第2話 ちょっとピンク色な冗談話~「届いた、魔法石」

名前:ひろまさ

職業:剣術士、兼、魔法使い

スキル:「癒しのひとこと」(仲間のMPを上限値まで半分回復させる)

    「審美眼」(商人が扱う武具の本当の価値を知り、その度に経験値を上げる)

必殺技:「正眼流諸刃崩せいがんりゅうもろはくずし」(敵を問答無用で一撃のもとに葬る。ボスキャラを含む)

所持品:スケヴェイ・ソード(攻撃力794。攻撃力に比例する)

    ハレンチワンド(消費MP7、魔法を使うために必須)

    ウォーリーストーン(消費MP2、「癒しのひとこと」の効果を五倍にする


 つい先日、ひろまさは、パームストーンなるものを入手した。

「推し」の石であるタイガーアイ。ちなみに彼は、「タイガーアイは金運を引き寄せる」という「事実」を論理的に実証した、世界でも数少ない魔法使いの一人である。

ではなぜひろまさはパームストーンを手に入れることになったのか。


実用的な点から述べると、まず、ひろまさの使うスキル・「癒しのひとこと」にこのアイテムを付与して施術すると、魔法の効果がなんと五倍にも達するのだ。また、寝袋の下や、宿屋の枕の下にして寝ると、ポーションが虚空から出現するという摩訶不思議な効能をも有する。


 さて、ひろまさが入手したストーンについて述べよう。


そもそもこのアイテムを贈ってくれたのは、ひろまさのフィアンセである、パトリシアという女性だった。パトリシアは彼女の家族との小旅行に出かけて行く前に。


「ひろまさ、ね、これね、タイガーアイなの。お誕生日まで開けちゃだめだよ?」


悪戯っぽく笑みをこぼし、ひろまさに暫しの別れのキスをして行ってしまわれた。

そして今、一方の恋人はといえば、最近疲弊っぷりが半端ないパーティと、ウザ=イ洞窟にてダンジョンクローリングの最中である。勿論、露店や休憩地点などあろうはずもないし、瞬時に場所を移動できる魔術「ポータル」は、流石のひろまさといえどもいまだに習得できていない。


まさに疲労困憊そのもの、岩石という岩石の洞窟内で、かろうじて隠れられそうな場所で休憩していたひろまさ一行。ひろまさは、ふぅ、と大きなため息をつくとともに、そういや今日は俺の誕生日だったなと思い出す。


「誕生日の、こんな過ごし方もあるかぁ」


言いつつ、リュックサックからプレゼントされた包み紙を取り出した。


「パトリシア、開けるよ」


☆ ☆ ☆


「⁉」


 全体の色は淡い茶色。ところどころ、縞々の濃い目の茶色~黒色の線が、なめらかに曲線を蛇行しながら描いている。いわゆるタイガーアイそのものといった、模範的な色調だ――やや全体の表情が明るすぎるというきらいはあるものの――。そして、これを握っていると――パトリシアは「握って、私を想ってね」と言っていた――、それだけで、なにか言いようのない力が、そう、魔力が漲って来るのがわかる。そして、つい、彼は自分のもつ癒しの魔法を詠唱してしまった。すると……


(くるぞ……くる、くる……!


っぅくっ………!


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!)




ひろまさは、無言で静かに「絶頂した」。

幸いにもエクスタシーの声は出なかった。仮に逝く声が響こうものなら、モンスターないしクリーチャーに感づかれて全滅エンドという可能性すらあったからだ。


興奮は終息し、一時の平和がひろまさの心を満たした。しかしながら、「賢者のタイム」は魔力を使う術者と切っても切り離せない関係にある。つまり、「反作用」である。この術式を自分に用いることは、本来あってはならないことなのだ。


ひろまさは、満身創痍、茫然自失となってその場にへたり込んだ。

昼寝中だったパーティのリーダーであるグレンが目を覚ましたらしく、「どした?」と短く問うたが、「いや、なんでもない」と答えると、グレンは「起きてんなら、せめてモンスターを警戒でもしてくれよ」と言って再び寝袋に首を入れた。


ひろまさは、一人、こうこぼした。


「勇者を癒し、いたわり、ねぎらい、愛おしみ、いつくしむ。






































































































































一体なんなんだ、この、石ころは……。」




< 了 >

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