだった。

 がらくた同士が子を成すとは、こういうことか。

「ちょっと、ごめんね」

 僕はイヴから『子供』を取り上げ、タオルでしっかり包んでやる。それからイヴに優しく返して、彼女の頭をそっと撫でる。

「アダム。私、ちゃんと産めたわ」

「うん。よく頑張ったね、イヴ」

 彼女は『子供』を見て、けれど現実を見ていない。

 ずっとずっと、何も無い世界で生きてきたんだ。気が付かなかっただけで、僕も彼女も、いつの間にかおかしくなっていた。僕はふとした隙に現実に帰ってしまい、彼女は未だ、夢を見ている。

 だったら僕は、彼女と共に夢を見続けよう。

 寝ても覚めても冷めきってでも、壊れ切った空想の世界を護り続けると、僕は星空へ静かに誓う。

「ねえ、アダム。私、今、とっても幸せなんだよ」

「僕もだよ、イヴ。これからも、ずっと一緒だ」

 そうして夜は沈み、太陽が昇っていく。

 罪人の僕たちは、陽の光に晒し上げられていた。


『結』


 仮に、神さまがこの世に居るとして。

 世界の創造主が存在するとして、きっとその人は、僕たちにあまり興味が無いのだろうと思う。

 完成したプラモデルのようなものだ。組み上げている最中は熱中し、細部に意匠を凝らそうとも、出来上がってしまえば、それはただの置物になる。棚に飾られていればそれで満足で、たまに眺めることはあっても、わざわざ作り直そうとはしない。出来栄えに満足がいっているなら、それは尚のこと。

 選択に意味は無く、解答に価値は無い。僕たちが何かを想い、悩み、足掻こうとも、世界にとってはどうでもいいことなのだろう。

「まあ、そんなの誰だって同じか」

 下らない思考に肩を竦め、僕は立ち上がる。

 そろそろ、二人が起きる時間だ。


 子供は結局、アルビナと名付けられた。

 由来は分からない。イヴが不思議と自然に思い浮かび、僕もしっくり来たために決定した。真っ黒な塊が色素障害の由来を名付けられるというのは、なんだか少し皮肉めいている。

 どれだけ愛情を注ごうと、アルビナが動くことは無い。けれどイヴは辛抱強くその塊をあやし続け、成長するその日を心待ちにした。

 大人しい子ね、と彼女は言う。

 そうだね、と僕は返す。

 抱っこしてもいいのよ、と差し出される。

 折角なら、と我が子を抱き上げる。

 温もりは感じない。けれどそこには確かな質量があって、僕は頭であろう辺りを撫でてみる。ごつごつとした手触り。簡単に手折れてしまいそうなほどに華奢なそれに、優しく、ゆっくりと触れていく。

アルビナは少しだけ笑った、ような気がした。


イヴの体力が、少しずつ低下していた。

恐らく、僕たちの身体は厳密には永久機関では無いのだと思う。日光か紫外線か、とにかく月面にありふれているものをエネルギーに変換し続けることで、生き永らえているのだと予測できる。

そのため、多少の欠損ならば問題は無い。数十年ほど前に転んで膝を大きく擦りむいてしまった際にも、ほんの数年で怪我は完治した。けれど流石に出産ともなれば――およそ三キログラムもの内臓を外に放出してしまっては、修復よりも損傷が勝るのだろう。

本来、僕たちに生殖機能なんて存在しなかった。それを捻じ曲げたのは僕の愚かさと彼女の思い込みで、要するにイヴは今、手の込んだ自殺をしているようなものだった。

そして僕はれっきとした自殺教唆者。不幸は、いつだって自業自得だ。

それでも、イヴは子供を愛し続けた。既に永遠ではなくなった、けれど果てしない時間の中で、百年、二百年と、一向に大きくならないアルビナへ教育を施すことを諦めなかった。

