突き飛ばしてやってもいい。

白川 優雨 (しらかわ ゆう)

突き飛ばしてやってもいい。

 河川敷の青草の上に座して、君は話している。それを僕は聞いた。君がただただ口を動かしているのを、僕は横から見ていた。赤みがかり始めた雲が、太陽を曲げて、彼女の黒髪にオレンジを塗っていく。

 君が少し下を向いて、脇の花を見る。目に涙をくべて、口を結ぶ。横隔膜が何度か跳ねていた。


無様で、とても綺麗だなぁ。


 目が釘付けになる。オレンジを孕んだ涙が落ちる。君は座り直して、スカートの裾を伸ばす。ポケットから両親の写真を取り出して、額に当て、また声を震わせる。

 君は綺麗だけど、泣いているのを見ると、僕にまでオレンジが移りそうで、反対側へと身動ぎしたくなる。

 本当は君の横顔は惹き付けられるものだから、顔、上げないかなぁ。あげてくれるのなら、


ここから----。


 僕は後ろだ。君の両手は何も握っていない。でも、背中を押す僕ではないと思う。

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突き飛ばしてやってもいい。 白川 優雨 (しらかわ ゆう) @Syafukasu

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