甘い銀紙に歯を立てて
白川 優雨 (しらかわ ゆう)
甘い銀紙に歯を立てて
玄関を開け、倒れ込むようにソファーに身を預ける。鞄を遠くへと放り、仰向けになる。赤く火照った顔を、手で仰ぐ。ねじれる視界の中、ビールを煽っていた女が、頭にチラついている。
体を起こし、水を汲む。1度飲み干してから、また注ぎ、グラスを傾けた。テーブルに渡したコップには、1口分の水が残っている。
ネクタイを緩め、一色の顔で、部屋の隅を見つめる。先程投げたカバンが、人の顔のように、皺を寄せている。
ハッと思い出し、カバンから飴を取り出す。上座に座っていた女から貰ったそれを、部屋の隅の代わりに眺める。
眺めた。
不敵に笑っているように見えるのが、あの女に、よく似ていた。
飴の銀紙の皺を指でなぞる。手には甘い匂いが移っている。そのせいで顔が赤くなる。
暫の間、部屋には、銀紙の擦れる音が鳴っていた。
甘い銀紙に歯を立てて 白川 優雨 (しらかわ ゆう) @Syafukasu
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