僕たちと違い、アルビナに自己修復能力は無い。故に、時間の経過につれ、アルビナは大きくなるどころか、段々と欠けて小さくなっていった。

いくら夢を見ていると言っても、限度はある。流石に一円玉よりも小さくなってしまえば、イヴですら我が子を我が子とは認識できなくなってしまった。

「アルビナが死んでしまったわ」

 ひどく病んだ瞳で、イヴは僕にそう告げる。

「ねえ、アダム。私はこの子を、ちゃんと幸せにしてあげられたのかしら。アルビナは一言も話してはくれなかったけど……心の中では、幸せを感じてくれていたのかな」

 失意に満ちたその台詞に、僕が返せる言葉は無い。僕はただイヴを抱きしめて、「アルビナを埋めてあげよう」と囁く。イヴはそれ以上何も言わず、ただ静かに、涙を流し続けた。

 気付けば、いつの間にか僕も泣いていて。

 僕は、自分が我が子を愛していたと、今になって思い知らされた。


 ロケット際のレゴリスを掘り起こし、僕たちは出来上がった小さな穴へ、アルビナをそっと置く。それから少しだけ山になるように埋め立ててあげることで、我が子の墓は完成した。墓石は用意できなかったけれど、このそびえ立つロケットこそが、アルビナの存在を主張し続けてくれるだろう。

 墓の前に二人で立ち、瞳を閉じて手を合わせる。僕が三人での記憶に思いを馳せていると、唐突に、僕の隣でどさりという音が聞こえた。

 イヴが倒れた。

 この生活も、そろそろ終幕だ。


 ずっと無理をしていたのだろう。あれだけ不変だったイヴの身体は棒のように細くなり、彼女はもう、一歩も動くことが出来なくなっていた。

 イヴの身体をそっと地面に横たえ、僕たちは最後の数日間を、ただ会話をして過ごした。

 数百年ぶりの、二人きりの時間。それはひどく懐かしく、それでいて、どこか寂しいものだった。

「今更ながらに考えたんだけどね」

 相も変わらず輝き続ける夜空を眺めながら、イヴはぼんやりと語る。

「もしかしたらアルビナは、初めから生きていなかったんじゃないかって、そう思うの。あれだけ可愛らしくて、あんなに笑顔を振りまいてくれていたけど、それも全部、私の妄想だったんじゃないかって」

 イヴの表情は安らかだ。きっと、死を悟ったことで夢から覚めてしまったのだろう。僕は真実を言うか少しだけ迷い、結局、鳴かぬ蛍に身を焦がされた。

 そんな僕を見て、イヴは「やっぱり」と笑う。乾いたその声には自嘲と諦念と、そして不思議と幸せが混じっているように聞こえた。

「あーあ、私の人生って何だったんだろう。何も成せず何も残せず、したことと言えば、パートナーをおままごとに付き合わせただけ。こんな人生なら、産まれて来なければ良かったかもしれないわ」

 とても満足げに、彼女は空へ呟く。

 後悔は生者の特権だと、かつてイヴは言った。

 その意味が、ようやく理解出来たような気がした。

「例えアルビナが幻想でもさ、僕たちが愛していたことは本当だったんだよ。だから、僕たちの人生はこれで良いんだ」

 素面で言うにはあまりにも恥ずかしいその台詞を、けれど僕は素知らぬ顔で言ってみる。案の定イヴはくすくすと僕を見て笑い、それから長く、息を吐いた。

 もう、話せる時間は永くない。

 僕たちを作った誰かは、今もこの光景を眺めているのだろうか。ずっとずっと遠い場所から、娯楽として消費しているのだろか。そんなことが可能だとすれば、それは僕たちのようながらくたではなく、本当の意味で人を超越した――

「ねえ、アダム」

 空を見上げながら、イヴは言う。

「私を、殺してくれない?」

「……イヴ」

「私はもう、それしか、してあげられないから」

 彼女は、僕に命をくれると言う。

 愛が心を許し合うこととするならば、命の譲渡とは、究極の愛情に他ならない。僕はこの手でイヴを殺すことで自らの愛情を証明し、彼女はそれを受け入れることで、愛に応える。心と心で、溶け合える。

 それは、僕の求めて止まなかった行為だ。イヴが亡くなった後も、彼女の愛が心に住み続けている限り、僕は生きてゆけるだろう。

 ――けど。

「遠慮しとくよ。柄じゃないんだ、そういうの」

 言葉にせずとも伝わることがある。

 言葉にして尚、伝わらないことがある。

 それが真っ当な人間関係というものだ。であれば、僕たちに証明は必要ない。互いが互いを好いていると祈る心さえあれば、きっとそれで十分だ。

 僕の回答に、イヴは思わずといった風に吹き出し、それから笑いを堪えるように口元へ手を当てた。

「ふふふ……うん。アダムがそう言うなら、それでいいや。これだから、あなたとの会話はやめられない」

 笑って笑って、それからイヴは咳き込んだ。咳はすぐには止まらず、イヴはまるで短距離走を走った後のように激しく呼吸する。

「アダム。私、眠いわ。もっと、話していたいのに」

 胸を大きく上下させ、イヴは苦しそうに言う。

 僕も彼女も、これが最後の夜だと分かっていた。この時間を逃してしまえば、きっと後悔することになるとも。

 けれど僕は、明日を夢見る気持ちを失いたくは無かった。終幕を自分たちで定めるのではなく、最後まで自らの足で歩き、辿り着いたその場所こそをゴールだと言いたかった。

「今日はもう眠ろう。話したいことは、明日また話せばいい。大丈夫、時間はいくらでもあるんだから」

「そっか……それなら、安心ね」

 いつかの言葉を繰り返し、ゆっくりと目を閉じる。

「おやすみなさい、アダム。また、明日」

「うん、おやすみ。また明日」

 キスを一つ、イヴへと落とす。イヴはやがて、すうと音を立てて眠りについた。

 とても安らかな、寝顔だった。


 女性一人分の穴を掘るのは、流石に骨の折れる作業だった。けれど急ぐ理由も無し、僕は一週間ほどかけてのんびりとイヴの墓を作り、そこに彼女を埋めた。

 場所はアルビナの隣。我が子と並ぶ二つ目の膨らみを作り終えた僕は、やることも無くなったので自殺しようと思った。

 方法は何でもいい。とにかく再生不可能な段階まで自身を損傷できれば、それで命を絶てる。

 適当な小石を拾い、僕はロケットに背を預ける。そのまま小石でがんがんと自身の頭を打ち付けようとして――不意に、蒼い星が目に入った。

 ずっとそこにあった地球。彼女と出会うよりも早く見た、原初の景色。

 そう言えば、どうしてイヴは僕をロケットから運び出したんだろう。今更になってそんなことを考え、直ぐに、なんてことの無い結論に辿り着く。

 彼女は僕に、この景色を見せたかったのだ。

 満天の星空と蒼い惑星。きっと彼女はあまりの美しさに感動し、それを僕に共有しようとしたのだろう。

 目覚めて最初にこの光景を見たら驚くぞ、なんていたずらっぽい笑みを浮かべる彼女を想像して、僕はつい笑ってしまう。

 なんて些細な気遣いだろう。僕はこの夜空よりも、彼女にこそ見惚れていたというのに。

 ……ふと。

僕は、あそこへ行きたいと思った。

もし僕たちの製造者、世界を創った神さまが地球に居るのなら、会ってその真意を問い詰めたい、と。

 すぐに無理だと諦めかけ、そうでもないか、と思い直す。幸い時間は無限にあるし、ロケットだって、ここにあるんだ。何万年か掛ければ、ロケットを再び飛び立てるまでに修復できる可能性は十分にある。

 どうせ暇なんだ。だったらとことんまで夢を追ってやろうと、僕は立ち上がる。

かつて、空へ手を伸ばした誰かが居た。その人は誰へ求められるでも無く、彼方へ至る手段を模索し、そんな無謀の果てに僕たちは居る。

だったら僕にだって出来るはずだ。そう信じて、僕は空を睨みつける。恨みでも憎しみでも無く、ただ覚悟のために。

 最初に地球へ。地球に誰も居なければ、更に遠くの惑星へ。どれほど時間が掛かったって構わない。何年、何万年、何億年経ってでも、僕は神さまの居る場所へ辿り着いてみせる。

 瞼を閉じれば、眩しさは未だそこに。

 ――さあ、今日からまた忙しくなる。

 まずは一マイルから、目指してみよう。

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星屑 水科若葉 @mizushina

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